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今章はいつにも増して読み手を選ぶ内容となっております。
追加タグは「ボーイズラブ」「TSFヒロインあり」「BL要素は数話のみ」「NTR?」です。
ですので読者様の中で、少女マンガレベル(例パ○リロ)の同性愛描写も受けつけられないと思われる方は、大変申し訳ないのですが、これ以上読まれる事をお勧めしません。
しかし、もしその程度なら大丈夫だと思われるのでしたら、お読みいただき楽しんでいただけたら幸いです。
では、Deviant ー妖魔転生ー第七章全十八話の開幕となります。
人間に友好的なゴブリンとして、知名度は得た。
敵対するよりも、友好的に接した方が得だと思わせられる程度の力も見せた。
そしてこの国の人間と敵対しても、裏で話を通せそうなパイプも確保できた。
これで、第一目標である“人間社会におけるある程度の安全”はクリアできたと言っていいだろう。
異種族だからと言って石もて追われる事もなく、財貨を狙って襲われる事も、ソレに反撃しても罰せられない程度の立ち位置を確保できたと思う。
後は、この世界をどう楽しむかなんだが……。
残念な事に今のところ、派手に楽しめるほどには場が荒れてねぇし、オモチャにしてアソビたいほど興味の持てる相手も居ないんだよなぁ。
なのでご隠居さんと話が付いてから三ヶ月ほどが経っても、状況は以前とあまり変わっていなかったりする。
もちろん、楽しめる状況を作る為の努力は惜しんじゃいないんだけどな。
ご隠居さんの頼みで、たまにご隠居さんがパトロンをしている魔法使いや錬金術師達と技術的な話なんかをしたりしてるんだが、その時に以前作ったコンパウンドボウやコンパウンドクロスボウを見せたり、圧力鍋を使った保存食の可能性を示唆したりしたので、上手く行けばそう遠くないうちに大きく状況が動くだろう。
力を得れば、ソレを使いたくなるのが人間ってもんだからよ。
例えばコンバウンドボウ。
コイツは短弓サイズで長弓並みの威力と射程がある。カムは使ってないので引ききった時のアシストはないが、短弓と同程度の大きさと言う事は馬上でも使えると言う事だ。
つまり魔法の助け無しでも高機動力高射程の弓兵部隊が発足可能となる。
ただ騎乗射撃は高い技術が必要だって話だから、人材の確保と訓練は大変かも知れんがな。
例えばコンパウンドクロスボウ。
クロスボウ自体はこの世界でも発明されていたが、コイツには中折れ式の装填機構を追加してあるので、慣れれば一分間に十射以上の射撃が可能になる。
その分複雑な作りにはなっているんだが、鋳造についてのアイデアをいくつかとプレス加工の可能性を示唆したりしたし、木工についても魔動式の旋盤を見せているのでなんとかなると思う。
なにより弓と違って、クロスボウは真っ直ぐ飛ばすだけなら大した訓練も必要ない。
だから数さえ揃える事ができれば、ろくに訓練もしていない民兵を使っても、自軍より多数の敵を殲滅する事が可能だろう。
保存食だってそうだ。密閉された容器ごと高温高圧で殺菌調理した缶詰は“金属性の容器に料理を入れて密閉する”と言う工程に魔法を使わなければならないが、完成すれば年単位で保存がきく。
そして自転車が広まれば、この国の一般市民の移動速度は何倍にもなるだろう。
つまり、徴兵した民兵の行軍速度も跳ね上がるって事だ。
移動が早くなれば、糧食も経費もさらに少なく見積もれる。
実際にやった事がある訳ではないが、ちょっと考えれば戦争が金食い虫だってのは簡単に想像がつく。なにしろなんの生産性も無いのに大量の人員を召集し、訓練し、武装させ、戦地まで運び、戦わせなければならないんだ。当然給料を払う必要もあるし、戦功のあるヤツにはボーナスだって払わなくちゃ見限られかねない。
それが移動時だけとは言え、糧食と日給が何割かでも減らせるとなれば、財布の紐を握っているヤツラも戦争を反対し難くなる筈だ。
これだけ揃えば、野心のあるヤツなら誰だって欲が出るんじゃないか?
トーラス辺境伯領のあるジェラルデン王国は、何年か前に南に存在するガナーク教国から戦争を仕掛けられ、何とか追い返したもののいくつかの町がいまだに占領されたままだって話なので、火種も十分だ。
上手くすれば早くて数ヶ月、遅くとも数年内には戦争が起こるだろう。
いや、ジェラルデン王国のヤツラが起こさなくても、ガナーク教国のヤツラがジェラルデン王国で新兵器が開発されたと言う情報を握れば、軍備が増強される前にと向こうから攻めてくるかもしれない。
まぁ俺が人間相手に派手に暴れたいってだけの為に戦争を起こすのも酷い話だが、殺し合いなんてモノは勝っても負けても面倒事がついてまわる。だから他人の争い事に加勢する形で好き放題暴れて、後始末は他人任せにするのが一番楽で良い。
って事で、今のところはマルグリット達とイチャイチャしたり、街で新作の料理を食い歩いたり、森や人間の国を観光したりしながら、今までどおり集落を発展させたり、新たな装備を作ってみたり、魔法の練習や研究をしたりしていた。
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空を飛ぶってのは、気持ちの良いもんだ。
世界を俯瞰しながら『風使い』で操る風に乗って飛ぶのは、本当に気持ちが良い。
前世じゃ理解できなかったが、ハンググライダーや特殊なスーツを着て空を滑空するヤツの気持ちが今なら良く分かる。
眼下を高速で世界が流れて行く光景や、風に乗ってどこまでも高く上昇したり自由落下しながら全身で風圧の壁をぶち抜く感覚は、死闘の快感にも似た、しかしソレには無い爽快感を俺に与えてくれた。
自分の操る風に乗って自由に飛べるようになるまでには、木に突っ込んだり地面に激突したりなんて割とシャレにならない事故もやったが、その甲斐はあったかな。
森と草原、村々とそれを繋ぐ街道、畑で作業する人々に柵で囲まれた放牧地でエサを食う家畜。
木々の生い茂った蒼の森も上から見ると意外と変化に富んでいて退屈しなかったが、やはり人間の領域の方が遥かに多彩で、流れていく光景を見ているだけでも時間を忘れそうになる。
もっとも今日はトーラスの街に行く言って集落を出て来たので、一日中飛んでいても問題は無いんだがな。
進路はとりあえず北西にとってある。
特に目的がある訳じゃあないが、集落から西に向かえばトーラスに着いちまうし、南に向かえば排他的な人間の国がある白の砂漠だ。そして東は反対方向で、北に進んでも森しかない。風景を楽しみながら気兼ねなく飛ぶには北西が一番都合が良かった訳だ。
すでに蒼の森を抜けてジュラルデン王国の北の国境を越えているが、小国家郡の先に在る天蓋山脈まで行ったとしても今日中には着けるだろう。観光としては悪くはない。
身隠しの外套を着ているので、高位の感知能力者か余程勘のいいヤツが偶々俺を見つけでもしない限り、見つかる事は無いだろうしな。
と言う事で風景を楽しみながら飛んでいると、視界の端に何者かの姿が映った。




