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傷だらけの関係を君と。  作者: 真曽木トウル
25/87

24. イベント



 ――――――――――自分が連続傷害犯であることを、三条和希(センパイ)は白状した。




 牧ノ瀬覇華をにらみつけながら、どこかゆらゆらと不安そうに揺れる光も感じるその切れ長な目。



「……それでいいですか?」



 これ以上は言いたくないと言わんばかりに、和希は覇華を見る。



「うーん……わかった、それで」


「覇華さんがなぜ今日のことを知ったのか、教えてください」


「そっちが、何がなんでも聞きたいのね。

 わかった……」



 なにか諦めたような口調になると、覇華は、自分の斜めがけカバンを手元に引き寄せた。

 その中から、ごく小型のノートPCを取り出す。携帯電話でデザリングを設定する。



「最近、関西一円の色んな武道の道場でさ。女子の部員をしつこく勧誘してくる、AV?か何かの会社がいるっていう話があって。その会社のこと、調べたのね」


「AV業界に、女子格闘家、っていうジャンルはあるみたいですね……」


「あ、知ってた?

 そしたら、裏サイトが出てきたみたいで……ええっと、カズくん。見て大丈夫?」


「……見ます」



 和希の言葉に覇華はうなずき、目指すサイトを開いた。


 ……すぐに、目を背ける。



「無理しなくても」


「……見ます」



 慶史も、そっと横から覗き込んだ。



(うっ……)



 エロサイト、というか……違法感がぷんぷんするサイトだった。

 凌辱系専門を謳っている。

 本物と銘打たれた、荒いレイプシーンの写真がまき散らされている。


 画質が綺麗なので、作られたものかもしれない、けど……

 綺麗な女性2人と並んでそのサイトを見ることへの気恥ずかしさもあって、慶史は少し、画面から、距離を置いてしまった。



「えと、で、ここんとこに、企画が立ち上がってたのね」



 覇華は、画面のソコ以外の部分を手で蔽い隠すようにしながら、目指す箇所を、あごで示して見せた。

 文字はさすがに近づかないとわからない。慶史は画面に寄る。



『美人格闘家リアル凌辱企画第1弾!

 京都に暗躍する「レイプ魔狩り」を逆に狩れ!

 テコンドー界最強の女を、男のチカラで屈服させられるのか!?

 撮影動画は5月配信予定!!』



 見事なまでに罪悪感を払拭するノリのあおり文句。


 そしてそのイベントの日付は、今日のものだった。



「やっぱりこういうことか……」和希は、息をつく。



「あの……どういうことです?」慶史は、頭がくらくらする思いで、覇華に尋ねた。



「この企画主は、少なくとも、連続傷害事件の犯人がカズくんであることを知っていた。

 知って――――イベントと銘打って、カズくんを」


「三条さんを襲って、撮影しようとしたってことですか?

 だって犯罪ですし、普通AVとか、どんな名目だって、契約した女優さんを撮るものなんじゃ……」



 そう言いながら、慶史の脳裏に以前ニュースになっていた、AVへの出演強要問題を思い出した。

 女性をだまして強要するというケース。

 AVというものが、あくまでもアンダーグラウンドに押し込められているがゆえに、悪い人間が暗躍するのなら……

 女性を襲う<イベント>、そんなものさえ、成り立ってしまうのか……?



「ここで、当日の参加者募集ってあるでしょ?

 たぶんあの人たちは、このサイトを見て応募したんじゃない」


「全裸で縛って、橋の上から吊るしてさらしものって<企画>だったみたいですね」


 自分のことなのに、しごくさらっと三条和希がいうのが、妙に慶史には恐ろしかった。


◇◇◇

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