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アイコン三国志外伝  作者: 小金沢
呉の章
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13/16

掌編(孫翊伝)      孫翊殺人事件

~~~建業(けんぎょう)の都~~~



挿絵(By みてみん) 朱治(しゅち)

「この中に孫翊(そんよく)様を殺害した犯人がいる」



挿絵(By みてみん) 陳武(ちんぶ)

「本当アルか?」



挿絵(By みてみん) 賈華(かか)

「さ、殺人犯と同じ場所になんかいられるか!

私は部屋に戻らせてもらう!」



挿絵(By みてみん) 甘寧(かんねい)

「つーかさ。戦場でなら全員が殺人してなくね?」



挿絵(By みてみん) 谷利(こくり)

「それとこれとは話が別だ」



挿絵(By みてみん) 媯覧(きらん)

「朱治さんよぉ!

いったいなんの証拠があって俺たちを容疑者扱いしてやがんだ!?」



挿絵(By みてみん) 朱治(しゅち)

「孫翊様の屋敷の家人や守衛たちから事情聴取をした。

孫翊様が殺害された夜に、屋敷を出入りしたのはこの6人だけだ」



挿絵(By みてみん) 媯覧(きらん)

「むざむざ主人を殺されるなんて無能な守衛だな!」



挿絵(By みてみん) 谷利(こくり)

「孫翊様は武術の達人だった。

それに同僚が犯人ならば、守衛も油断したことだろう」



挿絵(By みてみん) 朱治(しゅち)

「ああ。孫翊様は背後から刺されていた。

あの方ほどの達人が、見知らぬ刺客に背中を見せるはずがない」



挿絵(By みてみん) 賈華(かか)

「だ、だから犯人は気を許している相手だと言うのですか?」



挿絵(By みてみん) 朱治(しゅち)

「その可能性は高い」



挿絵(By みてみん) 甘寧(かんねい)

「だったらオレは違うっしょ。

オレは寝返ったばっかで誰にも信用されてねーし」



挿絵(By みてみん) 陳武(ちんぶ)

「そんなことないアル。孫翊様は優れた武人なら親しくするアル。

甘寧も何度も屋敷に招かれてるアルよ」



挿絵(By みてみん) 賈華(かか)

「ち、ちょっと待って下さい!

孫翊様は我々6人と会っているのでしょう。

それなら一番最後に会った方が殺したことになるはずです!」



挿絵(By みてみん) 朱治(しゅち)

「最後に会ったのは陳武だが、別れた時には生きていたと聞いている」



挿絵(By みてみん) 媯覧(きらん)

「そんな証言あてになるものか!」



挿絵(By みてみん) 朱治(しゅち)

「孫翊様の屋敷は広い。帰ったふりをしてどこかに潜み、

陳武が去った後に殺したとすればつじつまは合う」



挿絵(By みてみん) 谷利(こくり)

「ならば屋敷から最後に出た者が犯人であろう」



挿絵(By みてみん) 朱治(しゅち)

「最後に出たのは甘寧だが、彼は孫翊様にはじめに会っている。

別れた後に兵舎で遊んでいたそうだ」



挿絵(By みてみん) 甘寧(かんねい)

「孫翊様の配下にサーファー仲間がいるんで、話してきたんスよ。

チョリースって」



挿絵(By みてみん) 朱治(しゅち)

「つまり誰にでも機会はあるというわけだ。

……優秀なお前たちを疑いたくはない。

下手人がいるならどうか名乗り出てはくれないか」



挿絵(By みてみん) 媯覧(きらん)

「名乗り出たら殺されるんだろ?

だったらわざわざ自分から吐く奴なんていねえよ」



挿絵(By みてみん) 朱治(しゅち)

「ならば――」



挿絵(By みてみん) 孫尚香(そんしょうこう)

「犯人はてめェだ!」



挿絵(By みてみん) 媯覧(きらん)

「ぬおおっ!?」



挿絵(By みてみん) 孫尚香(そんしょうこう)

「いかにも犯人ってツラしてんじゃねえか。

もうこいつでいいだろ朱治」



挿絵(By みてみん) 媯覧(きらん)

「な、何を藪から棒に……。

だいたい孫尚香、サマがなんで首を突っ込むんだ!」



挿絵(By みてみん) 孫尚香(そんしょうこう)

「義姉ちゃんに依頼を受けた。旦那の孫翊を殺された義姉ちゃんだ。

アタシの代わりに犯人を見つけてくれってな。

だいたい孫翊はオレの兄貴だぜ。身内のオレが関わるのは当然だろ」



挿絵(By みてみん) 孫皎(そんこう)

「尚香、気持ちはわかるが、お前の保護者代わりとしては感心しないな。

顔だけで決めつけるのは良くない」



挿絵(By みてみん) 媯覧(きらん)

「そうだそうだ!

悪人ヅラなら甘寧や谷利だって俺といい勝負だろ!」



挿絵(By みてみん) 甘寧(かんねい)

「あぁん?」



挿絵(By みてみん) 媯覧(きらん)

「しかも甘寧は降将、谷利は元罪人だ!

孫翊サマを殺したっておかしくねえ」



挿絵(By みてみん) 谷利(こくり)

「…………ほう」



挿絵(By みてみん) 甘寧(かんねい)

「もう面倒くせーしさ、

全員で殺し合って、真っ先に死んだ奴が犯人でよくね?」



挿絵(By みてみん) 孫皎(そんこう)

「そんな無法を認めるわけにはいかん」



挿絵(By みてみん) 甘寧(かんねい)

「なら、アンタを殺せば認められるわけだな?」



挿絵(By みてみん) 孫皎(そんこう)

「……本気で言っているのか?」



挿絵(By みてみん) 朱治(しゅち)

「孫皎まで熱くなってどうするのだ。

孫権様から事件の解決を任されたのは私だ。

私の指示に従ってもらおう」



挿絵(By みてみん) 孫尚香(そんしょうこう)

「未亡人の義姉ちゃんから依頼されたオレの指示もだぜ!」



挿絵(By みてみん) 朱治(しゅち)

「わかったわかった。尚香の意見も尊重する。

……それにしても解せないのは、

孫翊様の身体に多数の傷があったことだ。打撲痕に見えるのだが……」



挿絵(By みてみん) 陳武(ちんぶ)

「……白状するアル。孫翊様を殺したのはワタシかも知れない」



挿絵(By みてみん) 賈華(かか)

「ななななんですって!?」



挿絵(By みてみん) 陳武(ちんぶ)

「あの日、ワタシは孫翊様と手合わせしたアル。

ワタシの奥義が炸裂した手応えがあったアル。

でも孫翊様はすかさずカウンターを返して来たアル」



挿絵(By みてみん) 孫皎(そんこう)

「傷はその時についたものか」



挿絵(By みてみん) 陳武(ちんぶ)

「孫翊様はなんともない様子で、ワタシはその後すぐに帰ったアル。

ひょっとすると帰った後に、ワタシの奥義が実は効いていて、

倒れたのかも知れないアル……」



挿絵(By みてみん) 孫尚香(そんしょうこう)

「孫翊の兄貴は我慢強かったからな。

昔、オレに鼻を折られた時も平然と笑ってたし」



挿絵(By みてみん) 谷利(こくり)

「待て。孫翊様の死因は背中を刺されたことだったはずだ。

陳武の奥義は関係あるまい」



挿絵(By みてみん) 朱治(しゅち)

「だがこう考えることはできる。

孫翊様は陳武の奥義で倒れた。その後に犯人がやってきて、背中を刺した」



挿絵(By みてみん) 孫皎(そんこう)

「それならば気を許した相手でなくても背中を見せることになるな」



挿絵(By みてみん) 孫尚香(そんしょうこう)

「つまり……ええと、つまりどうなるんだ?」



挿絵(By みてみん) 朱治(しゅち)

「誰にでも殺せたということだ」



挿絵(By みてみん) 甘寧(かんねい)

「……やっぱ殺し合いで決めればよくね?」



挿絵(By みてみん) 孫尚香(そんしょうこう)

「それが一番手っ取り早ェな。

要するに犯人にしてェ奴を殺せばいいんだろ?」



挿絵(By みてみん) 媯覧(きらん)

「き、気のせいか俺を狙ってないか……!?」



挿絵(By みてみん) 谷利(こくり)

「この場で一番弱いのはお前だろうしな。殺しやすい」



挿絵(By みてみん) 媯覧(きらん)

「か、賈華だって弱そうじゃねえか!」



挿絵(By みてみん) 孫皎(そんこう)

「賈華は暗殺部隊の所属だ。弱そうに見えるのはそう装っているだけだ」



挿絵(By みてみん) 賈華(かか)

「…………滅相もない」



挿絵(By みてみん) 媯覧(きらん)

「ま、マジで?」



挿絵(By みてみん) 甘寧(かんねい)

「さあ武器を抜けよ! 丸腰じゃあ気が引けるしよ!」



挿絵(By みてみん) 媯覧(きらん)

「クッ……。た、ただでは殺されねえぞ!」



挿絵(By みてみん) 朱治(しゅち)

「待った!!」



挿絵(By みてみん) 孫尚香(そんしょうこう)

「今さら止めんなよ朱治!」



挿絵(By みてみん) 朱治(しゅち)

「違う。犯人がわかったから止めたのだ」



挿絵(By みてみん) 谷利(こくり)

「なんだと?」



挿絵(By みてみん) 朱治(しゅち)

「孫翊様の背中の傷は、明らかに左利きの者による刺し傷だった。

いま、全員が武器を抜いたから構えでわかる。左利きは一人しかいない。

犯人は……お前だ」



挿絵(By みてみん) 媯覧(きらん)

「なっ……お前だったのか! 辺洪(へんこう)!」



挿絵(By みてみん) 陳武(ちんぶ)

「そういえばずっと黙ってたアル。怪しかったアル」



挿絵(By みてみん) 谷利(こくり)

「逃げたぞ! 追えっ!」



挿絵(By みてみん) 甘寧(かんねい)

「逃がさねーし!」



挿絵(By みてみん) 賈華(かか)

「……逃がしません」



挿絵(By みてみん) 孫皎(そんこう)

「甘寧と賈華に追われては逃げ切れまい。

これで解決だな」



挿絵(By みてみん) 孫尚香(そんしょうこう)

「あいつら殺しちまわねェだろうな。

殺すなら義姉ちゃんの前で処刑しねェと」



挿絵(By みてみん) 媯覧(きらん)

「ふう、一時はどうなることかと思ったぜ!

顔のせいで犯人にされたらたまらねえや!」



挿絵(By みてみん) 朱治(しゅち)

「その通りだ。だから証拠を突きつけよう。

……犯人はお前だ」



挿絵(By みてみん) 媯覧(きらん)

「…………へ?」



挿絵(By みてみん) 孫尚香(そんしょうこう)

「読めねェのか?

兄貴のそばに落ちてた密書だ。辺洪のバカが落としてったんだろうよ」



挿絵(By みてみん) 孫皎(そんこう)

「孫翊様を殺すよう命令しているな。

そのための屋敷内の潜伏場所や、

孫翊様の隙を狙えるよう生活パターンも事細かに書かれている。

機会をうかがっていた辺洪は、陳武と手合わせ後に倒れたのを幸い、

孫翊様を殺したのだろう」



挿絵(By みてみん) 朱治(しゅち)

「密書の筆跡を調べた。お前と一致している。

だが実行犯がわからなかったから、こうして容疑者を集めたのだ」



挿絵(By みてみん) 媯覧(きらん)

「ば、馬鹿な…………」



挿絵(By みてみん) 孫尚香(そんしょうこう)

「だから最初に言っただろうが。てめェが犯人だってな!!」



~~~~~~~~~



かくして孫翊殺人事件は解決した。

実行犯の辺洪はもちろん、媯覧も処刑され、

孫翊の墓前に首が供えられたことは言うまでもない。

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