第26話 会議は踊る
「初めよっか、首絞めの魔女を探す為の会議を
そして「魔王」を僭称する魔女である禍根鳥憂喜を殺す為の会談を」
女神のような笑みを浮かべて私はそう言った。
・・魔女文字を周囲に浮かばせて分かったが、何かの視線は今は無い、
利用する対象である彼はどうにも作戦会議と知って空気を読んでくれたらしい。
ついさっきまで在ったのに不思議であると考えかけ思考を目の前の会議に戻す。
これからの私の目的は三つ、
鏡の国の人々に平和を与える事、
「計画」を実現させる事、
十二あるマスターピースを集め「予言」を叶える事である。
『十二ある「世界の欠片」、全てを集めた者ただ一人が全ての魔女を超え「魔女」と成れる』
今は何かが見ていないにも関わらず鈴以外の魔女の代理と副代理経由でも連絡が付かないというのが私の第二特性から理解出来た。
街の半分以上を読み取っている情報の「収集」と「集積」はこれらの情報を私の脳味噌に届けてくれたのだ。
そして私自身の力、何かが見ていない故か第三特性についても理解が及んできた。
「█」
光を用いる力であり、そのどれもが意思の込められた「光」であると言う。
この第三特性の特徴としては本質が光に近しい為速度が亜光速という速さで殆どの人間に回避が不可能な攻撃を与える点がある。
その圧倒的な速度で発射される光のような物質はけれど全ての者を殺し尽くす。
そんな人外染みた力であるのだ。
魂を糧にし魔素を生み出して魔力に変換する必要のある魔女とは種類の異なる私という特殊ななり損ないらしい力であった。
けれど、そんな物騒な私の回想を気にする事なく鈴はこう言った。
「何かの正体は首絞めの魔女であるというのが俺の意見なんだが、
それ以外の可能性を考えた時に思い当たる事が少ないのが問題でもある。
魔女の象徴という「魔女」の遺物を探そうとしても意味が無い事が鏡の世界では常識であるようにこれらの考察が果たしてどれだけの価値があるかは分からない、掟破り。
お前は何かという存在の正体について何を考えている。」
「うん、良いよ答えてあげる。
鈴、何かについて私の考えは少しだけ変わった。」
「彼は恐らく本当に禍根鳥を超える存在、「魔王」を僭称する魔女とて彼の命令によって動いている可能性がある。つまりは・・・・」
「彼、いいや彼女こそが・・・・・」そう言葉にしかけけれど魔女文字の中で私は口を噤む。
今はこちらを見ていない何かという存在について私は恐ろしく思えてしまう言葉を吐きかけたのだ。
どうあってもその結論は避けなければならないと感じていたのだ。
魔女の血
悪魔の杖
魔女刻印
大罪の遺物とも呼ばれるこれら三つはしかし持っている存在については心辺りが在った。
魔女の代理・・では無い。彼らについてはきっと持っている杖が悪魔の杖だろうと類推出来る物の余り理解出来なかったのだ、私の第二特性を用いてもである。
だからこそ、私には信じられなかった。
何かという存在が持つ十字の剣から鈴と同じ大罪の遺物の気配を感じた事に
けれど、だからこそ私は魔女文字を浮かばせながらもこう告げる。
悪魔の杖を持った存在について一つだけ新しい記憶達の中から心辺りが在ったのだ。
そうそれこそあの存在・・・
「あの方である可能性が高い。」
そう静かな声で女神のような笑みを浮かべながら、私はそう言った。
憤怒の副代理である赤神と暴食の魔女の代理である鈴の目を見てそう言った。
だからこそ、魔女文字の中で私は笑んだ。
思い通りと言わんばかりに
□
「計画」、
私は当時それをあの方や禍根鳥、賢人会、して「蛇」だけの物だと考えていた。
けれど鈴が準じる計画と他の魔女の代理の動向、
そして他ならない何かの存在からして考えが少しだけ変わった。
魂すらない私にも理解出来ることが在ったのだ。
計画はそれぞれの形がある
そう考えだしたのである。
裏切りの魔女には裏切りの魔女の「計画」が、
鈴には鈴の「計画」が、
そして他の魔女の代理には彼女ら独自の「計画」が、
賢人会が崇めているであろう(新しい記憶達に在った)何か、
・・つまりはあの方に依る物だけではない、それぞれが考えた「計画」があるのだと理解してきた。
私にはそれが無かった。
ただ流されるまま何かが与えようとした三度目の死を受け入れ、
して信念は失われ、指針は失われ、そして感情の残滓すら失われた。
残されたのは記憶の実感と感情、そして魂の全てをも失った肉体とただぼんやりとした現状への不理解だけである。
何かの視線は無い物のそれ故に私は思う、何とも情けない話であると
けれど、だからこそ私にはある物が必要だった。
そう「計画」である。
当然だが、私は「予言」を知らない。
「計画」を構成しているであろう根源を知らない。
だからこそ、私に必要なのは「予言」を知る事である。
魔女が皆持つような予言書に書かれている物では無く、賢人会が持つような預言書を元にした「計画」を立てたいのだ。
だからこそ、私はこう言った。
「彼、いいや彼女こそが・・・・・あの方である可能性が高い。」
と魔女文字を浮かばせ、周囲を警戒しつつも私が知り得る限りの爆弾を投下した形である。
この情報の形をした爆弾はけれどこの場に居た者に二つの答えを齎したのを私は認識した。
驚愕と猜疑という回答を引き出させたのだ。
憤怒の魔女の副代理と暴食の魔女の代理、それぞれの瞳に
そうして二人はけれど言葉を紡ぐ。
「そもそも本当に何かがあの方であるという証拠は在るのでしょうか。」
「何かが首絞めの魔女では無いとしてそれを断定出来る証拠はあるのか、掟破り」
「いいえ、現状だとどちらも無いよ。
けれど何かがあの方だとすれば筋道が立つ事が在るんだ。
あの時の彼女の気配、そして私の中に居る「蛇」に対する言いよう何だか違和感が在ったんだよ、
そう知り過ぎていたんだ、
私が死ぬ度に代償を払って強く成る事も、
「蛇」なんていう「魔女」の敵対者が私の中に居る事を知っている事も
きっと、鈴や乃瑠夏の鏡の国の上層部しか知らない筈だったんだ。
それこそ「予言の魔女」と私が呼ばれるのはきっと暴走した時のあの状態が「予言」に書かれた通りで、
怒りのままに現実を変える力が私の体に影響を及ぼしてるっていう事を知っているという現実を示す物だったんだ。」
「話を戻すけど何かは知り過ぎていた。
出自すら分からないであろう私の事から私の中に居る「蛇」の事まで、皆や鈴にすらこれまで話してこなかったのにだ。」
「本当に知り過ぎていた、まるで全知全能の「魔女」のように」
「だからと言って、何かがあの方・・即ち「魔女」であると決めつける必要はない。だからこそ貴方達の意見が聞きたい」そんな言葉を魔女文字の中で吐きながらもけれど私は考えていた。
この会議の目的は三つだ。
首絞めの魔女という痕跡を探す方法を考える事、
色欲の一族の処刑を阻止する作戦を考察する事
して三人で「色欲の街」を救う為の計画を練る事、
これら三つなのである。これらは本来私の「目的」と合致しない。
鏡の国の人々に平和を与える為に首絞めの魔女を探す必要はなく
「計画」を実現させる為に色欲の一族を助ける必要はなく
十二あるマスターピースを集め「予言」を叶える為に「色欲の街」を救う必要はない。
けれど、だからこそ私にも考えていることが在った。
何かの視線が無い今の内に彼女という全知全能の存在を少しでも知れば対策を練れるのでは無いのかと
その為にこの魔女文字がまだ使える状態で二人から言葉を少しでも引きずり出す必要が在ったのだが、けれど二人はこう言う。
まるで当たり前のように、
して常識のように
そして現実を語るようにこう言ったのだ。
「「何かがあの方である可能性は極めて低い」」・・・と
二人で声を揃えて、平坦な声でそう言った。
まるで目の前の事実から目を逸らすように
□
「「何かがあの方である可能性は極めて低い」」
そう鈴と赤神は声を揃えて言った
そこにされど逃避の語調は無く、
そこにけれど自傷の言葉は無く、
だからこそ、そこに在ったのはまるで「神」を信じる敬虔な修道女のような朗らかな敵意だった。
魔女文字越しに伝わるその気配にけれど理解する私である。
つまり、彼らは怒っていたのだ。私の先の言葉に
「あの方である可能性が高い。」という当たり前の言葉に
だからこそ、赤神はこう続けた
「君が予言の魔女であると断じられたのは何も暴走している時の姿が予言に記されていた通りだったからだけではありません。その特性も言動も何もかも「計画」通りの物だったからです。
「蛇」という存在でさえ私達は先程貴方が口にするより前から知っていました、
それこそ君が「計画」の要である最大最強のマスターピースである証ですからね」
「しかし、禍根鳥憂喜が裏切った今、状況は変わりつつあります。」
「彼女は強い、それも魔女の代理の中でも比肩する者など二人と居ない程に、
今連絡を取れる魔女の代理の中では鈴殿と乃瑠夏様しか彼女には対抗すら出来ません。
それほどに強い彼女が何故、宣戦布告をしながらも自治区以降、各都市国家に侵攻してこないのか。
理由が解りますか、なり損ない」
「分からない。泣、貴方はどう考えるんだ」
「聞かれたのであれば答えましょう、それは貴方を待っているのですよ、なり損ない。」
「・・・それはどういう事。」と言いかけ魔女文字を浮かばせながら口を噤む私である。
理解していたのだ、
この「色欲の街」に首絞めの魔女だけではない、
禍根鳥憂喜が居る事に
「魔王」を僭称する魔女である彼女が待ち構えている事に
裏切りの魔女である彼女が黒布目隠し越しにじーっとこちらを窺っている事に
あの方とは違う別の視線として私は知っていた。
その黒布の目隠し越しに彼女が見ている事など、
第二特性である情報の「収集」と「集積」を起動した時から理解していたのだ。
あの方の視線という形で
つまりは何か、・・あの方の視線に直ぐに気付けたのも、
彼女の禍々しい視線を魔女文字越しに第二特性である情報の「収集」と「集積」で感じ取った故であるというのが今の私の推測であった。
そしてこれは正しいと決定するかのように鈴はこう言う。
「禍根鳥は見ていた、この「色欲の街」に入ってからお前を何か、いいやあの方とずっと一緒に。
奴はずうっと主君の傍に居たんだ。
さも自分が遣える者が彼女であると言わんばかりにな、
そして奴がそうして慕う者も数える程しかいない・・・」
「ようやく理解してきたよ、掟破り」そう静かに独り言ちればけれど鈴は魔女文字を周囲に浮かべる私の目を見た。
まるで道徳を語るように
まるで倫理を説くように
まるで人倫に乗っ取るかのように
記憶の実感も感情も、
そして魂すらもない私の顔を見ながらこう言った。
「何かこそがあの方であるかも知れない。」
とまるで自身の過ちを認めるようにそう言った。
赤神が目を見開くのをまるで理解していた様にそう言った。
瞬時、怒号が私と鈴の耳を貫いた。
して振り返れば凄い剣幕で怒る憤怒の副代理、赤神泣が居た。
そうして辺りの魔女文字すら見えていないと思える程の声で赤神はこう続けた。
「その不敬、いくら「魔王」陛下であろうと万死に値しますよ!」
・・と面倒そうな言葉をけれど激しい怒りと共に魔女文字越しに赤神泣は言葉にした。
□
「その不敬、いくら「魔王」陛下であろうと万死に値しますよ!」
言葉にしたのは赤神であると私はしっかり理解していた。
分かっていたのだ、
彼女がそんな風に怒声を浴びせてくる事を
だからこそ、私は魔女文字を浮かばせつつもこう返す。
「いくら「魔王」様でも事実は否定できないんじゃない。」
「うるさいですよ!なり損ない!!
少し黙って下さい!!これは魔女の教えに関する問題なんです!!!
君には決して関係が無い!!!」
「・・・・分からないか。掟破りを黙らせても現実は変わらないぞ、
この言葉が少しうざったく思えるのと同じような理屈でな。
だから話をしようか、憤怒の魔女の副代理」
静かに諭すような言葉を投げかけた鈴にけれど魔女文字の中で考えつつ私は疑念を覚える。
何故、そんな事を言うのか
何故、そんな言葉を話すのか
何故、そんな風に語り掛けたのか
分からないのだ、私には分からない。
信念を失った、魂の全てをも失った肉体を持つ私はけれど本当に理解出来なかったのだ
赤神泣が怒る理由が、彼女が魔女の教えという信仰を語る理由が
魔女の教えとは「魔女」が記した「予言」から成る予言書に記された教え全般を指す。
これは魔霊と魔女、神の三位一体から成っている。
魔霊とは、何かを信じる「心」そのものであり「信仰心」そのもの。
これは高次の存在や「魔女」などの神に比する存在を信じる心だけでなく重要な価値観を信じることも含まれる。
魔女とは自分自身そのものであり、
して神とは言葉通り神・・所謂「魔女」アドナイその物を差す。
そして私はプネウマとウィッチの二つを愚弄した。
魔女を軽蔑しそれを生み出した「魔女」を否定した・・と取れる発言をしたのだ。怒られるのも無理は無い
だからこそ、こう魔女文字越しに言葉にする私である。
「「蛇」を内に宿す私が言う事でもないだろうが、
して魂すらない私が言う事でもないかも知れないが、
私は分からない、
赤神泣、貴方が魔霊と魔女を・・引いては魔女の教え全てを重きに置いているのは分かった。
けれど分からないんだ、
信仰は命より大事なのか。
何かがあの方だった時、貴方は怖くないのか」
「無論です!
魔女の教えは既に信仰を超え常識の一部と成っている!!
日常そのものの習慣に成っている!
それを覆そうなど罷りなりません!!部外者である貴方には分からないでしょうがね、なり損ない!!!」
「・・・・そう大変なんだね、分からないけど。けどだからこそ言えることもあるって私には分かった」
静かに告げるようにそう言えば私はこう言った。
まるで戒めるように
まるで自戒するように
まるで自滅するように
何かから逃げる訳でも無くただ魔女文字を浮かばせながらこう言った。
「私に信仰は分からないかも知れない、だって魂を「蛇」に売っちゃったから」
そんな言葉と共に静かに赤神は剣を私の首に振るった。
□
初めに行動したのは鈴だった。
赤神泣は副代理、随一の実力者である。
代行会という強者達の中でもその立場故か剣力は群を抜いていた。
だからこそ、なり損ないである私の首に剣が届く・・筈だった。
しかし鈴は赤神が抜いた剣を寸前で止めた。
魔素から作り出した剣を自身の人差し指を使って止め、いつの間にか私と切っ先の間に居座るように入り込んで居た。
鈴と赤神、圧倒的な力の差がそこに在った。
けれど、だからこそ力の差を痛感して肩を戦慄かせ、恨めし気に鈴を睨みつけた後、魔女文字すら見ずに赤神は私にこう言う。
「「蛇」に魂を売った・・ですって。
「蛇」に魂を売った、「蛇」に魂を売った、「蛇」に魂を売った。ですって
「蛇」に魂を売った。ですって。
信じられません、もうこの者に生きる価値はありません殺します、どいて下さい鈴殿。
必ず殺さねば代表会議にて代行会の責任にされますよ」
「だからこそだ、今の掟破りをお前が殺せるかどうかに関わらず。お前がどうこうする許可を俺は出していない。」
「だそうだよ・・「蛇」」そう「蛇」に話しかけつつ無表情を浮かべながらも魔女文字越しに私は言った。
返答は無かった、何かの視線が無い今は話したくないのかも知れない。
けれどこの時私には三つ考えていることが在った。
どうやって魔素から剣を作ったのか・・では無い
「蛇」に関して・・・では無い
目の前の赤神という存在に対して・・でも無い。
私の心についてだ
私の心は三つ在った。
鏡の国の人々を幸せにしたいと言う心
首絞めの魔女を探したいという心
「魔王」を僭称する魔女である禍根鳥憂喜を殺して見せるという心
これら三つである、存在しない筈の四つ目については私は触れない。
彼女についてだなんて考えて上げない
だからこそ私には何も無い。
記憶の実感も感情も、魂すらも無い
何も無い、魔女文字と「特性」をただ使えるだけであるだからこそ分からない・・赤神泣について何も分からない。
どうして彼女が首を跳ねる為に剣を魔素から瞬時に作れたのか・・では無い。
それについては理解出来る、
彼女の魔術的な技能、技術の一つだろう。
第二特性である情報の「収集」と「集積」を用いずとも直感的に理解出来た。
分からないのは一つだけ・・彼女の怒りその理由についてだ。
彼女が魔素から剣を創り出し、抜き放った理由についてだ、
だからこそ私はこう言った
「私は貴方の信仰を軽んじないよ、赤神泣
けれどどうあっても分からない事が在ったんだ。
魂を「蛇」に売っても私は生きている、
むしろ新しい特性を得て貴方よりもきっと強く成った。」
「悪魔のような存在に魂を売るのはそんなに駄目?赤神」
「・・・・ああ、駄目ですね。奴の「計画」が進みますよ、なり損ない」
「私は「蛇」の事結構好きだけどね、
三回も代償払ってとは言え蘇らせて貰ったし、性格も可愛いし
だけれどだからこそ言う事が在るんだ、赤神」
静かに問いかけるように言えばけれど魔女文字を周囲から消して女神のような笑みを私は浮かべた。
本当の笑みでそう笑んだ。
そうありたいと思ったから笑んだ、
・・・笑んでこう言った。
「私、後悔はしない主義なんだ。絶対ね。」
そんな言葉と共にけれど女神のような笑みを浮かべながら赤神の頬に私は手を添えた。
静かに心配する慈母のように
まるで負けん気を発揮する娘のように
可愛らしい盛りを捨てた感情の薄いなり損ないのように
けれど私がそう言えば・・・・
赤神泣は剣を収めた、
まるで私の言葉を許したように剣を切っ先から柄まで一気に魔素に還した。
鈴の視線を気にせずに俯いて剣を収めた。
そうして、私達は再び人々を平和にする為の会議を始めた。
□
会議は予想通り混迷を極めた。
私と鈴、そして赤神の目的が噛み合わなかった形である。
私の目的は三つ、
そしてこの会議の目的も三つ
難航したのはその擦り合わせであると私は知っていた。
そうしてお互いがお互いの意見をぶつけ合いながらも妥協点を見つけて副代理達に再度連絡を取り一日が過ぎた今、魔女暦2998年8月13日、私達は立っていた。
「城」と呼ばれるネオンに照らされたそこに、
色欲の魔女の代理であった裏切りの魔女が暮らしていた場所に
「魔王」を僭称する魔女が率いていた一族が住んでいる建物の前に私達は立っていた。
けれどだからこそ私はこう言った。
「始めよっか、鈴、泣。」
色欲の一族の処刑の二時間前、午前5時30分
何かが二度、見ている中で私達は行動を開始した。
私達は首絞めの魔女を炙り出す為に
して裏切りの魔女を探し出す為に、
そしてあの方を引きずり出す為に、
そんな思いを込めながらも魔女文字を周囲に浮かべた私が淡々と言葉にすれば・・鈴と私は二人で城門を正面から同時に蹴破った。
そうして私達は「色欲の街」の「城」に正面から侵入した
魔女暦2998年、8月13日
第二特性がこの「色欲の街」を全て読み取った
見ている者に貴賤は無い。
見えている景色に貴賤が無いように
どちらにも価値はあるのだ
~人助けの魔女~




