↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
19/64

18話 アノクダツとヘイロン

~~ラルナside~~


ヘイロンが自分の過去の事を話してくれてから、かなり時間が経った。

しかし、まだまだ目的地が見えてくる気配はない。


……ヘイロン…あんな事があったのに…虯の村に行って大丈夫なのかな…


私がそんな事を考えていると、ヘイロンが急に降下し始めた。


「どうしたの?」


「少し休憩だ。流石に疲れた」


ヘイロンはそう言ってさらに高度を下げていく。


やっぱ飛ぶのも疲れるんだ………


ドスン…


私はヘイロンが着地したのとほぼ同時くらいに地面に降りた。


流石に乗るのも降りるのも慣れてきた。


着地した周りには木や草が生えており、隣には川が流れている。


「ラルナ危ないよ…しっかり着地してから降りないと……」


「もう慣れたから大丈夫だよ」


私はそう言ってリュカの頭に手を置いた。


「お前ら見てると本当の兄弟みたいだな」


「兄弟か~……いいね!」


リュカがそう言った。


何が良いのか……でも確かに…私もそう思うときがある。弟ってこんな感じなのかなぁ?


私は笑顔ではしゃいでるリュカの顔を見た。


でも反抗期とかきたらどうしようか……人狼のリュカに噛まれでもしたら……想像もしたくない…


「腹減ってきたなぁ……」


「僕もぉ!」


「そういえば私もかな」


「俺がなんか狩ってくるから、お前らはそこらで木を集めてくれ」


ヘイロンは、そう言ってジャンプして空に飛んだ。


「ちょっとまって!あんまりでかいの持ってこないでよ!」


大きめな声で言ったけど聞こえただろうか……

まぁ、近くに海とかはないから大丈夫だろうと思いたい。


「ラルナ!木集めてきたよ!」


リュカはそう言って口に何本かの小枝をくわえて持ってきた。


仕事が早いなぁリュカ……


「ありがとうリュカ、後もう少し集めてくれる?」


「わかった!」


リュカはそう言って、また小枝を集めに行った。


なんかリュカばっかり働かせちゃってるなぁ……私も仕事しないと…


私はそう思い、周りに落ちている小枝や草をむしって集めた。


こうやって、一緒に行動してたのかな…

ヘイロンとクリシュナって子は…


……………


…人と人が殺しあうように、竜と竜も殺しあったりするんだね…

感情を持つ限り、そう言うのはなくならない…

私も、昔攫われた理由…わかってないけど、多分何か不満があったりしたからなんだろう…

……そりゃあるよね…私がその人の立場で私を見たらイラつくもん…


そんな事を考えながら作業をして一時間くらい経っただろうか?


もうそろそろ戻ってきても良いんじゃないかな?


私がそう思った頃にヘイロンが戻ってきた。


「喜べ!今回は牛だぜ!」


「やったー!」


ヘイロンは、地面に血だらけの牛を落とした。


「もう流石に慣れたかな…」


私はその牛を見てそう呟いた。


ヘイロンは牛を木や草の山の上に置いて、爪と爪を擦りあげ火を起こした。


皮とか剥いでないけど……まぁ良いか……


「ふぅ……後は待つだけだな」


ヘイロンはそう言ってすぐ近くの川の水を飲んだ。


「あ!僕も!」


それに続いてリュカも川の水を飲みに行った。


ささやかに流れる水の音が心地よく聞こえてくる。


こう言うのって…せせらぎ?って言うんだよね。

本やなんかで見たりするけど、実際に聞くとこんな感じなんだね。

……でて来られなかったら聞く事が出来なかった音…


なんだか…あそこに居るより落ち着く…

眠くなってきちゃったなぁ…


「どうしたよ?ぼーっとしちまってさ」


いつの間にか横にいたヘイロンが話しかけてきた。


「別に、少し眠くなっただけ」


「嘘つくなよ」


「なんで嘘ってわかるのよ?と言うか嘘じゃないし」


「そうかよ」


なによそれ…


「きつくなったらいえよ…」


ヘイロンは私に小声でそう言った。


「え?」


私が何か言い返そうとした時、ヘイロンは既にその場を離れていた。


別にきつくないんだけど……むしろ、今のこの生活は楽しいくらいだよ……


その後、私達は牛を食べ、また虯の村を目指して飛び立った。


あと、どれくらいで村に着くのだろうか。

途中休憩も入れたけど、もう大分飛んでる。

そろそろ地面に足をつけたい。


「後どのくらいでつくの?」


リュカが私の気持ちを代弁してくれた。


「後もう少しでつく」


後もう少しかー…ヘイロン……大丈夫かな…


進むに連れて皆の口数が減ってく……リュカもヘイロンもやっぱり緊張しているのだろう。

もちろん私も緊張している。


いつの間にか森や木が見えなくなり、鋭く尖った灰色岩山ばかりの風景になっていた。


「そろそろだ……」


そう呟くとヘイロンはだんだんと高度をさげていった。


「ん?あれは…竜?」


目の前には灰色の竜が二人たっていた。


ヘイロンは、その竜の少し前あたりで着地して私達をおろした。


「あれは門番だ」


「門番?でも門なんてないよ?」


リュカの言う通り、二人の竜の後ろには岩壁しかなく門なんて見当たらなかった。


「そのうちわかる……」


ヘイロンはそう言って二人の竜に近づいていった。


「守護竜ヘイロン。王竜の命により虯の村を守護しに参った」


ヘイロンはいつもとは違う喋り方でそう言った。


「虯王様には話を通したのか?」


「急ぎの命であるがため、話はまだ通していない」


「それでは通せぬ!」


正直、こんな感じになってしまうのではないかと思っていたけど……ヘイロン…どうするんだろう…?


私はヘイロンの方を見た。


「ナーガの一族を見つけた…それでもだめか?」


わ、私?あ…そっか、私を連れてくる事は皆知ってるのか………それならきっと…


「ならば、そのものだけを通す!貴様はだめだ!」


「え!ちょ、ちょっとなんでよ!別にヘイロンが入ったっていいじゃん!」


「ラルナ!」


ヘイロンが私の名前を呼んで制止させようとしてきた。

だけど、私は止まろうとは思はなかった。


「貴方がナーガの一族か?」


「そうよ!」


「一緒に来てもらいます」


「ヘイロンが一緒ならいく!あとリュカも!」


「それはなりませ…」


「いい。通せ」


一人の門番が喋っている途中、岩壁の後ろから声が聞こえてきた。


「虯王様!」


門番の二人が壁に向かって急に頭を下げた。


「よく来たな……ヘイロン……」


その声と共に、藍鼠色の鱗をした竜が後ろの岩壁から出てきた。


岩から出てきた!?もしかして……蜃気楼?

でも、虯は蜃気楼を出せないはず……

それにあの竜…ヘイロンに……もしかして…あれが?


色々な疑問が頭に浮かんでくるなかヘイロンが口を開いた。


「……親父」


「ヘイロンが話してた」


「ああ…そうだ」


リュカが全てを喋る前にヘイロンがそう言った。


この竜が…ヘイロンの父…アノクダツさん。

普通に直接会ってしまっているけど大丈夫なのだろうか……?


「……こっちだ」


そう言ってアノクダツさんはまた岩壁の中へと入って行った。


「…行くぞ」


「……うん」


そう言って私達はアノクダツさんに続いて岩壁の中に入った。


岩壁の中は短い洞窟になっており、少し向こうに出口が見える。


「…すごい」


リュカが隣でそう呟いた。

その声は洞窟の中で反響し、長く響く。


ヘイロンの父はどんどん進んで行く。


私達もそれに置いてかれないようについて行く。


短い洞窟が終わり、その先の光景を見て私は驚いた。

そこには、二十から三十ぐらいの竜達がおり、周りは岩山に囲まれていた。

その岩山の壁には、穴が幾つか空いている。

おそらく竜の家だろう。


洞窟からでて真っ直ぐの所には、他の穴より大きな穴が空いていた。

多分あれがアノクダツさんの家だろう。


「中央の一番でかい巣に来てくれ……そこで話を聞く」


そう言ってアノクダツさんは、大きな巣へと飛んで行った。


「俺達も行くぞ」


「うん」


「わかった」


私とリュカはヘイロンの頭に素早く乗った。


「行くぞ」


ヘイロンはそう言って飛んだ。


……ヘイロン……さっきから必要以上の事を喋ろうとしてない…

あんな事があったから仕方ないか…


ドスン…


ヘイロンの着地音と共に振動が伝わってくる。

私はその振動を耐えた後、ヘイロンの頭から降りた。


アノクダツさんの巣の中はビックリするほど何もなく、どことなく寂しさが感じられた。


「入って良いぞ…」


ヘイロンの父がそう言った。


私達はその言葉を聞いた後、ゆっくりと巣の中に入った。


「そこらに座ると良い…」


「あ、ありがとうございます…」


私はそう言ってその場に座った。


「…………」


しかし、ヘイロンはいつまでたっても座る気配がない……


やっぱり警戒してるのかな?


「…ラルナ…」


リュカが今にも消えてしまいそうな切ない声で、私の名を呼びながら顔を脇腹に擦り付けてきた。


「大丈夫だよ」


私はそう言ってリュカの頭を撫でた。


「まだ名乗っていなかったな…私の名はアノクダツだ。よろしく頼む」


「私はナーガ・ラルナ…この人狼はリュカ」


私は自分とリュカの紹介をした。


ヘイロンの紹介は……いらないよね。


「…要件を聞こう…」


「じじいにここの村の護衛を任された」


「そうか…敵はわかったのか」


「ああ…恐らくだが」


ヘイロンはアノクダツにラジットの事と、ガルトマーンの事…そして、王竜と話した今後の行動についてを話した。


「……わかった。よろしく頼む」


「…………」


誰も何も話さない……

普通の沈黙ならまだ耐えられるけど……今回のは格別に重い……


「…………」


「…………」


「…………」


「…………」


ここから離れたい……

けど、動きづらい…

ここで動いたら…なんか失礼な気がする…


「……外の空気を吸ってくる」


ヘイロンが沈黙を破り、外にでる。


これに乗じて…


私はヘイロンと共に外に出ようとした時。


「……ヘイロンからは…昔の事は聞いたか?」


アノクダツさんは私が動くのを止めるようにそう言った。


これ…私に言ってるんだよね…


「…うん」


私は動かそうとしていた足を止めて、そう答えた。


リュカは私の脇腹から離れて外にでて行ってしまった。


「…そうか…聞いたか」


アノクダツさんはそう言って少し俯いた。


気まずい…

これでまた抜けにくくなっちゃったよ…


「少し……話しをしても良いか?」


「え?…良いですけど……」


一体何を話すんだろう……


私は痺れかけていた足を組み直して、アノクダツさんを見た。

ご閲覧ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。