お願い
早いもので私が騎士団長になって数週間が経過した。
着任した日には新しくやって来た私の実力を疑っていた第5騎士団の面々であったが、しっかりと認めてもらうことができた。
最初は、
「お前が殉職したマッスル団長より強いわけがない!」
「第5騎士団の団長になるなら実力を見せてみろ!」
とふざけたことも抜かしていたが、騎士団のメンバーとお話し(物理)したら誰も私に逆らわなくなった。
何よりも朗報だったのは、私の前に騎士団長をやっていたマッスルという男が武闘派だったことである。
彼は事務作業を部下に丸投げしていたようで、そのおかげで私も面倒な書類仕事なんかはしなくても問題ないみたいで助かった。
それからリアについて。彼女は私の役に立ちたいと言って騎士になるための学園に入学をすることになった。
将来的には第5騎士団の副団長になることが夢だと言ってくれて嬉しかった。
そんな風にリアとのやり取りを思い出していたのだが、執務室にノックの音が響いた。
「頼もう! 俺である!」
入室の許可を出してもいないのに勝手に部屋へ入ってきたのは国王であるレオンハルトだった。
「どうぞお帰りください」
「相変わらずの態度だなシルヴィア」
「それで、いきなり何しに来たんですか?」
「うむ、実はお前にお願いしたいことがあってな」
「私は今忙しいのですが……」
「まあそう言うな」
シルヴィアは心の中で溜息をつく。
この国のトップであるレオンハルトは、とても王様だとは思えない自由な男である。
私が彼と関わった時間は少ないが、それでも理解できるほどに。
なぜなら仕事を抜け出して、私の執務室に遊びに来たりするからだ。
これが遊びの誘いなら問題ないのだが、今日は面倒ごとの匂いがする。
「はぁ……で、いったいなんの用なんです?」
「うむ、お前に倒してほしいモンスターがいてな」
「……」
「どうした?」
「めんどくさいので嫌です」
「基本的に部下に仕事を押し付けている暇人が何を言っているのだ。たまには働くといい騎士団長」
「……はぁ……で、そのモンスターを倒せばいいんですね?」
「うむ、よろしく頼むぞ!」
こうして私は嫌々ながらもモンスター退治をすることとなったのだった。




