第29話 賛同
加筆修正しました
破滅とはある種の生である。
生きながらに苦しんでいればそれはある種自身の心を滅ぼしながらも生を得る事に他ならず。
生きながらに楽しんでいれば苦しみを滅ぼしている生を得る事と変わらない。
善悪、好悪の指針はある者のそこに人の意思はない。
ただ生きているという漠然とした意識があるだけである。
いつも生きていて、
いつも滅んでいる。
それこそが生であり、人生であり、人間である。
論証不可能にも思えるその言葉にしかし19号は理解しなかった。
生というのは楽しい物だと・・・
そう思っていたのだ
□
学校とはとてもつまらない所である・・というのは間違いである。
そこには親友がおり、
そこには先生がおり、
そこには友達がいる。
日が傾くまで過ごすその学舎はしかしあらゆる良い物の溜まり場である・・という者もしかし居た。
一部の者が口にするように嫌う者もいるそこは少なくとも悪い物の吹き溜まりでしかないというのが間違えであるという事をしっかりと理解するだろう。
少なくとも私もそうだった。
勉強など必要ないと感じていた私にとっても学校はしかし良い場所であったのだ。
少なくとも私は”あの子”に出会えたのだから・・・
「彼女」に出会えたのだから
カツンカツンとただ道を歩く。
そのヒールのような靴は我が校の制服その一式の一つである。
珍しいそれはしかしあるポリシーから来るものであった。
”いつでも洒落を忘れず”にという校訓が故に
強制されては居ない。
「あの子」だってヒールは履いていなかった。
けれどならばどうして私が履くのかと言えば・・
・・・当然
「あの日を忘れない為だなんて、私は言えないな。」
感慨深くも痛ましく告げた言葉にしかし反応する者は居ないとはっきり私は理解出来ていた。
そこは廊下、ただの廊下である打ちっぱなしでもないコンクリートの壁をとんとんと叩きながらただ前を見て歩きながらもそう、私は判断した。
何故なのか・・・それは仕方ない。
「廊下ってしか言えないだろう。だって廊下としか書いていないんだから。」
容赦も呵責も無く誰もいない廊下でそう告げたのは私である。
仕方ないのだ、だって目の前に変な看板があるのだから、
そうして見上げたのはしかし看板、看板そのものである。
廊下の曲がり角の手前、その先にある看板にはこう書いてあったのだ。
「ここは廊下です。」とはっきりと。
この場所はしかし多くの扉のある場所なのである。
加えて天井の高さや廊下に漂う匂い、
して扉の奥にある黒板に書かれた白い線の名残などがしっかり私に示してくれていた。
ここは廊下、それも学校の廊下なのだと。
「だとしても下らないな。一体誰の夢だろうか・・」
そう静かに怒りを込めながらも独り言ちつつもけれど私は理解していた。
これは夢であり後悔なのだと
・・他ならない私自身の体験した。
あるいはこうなのかも知れない
これから私は回顧し、体験し、経験するのだ。
私の生きていた意味を
「あの子」を交えて
「・・・なら、悪夢を見ようか、██ちゃんの夢を」
「・・はは、そんな事あるわけないじゃないか。ここで下着だけになったのがマシだよ。そんな悪夢。」
「不吉」そのものが宿った声がしかし耳に届いた事をしかし軽口を叩いていた唐突に私は理解した。
思わず壁を叩いていた指が止まりぶらんと下がる
あり得ない
あり得る筈がない
会って、在っては成らない。
・・・そんな事は許されていない、そう思っているのかも私は知れなかった。
「・・許されない。そんなのは、そんな救いは私にはもう、」
「許されるんだよ貴方にも、きっと。だから振り返って自分を思い出して・・」
不吉そのものが宿った声が一度、耳に届いた事をしかし理解・・出来なかったのだ私は、
「うるさい。」そう口に出かかった言葉はしかし言いかけのまま喉を突っ変える事をしっかり私は認識出来た。仕方ない、だって聞こえたのは他ならない「あの子」の声なのだ。
認識できない筈が無い、「あの子」の原因の全てを私は認識していたのだ。
本当にそれでいいのか
「・・あれ、何だこの記憶は」
「許されるんだよ貴方にも、きっと。だから振り返って自分を思い出して・・」
不吉そのものが宿った声が二度、耳に届いた事をしかし理解・・出来なかったのだ私は、
「うるさい。」そう喉に詰まった異物がずきりずきりと存在感を主張しながら私の喉を圧迫する。
苦しい
苦しい
苦しい
・・・そんな風に考えることしか出来なかったのは私である。
だってここは夢の中でだから痛みなんか夢の中しかない夢の中で・・・・
本当にそれでいいのか
「あれなんだっけ。」
「許されるんだよ貴方にも、きっと。だから振り返って自分を思い出して・・」
不吉そのものが宿った声が三度、聞こえれば
「うるさい」ともう声を張り上げて言う気力は私には残っていなかった。
苦しい
苦しい
苦しい
・・・そう異物が泣き喚いて仕方ないのだ。
それはまるであの赤子の鳴き声、魔女の代理の発する気配そのもののようにはっきりと
本当にそれでいいのか
・・そんな意味深なかつての嫉妬の魔女の代理と「魔王」の言葉も今はどうでも良かった。
・・なにせ「ここは廊下です。」という看板でさえ文字が揺れて見えなくなって来ていたのだ。
目の前だというのに欠片も、
真っ白である・・・そんな風に逃げるように他人事に考えていれば私は悟った。
ああ、もう駄目なんだと・・・意識を手放しかけ、
・・思い出したのだ「あの子」の死に様をだからこそ言葉にする。
しかしぎゅっと握り拳を作って
本当にそれでいいのか
・・そんないつからかどこからか聞こえてきた言葉に対する抗弁として
「・・・・・絶対に死んでやるものか!
例え他人事に生きようとも「目的」を見つける目的を果たす為に・・私は生きるんだ!!」
「許されるんだよ貴方にも、きっと。だから振り返って自分を思い出して・・」
不吉そのものが宿った声が重ねて四度、聞こえればしかし私は理解した。
「あの子」こそがこの声の主であるというのが・・・きっと真実である事に
だからこそ口にする、しっかりと思い浮かべて「あの子」の名を頭に刻みつけるように。
本当にそれでいいのか
・・そんな言葉を無視して、
振り返る
声の言うままに
「・・・・・・・・・久しぶりだね、██」
けれどそこには居た
黒髪を持った少女、█████を私は見た。
廊下に後ろ手で手指を汲みながらも佇んで
それを見てきっと私は後悔した。
他人事のように
■
「█████」と名乗った
黒髪赤目の少女がそこに居た。
██自身が言葉にした█████というフルネームそれとは確かにニュアンスの違いのある二文字の伏字を面と向かって言葉にしていたもののしかし少女の顔はしっかり整っていたように私は感じた。
鼻筋はしっかりと通り、
円らそのもののような瞳をした可憐そのものを描いたような少女・・・ではなくただ影そのもののが覆う瞳のようなものを覗かせる少女、それこそが少女そのものであり█████である。
全くもってあの子と同じ姿、つまり見た目だけで言っても「あの子」でありかつ「彼女」そのものであるのだ
影の掛かった貌の見えない少女、█████である。
私は知っていた、今とは違い平安の世では受け入れられもしなかった「不吉」が宿ると言われる影の掛かった瞳を持つ██が皆に好かれていたことを
私は知っていた。
██が皆と平等に喧嘩し、そして仲直りするある種変わり者として見られながらもけれども出会う人、全てと親友とも呼べる仲を築けていた事を
「試練、合格おめでとう。」
不吉そのものが宿った声が厳めしい形で耳に届いた事にしかし疑問を覚える、私である。
「試練、合格おめでとう。」という声が厳めしい形で届いたのは理解出来る。
何せ試練だ、厳めしく聞こえたのも当然である、語調も何だか厳めしかったし・・けれど一つだけ理解出来ない事があるのだ。
あの時、暴走から復帰する前に見た夢の中では普通の喋り方を██はしていたのだ。
少なくとも数少ない高校の会話の記憶に「不吉」という文字は余り入らなかった筈である。
だけれど聞こえる言葉は「不吉」がしっかりと宿っていた。
がっちりと、不吉そのものと言える程に
これはどういう事なのだろうか
「そう思ってるでしょう。答えてあげる。」
「・・・・・・」
沈黙、気まずくも思えるそれを齎した不吉そのものが宿った██の声を耳から耳からに聞き流し私は考える。
まずこうなった理由について理由は三つ考えられる。
まず一つ目、█████に対する私の感情の変化である。
██は友達である、
他人事ながらそれを私は理解していた。
けれどこれはきっと夢、夢なのだ。
だって彼女は死んだのだから
あの時「何か」に半身を噛み砕かれて死んだのだから・・そう他人事ながら理解出来た。
他人事なのだ・・もう、
・・・もうきっと目の前で死んでも何も感じないだろう
だからこそ私は変わったと言え、「あの子」ではないと言えるのだ。
次に二つ目、█████の人に対しての態度である。
██の辞書にデリカシーという二文字は無い。
どんな事もどんな状況でも見抜いてしかも言葉にしてしまうのが█████なのだ。
初対面喧嘩間違いなしであるのが██であった。
・・・・だからこそ”これ”は█████では無いというのが他人事ながらも私の思想であるのだ
そして三つ目、「█████」という名前についてである。
██という名前?█████がフルネーム?
何だこれは全然聞こえん、
しかも読めん
絶対
・・・そう他の人でも思うだろう、他人事ながら少し私も思う。
・・・・・だからこそ私は██と表記するしかなく█████では無いというのが認識であり不吉そのものような声になった理屈であるのだ。
「うん、流石██ちゃん。大正解だね。
三つとも正解だよ、三つ合わせて正解かな。やっぱり地頭が違うのかな教養の差だね~。」
「私負けちゃったって言いたいの、ならもっと褒めて。」そんなかなりライン越えの言葉を貰って頭に「?」を浮かべている自分ではない██の顔を他人事ながら少しだけ見つつも私は考える。
影の掛かった貌の見えない少女、█████である・・である筈なのだ。
けれど目の前の少女はしかし違うとしか思えなかった、他人事ながら。
名前も違う
見た目も良く認識できない。
記憶と姿も一致しない。
この子は「あの子」ですらなく「彼女」ですら無いというのが他人事ながらの█████に対しての私の感想でもある。
・・・・訳が分からないのだここに彼女がいる理由が、
そして決定的な事実がもう一つあった
「何で貴方、生きてるの█████」
そう冷ややかに告げればしかし「?」を浮かべていた██はただ笑みを浮かべた。
ただ私の顔を見て笑みを浮かべた
影の掛かった貌の見えない少女、█████であるだけの、
・・空白として
■
他人の空似というのが遺伝子レベルで同じである事は有名ではない。
ある種の与太話と思われがちなそれは俗説のようでありながら学説である
して行動も、人生も離れていれば似てしまうというのがこの学説の肝であった。
似ていれば同じ行動を取るのだ・・人間というものは・・それを示したのがこの学説なのだ。
・・・そんな信じがたい言葉を眉一つ動かさずに面と向かって慈悲深く話したのはある少女である・・と他人事ながら朧気に私は理解していた。
そんな頼りも無くて風説紛いの学説をしかし私はこう理解していた。
こんな学説はあり得ない、ただの俗説以下の風説紛いかつ擬きそのものである・・・と
けれど今、こう考えるのだ█████に対して
全くもって下らない顔の通りじゃないか・・と他人事ながらも
空白そのものの精神が、根暗な性根が言葉の端から出ていたのだ。
██の言葉なのに何もかも不吉に思えたのはそれが原因である。
あの時、つまり█████と顔を合わせる前の最後の一言を私が発したあの時に「あの子」が死んだ。
きっとそのままその通りなのだ・・・きっとそう私は理解した。
なればこそ全くもってあの子と同じ姿、
つまり見た目だけで言っても「彼女」そのものである・・・と一千万歩譲ってもきっとこれは違う
きっとこれは違う
これは夢であり後悔なのだと
・・他ならない私自身の体験したそれなのだと私は理解していた。
「あの子」を交えてという点を除いて
「他人事の自分自身を自覚し自死する事も試練の一つであるのだがな、
あの状況で振り返りかつ自身の人間性と目的を得るという「目的」という名の信念を取り戻したのでよしとしたのだ、理解出来ないだろうな。お前よ。」
「・・・・・・」
不吉そのものが宿った言葉を冗長かつ理解不能に話したのは██・・ではない・・「蛇」であると沈黙していながらも奇妙な語尾によって他人事ながら私は知っていた。
影の掛かった貌の見えない少女、
█████の姿をした「蛇」はこちらに貌を向けがらも冗長に言葉を続ける。
「まだもう一つ試練はあるもののこれからの事象や事変あるいは地獄に対しては興味がないのだ・・どうとでもなるのだから。お前よ。」
「・・・・・・」
不吉そのものが宿った言葉を話した██・・ではなく「蛇」は未だ増長したように冗長に難解かつ主旨不明な言葉を変な語尾を付けながら他人事に離している・・・・そんな奇妙な言の葉を他人事に感じながら私は考える。
どうして「蛇」が長話をするのかではない。
どうして「あの子」つまりは█████の振りを続けるのかについて
考えられるのは三つである。
一つ目は私に取り入りたいから
他人事ながら言っておくが今の私は強くなどない、
今の私になり損ないとしての力は無い、
予言の魔女としての力を持つかも私にとっては怪しい。
・・・・だがこのいちいち私を信用させようとする態度に言葉・・これには肌寒い物を覚えるのだ。
信用させ、主導権を握る、あまりこのような手合いには会って来なかったが同じなのだ・・どこかの誰かと
二つ目は私を手に入れたいから
初めに前置きするが私にそこまでの価値は無い
自身の記憶の実感すら難しく
肉体としても人間から逸脱している。
そして極めつけは肉体が死んでいることにある。
・・不死身である筈の今の私はきっと確かに死んでいるのだ。
だって「死」の魔力というものに培養水槽の中浸かっているのだから、死なない筈が無いのだ
三つ目は他人事の私を変えたいから
これは大穴で希望的観測が強い物の「蛇」にとって憎悪と憤怒、欺瞞を司ると嘯きながらも神聖な程誠実な声を持つ女である筈の彼女が一番望んでいる事と言えば何んなのか・・ただそう考えればいい。
試練を与えて誘惑しながらもその試練の突破を祝う意味、
未だ█████の顔でいる意味。
他人事という記憶の実感を取り外してけれど再び取り戻させる意味
それらから考えれば答えは一つに浮かび上がる・・・
「・・・・「蛇」、貴方の目的は先の私の三つの推測を合わせたもの
つまりは私に取り入り、手に入れ、他人事の私を変える事・・違うか。」
「 ふふ」
冷酷で冷静で冷徹、そんな風にも思える他人事の言葉にしかし「蛇」が笑うのを私は見た。
瞬間、白が覆い尽くしドクンと脈打てば影のベールに覆われた少女は溶けていった
影が溶ける、
瞳が溶け、
鼻が溶ける、
そして血潮が溶ける。
影の掛かった貌の見えない少女の姿、その影のベールがただただ剥がれ落ちていく。
それはまるで絵物語のように綺麗に渦を巻いて、
まるでとぐろを巻くように、不吉そのものを拭い去るように
・・・█████の首がぼとりと落ちたその時そこには在った、「空白」が。
「久しぶりだな・・お前よ。」
そうして全ての不吉、あるいは不幸や不安が空白によって拭い去るように溶ければけれど神聖な程誠実に思える女の、の声が私には聞こえた。
「空白」がただそこにある証明として。
「蛇」の言葉としてそうして私の目の前に空白の手指が差し出されるように目の前に開かれれば・・
私は意識を失った。
文字通りの意味で何度も禍根鳥に意識を失わされたように
そうして私は意識を失い・・けれど聞いた
「力が欲しいか」・・と悪役としては平凡なその言葉を、はっきりと
けれど私の無い筈の心臓は鼓動する。
ドクン、ドクンと胸を伝って
臍の尾のような管、ブロックノイズを包んだ培養槽ごと心臓でもあるように
部屋そのもののように
私が目を覚ますまで次の地獄までもう少し・・
・・・そんな確信と共に私はただ目を覚まし閉ざした、禍根鳥が見ているそんな錯覚と共に
■
見る事は知ることであるというのは思うに間違いである。
見るだけでは足りないのだ知る為には。
目に映すことは知覚する事では無く
知ることは経験する事よりも尚厳しくも難しい。
だからこそ人は何度も手本を見返し、かくあるべしと自身をあらゆる形で鍛え上げる
・・ある偉人が残した言葉に対する反論であるこれはしかある矛盾を孕んでいた。
全てを知る者には何も意味をなさない言葉であることを。
全てを成す事の出来る者には何も意義を見出せないものだと
つまりは対象が全知全能であれば意味がないのだ・・・この言葉は
ならばこそと禍根鳥は思う。
全てを知ればいいのだと・・・この見る事は知ることであるという言葉、それに対する反論その理由を知る為に、そして立証する為に
赤子の鳴き声が聞こえる。
扉を開けばそこに居たのはプネウマ、バフォメットのプネウマである。
静かに揺り籠を小さな手指で揺らすその姿は哀れみにも慈愛にもどこか満ちているように19号には感じられた。
先の言葉をしかし思い出しながらもけれどどう話かけるか考え事をしていれば19号に声が掛けられた。
「何をしに来た、今は「計画」に従う時間ではないんじゃないか。」とその言葉に「確かに」
・・と静かに独り言ちる19号である。
この時間、プネウマは「計画」に何も記載が無かった、
細かい時間まで指定されている計画にしては異例なほどの時間がプネウマに与えられていたのだ。
この時間を好機と見て赤紐の赤子をあやしに行ったのかと理解していれば19号の変わりに禍根鳥が言葉を紡ぐ。
「ああ、その通りだな、だからこそ君にはして欲しいことがあるのだプネウマ。」
「・・・・・」
慈悲深くも淡々としたその禍根鳥の言葉にしかし沈黙を以てプネウマが答えた事をはっきりと19号は認識していた。
理由として推測されるのは一つである事も
当然赤紐の赤子の為であろうと19号は考えていたのだ。
しかしその期待にも似た感情はプネウマと禍根鳥の言葉によってしっかりと裏切られる。
「赤紐のこの子の事を考えれば裏切るのが良いのだろう。
しかし我らは少々、異質だ。だからこそ解る。貴様はこう考えているなプネウマ。
この子だけでは無く全ての生命を救いたいと。
・・・その願い叶えよう。」
そのある種新鮮で冗長な禍根鳥の言葉に沈黙しけれど山羊のような横一文字の瞳孔を向ければしかし笑った。
19号と禍根鳥に対して白い歯を見せるように
「そうだが。」
そんな意味不明で理解不能な言葉を二人に対して向けながら
赤紐の赤子が入った揺り籠を片手で揺らしながら19号と禍根鳥を見つめながら・・そうして呆然とプネウマを見つめていれば・・・
けれど唐突な光と共に19号は意識を失った。
プネウマと禍根鳥の手によって。
意味が解らないという正論そのものの言葉を浮かべたその時に、ただの一瞬で。




