表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Deviant ー妖魔転生ー  作者: 是色
第二章 萌芽
22/100

2-9


 しかし、まぁ、どうしたものかねえ。


 廃墟と化した集落を見ながら、一人頭を悩ませる。

 集落でまともに残っている建物は半分も無い。

 住人であるゴブリン達も生き残っているのは三分の一ほど。しかも半分以上はメスや戦えない幼い個体ばかりだ。

 壊滅と言っても良い様な惨状だ。

 さすが、この森でも奥のほうにしか生息しない魔獣が暴れただけはあるなぁ。

 ただ、死んだゴブリンは多いが、怪我をしているゴブリンは思ったより少なかった。

 恐狼ダイアウルフの力が強すぎて、かすっただけでもゴブリンには致命傷になったのだろう。

 怪我をしたゴブリンのほとんどは、建物の倒壊に巻き込まれたり、逃げる時に転んで怪我をしたらしい。

 面倒だが、骨折以上の傷を負ったゴブリンは治療してやった。俺が引き起こしたかも知れない災厄で、これ以上死なれても寝覚めが悪いからな。

 まぁ治療ついでにすこし、他のゴブリンの体細胞を混ぜておいたりもしたが。

 なぜか?と言われれば、経過観察用の融合実験個体である改造ゴブリン二号に死なれたから、その代わりだ。

 やはり年単位で調べないと安全性は確認できないからねぇ。

 しかし、改造ゴブリン二号に死なれたので信頼できる戦力は半減してしまった。

 二号は融合実験で体を大きくしたので、人の街でも色々と役に立って貰うつもりだったのだが……。

 かなり痛い損失だ。少し計画を見直す必要があるかな?

 まぁ、後の事は落ち着いてから考えよう。

 今は先ず、恐狼ダイアウルフの死体からこれ以上魔力が失われる前に食うとするか。


 一号にとって来させた切裂き兎(リパーラビット)の小剣で、恐狼ダイアウルフを解体する。

 『万能マルチツール』を使って小剣を強化しても恐狼ダイアウルフの巨体を解体するのは一苦労で、作業が終わったのは日が暮れる頃だった。

 いつの間にやら周囲にはいくつものかがり火がたかれ、家屋の残骸やゴブリン達の死骸も粗方片付けられていた。

 バグバと生き残ったゴブリン達の仕業だろう。その生き残り共はと言えば、かがり火の向こうで、眼を爛々と輝かせて肉の山を凝視している。


 体高3メートル以上はあった恐狼ダイアウルフだが、解体されてもその巨大さは健在で、肉と内臓は小山を成していた。

 脳と心臓は俺が食うとしても、内臓だけで数百キロはある。肉と違って保存がきかないから、これはゴブリン達にくれてやっても良いだろう。

 ろくに役に立たなかったとは言え、死んだゴブリン達が俺を守ろうとしたのは間違いないんだしな。


「バグバ。コイツを集落のゴブリン達に配ってやれ」


 集落の守り人と戦えるオス達のほとんどが死んだ中、ちゃっかり無傷なバグバに声をかける。

 守り人としてどうなんだ?と思わなくは無いが、バグバの指示がなければゴブリン達が俺を守る事も無かったと思うので、責める気は無い。


 バグバの指示で、数人のゴブリンがいくつもの大なべに内臓を盛り、かがり火ごとに集まっているゴブリン達に配っていく。

 内臓だけでなく酒も配られ、俺の所にも一樽置かれた。

 しかし、まだ誰も、内臓にも酒にも手をつけない。

 最高のご馳走を前に、ゴブリン達の食欲は最高潮にまで高まっている筈なのだが……。


 俺を待っているのか?

 だとすると、おそれか崇拝か、どんな感情か分からないが、コイツラが俺に対して敬意を抱いたのは確かなようだ。

 ここで演説するのも手だが、柄じゃないので脳味噌を一度高く掲げてから齧り付く。すると少し遅れて、周囲でも肉をむさぼる音がしだした。

 やはり魔力が濃いほど旨みを強く感じるのか、恐狼ダイアウルフの脳味噌は恐ろしく美味い。

 濃厚なのに、食えば食うほど更に食いたくなるのは麻薬的と言ってもいいほどだ。

 と、脳味噌を平らげてから思い出したのだが、一号にまだ食事の許可を出していなかった。


「一号、食事だ」


 内臓は集落のゴブリンに分け与えてしまったので、肉を一塊一号に投げつけると、飛んで来たそれを掴んで一号も食事を始める。ついでにもう一匹。


「クビラ」


 そう声をかけて、肉を一掴み取り分けてやる。

 すると、何処からか姿を現した隠れ鼠(ハイドラット)が、自分の半分もあるような肉の塊に飛びつくように齧り付いた。

 今回こいつらは役に立たなかったが、相手が悪い。

 感知系の魔法を持たせた一号やネズミの魔獣でしかないクビラでは、巨大な狼の魔獣の相手をさせても捨て駒にすらならないからなぁ。

 コレで魔力を上昇させて、今後の活躍を期待するとしよう。


 脳味噌の次は心臓を食い、腹に余裕があったので肉も食らう。

 結局、小山のようになっていた恐狼ダイアウルフの肉と内臓は、半分近くが俺と集落のゴブリン達の腹に消えてしまった。下手をしたら、体重の半分くらいは食ってるんじゃないか、コレ?

 ゴブリン達はどいつも臨月かってくらいに腹を膨らませてやがる。

 これなら明日の朝には全員大幅なレベルアップをしているだろう。問題は、力をつけたこいつらが俺に従うかって事だが……。

 それは明日の朝に考えるか。最悪の場合は逃げればいいさ。


 後は『自在工房ワークショップ』で肉を乾燥肉に変え、骨や皮の掃除をしてから寝るか。今日は色々あって疲れた。


 追記。

 恐狼ダイアウルフの頭蓋骨を『自在工房ワークショップ』で掃除していたら、ウルフフェイスバックラーに使った群れ狼(ハードウルフ)の頭蓋骨と同様の違和感を感じた。

 コイツも魔法の道具と合成すると、おかしな変化をするのだろうか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ