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来客


「この俺を無視するとは、さすがに俺が見込んだだけのことはある」


「どちら様ですか?」


 眠りから覚めて、紅茶でも飲もうとリビングに降りると玄関に人のいる気配がした。


 気になったので扉を開けてみれば、見知らぬ男が玄関の前に立っていた。


「しかし、もう少し出てくるのが遅かったらこの家を破壊していたぞ」


「迷惑な人ですね。で、どちら様ですか?」


 まったく。こちらの質問にちゃんと答えてほしいものだ。


 それにしてもこの男……どこかで見たことがあるような…?


「うむ、お前をスカウトしに来た。というか冒険者ギルドから手紙を出してもらったはずなのだが」


 そういえばそんな物があるとリアが言っていた。

 二度寝したかったから思いっきり無視したけれど。


「あー、手紙なら無視しました。というかスカウトとは?」


「騎士団長にならないかシルヴィア?」


「騎士団長? めんどくさそうなのでパスで。というかそもそも貴方は誰ですか?」


 今のところ顔がいいだけの不審者でしかない。

 顔面だけは少女漫画のヒーローのように整っている。


「ハハハ! 本当に俺のことを知らないのか?」


「自意識過剰なんですか? 全然知りませんが」


「そうかそうか。ふむ、俺の名はレオンハルト・レオニダス! このレオニダス王国の王である」


「へー、王様ですか」


 うん? 王様?


 何か大事はことを思い出せそうな気がする。


 あ、あー!!


 この男。地球でものすごく流行っていた漫画に出てくるキャラクターじゃん!


 思い出した。私は原作を読んでいないけれど、それでも知ってるんだから相当な人気キャラクターなはず。


 つまりこの世界は漫画の舞台ということ?


 私は物語の世界に、全然関係ないゲームのキャラクターになって転移したと…


 いやいや、そんなことある?


 というか本当に原作を読んでないからストーリーの流れとか知らないんですけど!


「つい先日、古龍が現れてな。騎士団長が3人亡くなったのだ。だから新しい人員を探しているのだ」


 騎士団長。最初は断ったけれど、この男について行けばストーリーを特等席で見れるのでは?


 せっかく漫画の世界に転移したのならば、やっぱり物語を近くで傍観してみたい。


 

 原作を知らないからこそ、初見で色々と楽しめるかもしれない。

 なにより娯楽が少ないこの世界での新しい楽しみになりそうだ。


「騎士団長になるというお話しですが」


「おう」


「お受けしようと思います」

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