↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
15/64

14話 王竜のお願い

~~ラルナside~~


鳥の声が聞こえてくる……


私は薄く目を開けて、空を見る。

そして、何が起きたのかをゆっくりと記憶をたどりながら思い出そうとした。


ああ……そうだ。

私は……


全てを思い出した私は、何故か恥ずかしくなってしまい、もう一度目を閉じて更にその上から手を当てて目を隠した。


私……カッとなって二人に……その後、何故か寝ちゃって……あれ……? その前に誰かと話したような……


私は、その誰かとの会話を思い出そうとしたが、思い出せたのは、震えながらも必死に喋ったあの言葉達だけだった。


…………


なんか……恥ずかしいなぁ……本当に。

でも、スッキリした。

きっと、あの場で言ってなかったら、もっと苦しんでたんだろうな……


私はゆっくりと起きて、周りを見渡す。


どうやら、ヘイロン達は近くにはいないようだ。 どこに行ったのだろう。

私に気を使って離れていてくれているのだろうか?


そんな事を思っていると、すぐ近くでまた鳥の鳴き声がしてきた。


そういえば私、この鳴き声で目が覚めたんだっけ。


私はそう思いながら、その声の方向に目を向ける。


「え!」


私はその鳥をみて、つい声を上げてしまった。


このクチバシの傷って……!


私の視線の先には、ヴィシュヌの肩に乗っていた白い鳥……ガルトマーンがいた。


「なんでこんなところに……」


ガルトマーンは翼を羽ばたかせ、ひたすらに鳴いている。


普通の鳥だったら可愛いと思えるのだが……今こいつは私達の……


……どうしよう……こいつもヴィシュヌの使いならラジットもここに来てしまう。

なんとかして、ここに止めてないと……


そう思った矢先に、ガルトマーンはパタパタと飛び去ってしまった。


「あ! ちょっとまって!」


え、えぇ!?

ど、どどどどうしよう! あいつらが来ちゃうよ!


完全にパニックになり、彼方此方へと小刻みに歩く。


このままじゃ……!


私はその場でしゃがみ、頭を抱えた。

その時、視界の端に平べったい両手サイズの石が、私の視界に入った。


あれは……?


明らかに場違いな形の石に、私は興味を惹かれ、その石を拾い上げる。


別に普通の石か……


そう思い捨てようとした時、指に石を削ったような凹凸が当たった。


……ん?


私は、その石を裏返しにしてもう一度観察する。


なんか……薄いけど削って書いてある……

なんだろうこれ。


その石の裏には、私が聞いた事も見たこともない文字が、10個ぐらい刻まれていた。


多分、あの白い鳥が落としたやつだよね……王竜のお爺さんが、こんな石なんてもっているとは思えないし……


「ラルナァァアァア!!」


「キャッ!?」


考えていると、叫び声と共に急に誰かに押し倒された。

私は反射的に、その押し倒してきた者を抱えて離そうとする。


痛いなぁ……もう、誰?

って、こんな事するの、リュカしか居ないか。


「ラルナぁ……よかったぁー……」


「リュカ……心配してくれるのはありがたいけど、突然押し倒すのは止めてくれるかなぁ」


そう言ったが、リュカは私の名を口にしながら顔を擦り付けるばかりで、離れようとはしてくれない。


まいったなぁ……色々問題がありすぎて……

どうしよう……

というか、離れてよリュカ。


「少しの間そうさせてやれ」


リュカの後ろから、ヘイロンの声が聞こえてきた。


「まぁ、その……なんだ……皆お前の事心配してたんだ。 ……俺も含めてな」


その声の調子から、テレ顔を掻きながらそっぽを向いているヘイロンの顔が浮かぶ。


「ヘイロン……ありがとう」


私はそう言うと、不思議と顔が熱くなっていくのがわかった。

多分今、私の顔は真っ赤になっているだろう。


顔を熱くしていると、またその後ろから足音が聞こえてくる。


私はその足音を聞いて、スッと顔の熱さが引いていったのがわかった。


「リュカ、ちょっと」


「うん……」


その言葉でリュカは、私が何を言いたいのか察してくれたのだろう。

私の体から擦り付けていた顔を離し、体から離れてくれた。


視界が開けると、目の前には苦い物を食べたかのような顔をしている、王竜のおじいさんが立っていた。


その姿から、少し……いや、だいぶ元気がないように見える。


「……すまぬ!」


「……ッ!」


私が、そんなお爺さんの顔を見つめていると、突然お爺さんは大声で謝ってきた。


「……儂は自分の保身ばかりを考え、お主の気持ちなど全く考えていなかった……」


…………


「お主の人生に、二度と取り返しのつかない事をしてしまった……どう詫びを返しても許されることではない事はわかっている! だが、謝らせてくれ!」


お爺さんは最後に少し間を開けてから……


「すまぬ……!」


と、一言呟いた。


私は、いきなりの謝罪に少し驚きつつも、すぐに言葉を返す。


「謝らなくていいよ。 私は、あの国から連れ去った事はむしろ嬉しいと思ってるから」


「では……なぜあの時……」


「…………」


私はあの時の感情を思い出しながら、それをそのまま言葉にした。


「……力がないかもしれないって思った時……私、ここから追い出されるかもって思った……だから、必死になっていったんだと思う……」


「……」


「なにより、寂しかった……折角仲良くなれそうな、友人と呼べるべき存在ができたのに、その存在から必要とされなくなるのが怖くて……寂しかった」


私はそこまで話し終えると、また少し顔が熱くなった様な気がした。


「……以前お主は……あそこへは帰りたくないと言っていた。 その理由も、関係しておるのか?」


少しの間が空いた後、おじいさんは私にそう言った。


そっか、そういえば皆知らないんだよね。

だからヘイロン、あんなに必死になって……


「……私は、ジャダイの王女……」


「え!?ラルナって王女様だったの!?」


そういえば、リュカは知らないんだっけ。


「一度、王女である私が、誘拐された事件が起きた事があってね。 以来それを心配して、私はずっと宮殿に閉じ込められてたんだ。

生活のほとんどが部屋の中で、外に出れても宮殿の庭までだった。 ……まぁ、そのせいもあって友達も出来ない、知識についても常識以外は学ばされない……毎日、同じ事の繰り返しの様な生活を送らされてたんだ。

そんな私をお母さんは、国の頂点に置こうとしたのよ……私はそれが嫌で……」


……今思うと、本当に可笑しな国……


私は自分で自分の境遇を語りながら、そう思った。


「だから、感謝してるくらい」


「……そうであったのか……しかし、お主の国には迷惑を……」


「ううん、迷惑だなんてとんでもない。 だっておじいさん、守ってくれるんでしょ?」


「守りはするが……それではラルナが……」


「私は気にしないで、全然大丈夫だから」


「しかし……」


「大丈夫だから!!」


「う、うむぅ……しかし……」


「大丈夫だから!!!」


「う、うむ」


私は、お爺さんと同じ問答を繰り返し、無理やり押し通す。


「……私、皆が迷惑じゃないんだったらここに置いて欲しいと思ってるの」


「本当に言ってるのか? お前の母親は……」


「知らないよ……そんなの」


私はそう言って、ヘイロンの出そうとした話題を断ち切った。


「…………」


ヘイロンも私の気持ちがわかったのか、それ以上は何も言わなかった。


「でも、二人が会話してた通り、私に力は本当にあるかどうかはわからない……」


そこだけが不安だった。

力がなきゃ、私はただの足手まといになる……

そうなると、竜族とのできる私の最大の協力は、あの場所へと帰ることと同じ……


「儂はあると信じている」


そんな私の不安を振り払う様に、お爺さんは強くそう言った。


「でなければ、言い伝えは残っていない。 そして、今儂らは出会っていないはずじゃ」


確かに、そうかもしれない……


…………


いや、きっとそうだ。

私が信じなきゃ……!


「お爺さん、もう一回約束しよう」


「もう一回?」


「うん。 最初に誓った約束」


私がそう言ってから、おじいさんは何かを考えるように少し間を空けてから口を開いた。


「……本当に良いのか?」


「うん」


「……ならば、約束ではなく……友としてお願いをしたい」


友としてお願い……


私は、王竜のおじいさんの言葉を心の中で繰り返してから、縦に頷いた。


「……共に、竜族を守って欲しい」


「必ず、力になるよ」


お爺さんの言葉に、私は笑顔で答えた。

ご閲覧ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。