13話 後悔するのは結果を見てから
~~ヘイロンside~~
「ヘイロン……ラルナ大丈夫かな?」
ラルナが気を失ってから、リュカはこればかり俺に聞いてくる。
「大丈夫だ……今は疲れて眠ってるだけだ」
「でも……」
リュカが心配するのも無理は無いだろう……
あの後、ラルナは突然倒れて意識を失ってしまったのだから。
今はただ眠っているだけだし、顔色も悪くないから病気の類ではないだろう……
……さっきの話が相当心に来たんだろうな……
「儂のせいじゃ……謝って済まされる問題でわないことは分かっている……じゃが……すまぬと言わせてくれ……」
「………………」
じじいも相当きてるな……こうなる覚悟は決まっていなかったのか……
いや、これ含めての覚悟なのかもな。
流石に今は俺も責められない……
グ~……
リュカの方から腹の虫が鳴く音が聞こえて来た。
「…うぅ……ごめん」
リュカは顔をしかめてそういった。
なんだかんだで、昨日の昼から何も食べていないんだ。 腹がなっても仕方ない。
「ここの近くに、ロンカっつう木の実がなってる樹がある。 俺も腹減っちまったし、取りにいくか」
「うん……」
その返事はどことなく元気が無かった。
「ラルナが目覚ました時、腹減ってたら困るだろ? ラルナの為に沢山取ろうぜ!」
「ラルナの為……」
「おう!」
「うん……! いく!」
リュカの顔は、凄くとまではいかないが、多少明るくなった。
「じじいも手伝えよ」
「う、うむ」
「悩んで……自分を責めたってもう変わんねーんだ……なら、今より少しでもいい方向に持って行くしかねぇだろ……」
「ヘイロン……そうじゃな……ありがとう」
まぁ、最初責めてたのは俺なんだけどな……
重い空気が無くなり、軽くなったところで、俺達はロンカの実を取りに行った。
ロンカの実は、竜の排泄物を栄養に育つ栄養満点の果物だ。
これだけあれば生きていけるってわけじゃないが、これと後は狩りで肉でも食ってれば食糧には困らないぐらいの栄養価はある。
竜の排泄物からなる果物のため、その木の実がなっている場所には大抵竜が住んでいる。
それを目印に、一匹で縄張りを作ったりするやつもたまに見る。
まぁ、村を抜けて暮らしてる竜なんて、俺やじじいくらいだろうがな……
俺は抜けてと言うより……追い出されたんだがな……
「ヘイロ~ン! こっち沢山取れたよ~!」
リュカが少し離れたところから俺に叫んで、報告してきた。
「そうか!でも全部はとんなよ~!」
「分かってる~!」
ロンカの実に限る話ではないが、果物にしろ動物にしろ全てを取るというのは良くない……らしい……
正直理由は知らない。
昔、俺の友人から聞いた話だ。
「あのリュカと言う人狼は、心が強いな」
隣にいつの間にかいたじじいが、ボソッとつぶやいた。
「あんたもな」
「そんなことはない……」
「なくねぇーよ。 じじいはその話を知っていて決断したんだろ」
「………儂は」
「後悔のする決断だったかは後で決めればいいだろう?……その……俺もさっきは言い過ぎだった……」
「…………」
そう言った後、俺は少し恥ずかしくなりじじいとは逆の方向に首を曲げた。
「……ヘイロン………」
じじいはそこまで言って、口を止めた。
「なんだよ」
「……いや、なんでもないわい」
じじいはフッと笑ってそう言った。
なんだよきもちわりぃな。 言うことあるならしっかり言えっての。
そう思いながらも俺は、王竜にその事を聞かずにロンカの実を集めるのを再開した。
何時間かたって、ロンカの実は俺の両腕でも抱えきれない程……は集まらなかったが、腹を膨らますのには十分な量が集まった。
「よし!この辺で帰るか!」
「そうじゃの」
「うん!」
俺とじじいは、ロンカの実を翼の上に乗せ、落とさないように器用に歩く。
「ねぇねぇ、このロンカってやつ美味しいの?」
「俺は好きだぜ。でもお前らが好むかは知らん」
「お主は冷たい言い方をするのぉ。味を教えてやれば良かろうに」
「味ねぇ……レモンにハチミツをかけた感じだな」
「ふーん……」
聞いといて興味なしかよこの野郎……
それからしばらくたってから、リュカが口を開いた。
「……ねぇ」
「ん?」
「……ハチミツってどんな味?」
「は!?」
俺は危うくロンカの実を落としそうになった。
いや、落ちたかもしれない。
こいつ食った事ねぇのか……それであんな反応にな…
…つか、ハチミツ食った事ないって……まぁ熊以外の動物からしたらそれが普通なのか?
俺達竜族はたまに食うんだがな……
「そうか……お主はハチミツを食った事がないのか。かわいそうにのぉ……」
「え? そんなに美味しいの?!」
「それはもう体が爆発する程美味であるぞ! ハチミツはな……」
始まった……じじいは熊以上……いや、蜂以上のハチミツ好きだ。
一度ハチミツを語り始めると本当に止まらなくなる。
俺も一度、ハチミツについて語られた事があったが、正直、ハチミツ好きでもないのに永遠とハチミツの事を語られてもただの迷惑でしかなかった。
「……それでな、ハチミツは……」
すっかりいつもの調子を取り戻したみたいだな……
横で、ハチミツを連呼しているじじいの話を、俺は右から左へ聞き流しながらラルナの元へと足を進めた。
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