第二章 黒陽の神 第七話 二つの器
母の実家は、京都府、京都市。
祖父母は、陰陽師の仕事を引退し、今は、旅館を経営していた。
旅館は安倍晴明神社のすぐ側にあった。
チェックインの手続きをしていると、女将の祖母が、すぐに迎えにきてくれた。
「蒼真君、いらっしゃい。よく来てくれたね。」
「おぉ... 蒼真、元気そうだね!ゆっくりしていってね。電話の件は、夜、話そう」祖父が祖母に続いて言った。
「ありがとうございます!」
「今日は、年に一回の晴明祭りなんだよ。
夕食まで時間があるから、見てきたら?」
蒼真は、部屋に荷物を置き、安倍晴明神社に向かった。
神社には、少年鼓笛隊や鉾、巫女、神輿など総勢約500人がいた。
蒼真が神社の鳥居を潜ると、神社の護符が一斉に輝き出した。
蒼真が鳥居をくぐった瞬間。
境内中に貼られていた護符が、一斉に黄金色の光を放った。
社殿の注連縄に結ばれた御札までもが震え始める。
「な、何だ!?」
「地震か?」
観光客達が騒ぎ始めた。
観光客は、驚き、何が起きているのか分からなかった。会場中がどよめいた。
蒼真は、慌てて、神社を出て、宿に戻った。
夜、祖父に、神社での話をした。
「ほお...私達は、何度も、晴明神社に訪れているが、そこまで、呪符が反応したことはないよ。器の大きさが違うのかな。」祖父は言う。
「器の大きさ?」蒼真は尋ねる。
神代家の血を引く者は、皆、「神代の器」を受け継ぐ。
だが、お前にはもう一つある。
「堕天使の器」だ。
どうして、私だけ、堕天使の器があるのですか?
君だけじゃないよ。君のお父さんも、堕天使の器だった。
強かったよ。
私が知る陰陽師の中でも、間違いなく最高の一人だった。
美琴は、蒼真が、悪魔の力を使うと、お父さんみたいに、亡くなってしまうのが怖かったから、君には、堕天使の器があることを話せなかったんだろうね。
父は、どのような戦い方をしていたのですか?
式神を悪魔として従えさせて、戦っていたよ。
蒼真と祖父は今後の闘い方ついて話しあった。
東京に戻り、母の研究ノートを読み返し、堕天使としての戦い方を学んだ。
「今度は負けない。」
蒼真は母のノートを閉じた。
黒陽の太陽を倒すために。
そして、自分の運命を知るために。
レイカへ電話をかけた。
第七話了




