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悪役令嬢に転生したので魔王を復活させるために暗躍します  作者: こみやし
05.悪役令嬢の魔王討伐

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05-05.強制デトックス


「はっ!?」



 あれ!? 私寝てた!?


 なんで!? ここは私の部屋!?


 ベッドで寝てる!? いつの間に!?



「まさか……夢……だったの……?」


「まだ寝ぼけていますね。ベルベル様」


「ダー……リャぁっ!?!?! あ、あんたぁ!? なぁ~にやってんのぉ~~~!?」


「むごぉ~~!! むががぁ~~~!!!」


 縛られて吊るされ、猿轡まで噛まされたネルが、涙まじりの目で助けを求めてきた。


 ダーリャはそのすぐ後ろに立ち、私にとってはとても見慣れた懐かしき尻叩き棒を手にしている。



「すぐに降ろしなさい!! 何考えてんのよ!!!」


「違うの、ベルベル」


 リリィ!? あなたまで一緒になって何やってんの!?



「落ち着いて、ベティ」


「フララ! どうして止めなかったの!?」


「話を聞いてください。ご主人様」


 メルメルまで!? って! いいから! 早く降ろしなさいよ!!



「ベルベル様。手遅れです」


「何を開き直ってるのよ!?」


「いえ。そうではなく。彼女は既に魔王の力に魅入られていたのです」


「なっ!? なんですって……?」


「だからベティ。これは必要なことなんだよ」


 ……え?



「魔力修行と同じ要領です。体内の膿を全て吐き出させる必要があります」


 バチン!!



「んひぃぃぃぃぃんん!!!」


 ネルの口からくぐもった悲鳴が漏れ、瞳から涙が零れ落ちた。ついでに魔力も溢れ出した。結構な魔力量だ。しかも魔術を使っている様子がない。驚いたことに、ネルは既に魔力を直接放出できるようだ。初期段階とはいえ、私たちだって習得には時間を要したのに。さすがお姫様。さすが真ヒロイン様。……いや、普通に魔王のせいか。これ殆ど魔王の魔力だし。


 うわぁ……なんで気付かなかったんだろう……。こんなドス黒い魔力、よく隠してたわね……。



「えいっ!!」


 漏れ出した魔力はすかさずリリィが消していく。流石は聖女様。凄まじい洗浄力。驚きの白さ。



「だいたいなんで私の部屋なのよ……」


 聖女の魔力だっておしっこは浄化出来ないでしょうに。



「ベティも流し込まれたからだよ。目を離せなかったの」


 え……?



「ベルベル様も始めてください。必要ならお手伝いしますので」


「え……? 今ここで? 皆の前で?」


「当然です。漏れ出した魔王の魔力は直ちに滅ぼさねばなりません」


 バチン!!



「んみゃーーーーーーん!!!」


 あ、漏らした……。



 ……ああなりたくなければやるしかないのね。




----------------------




 翌朝。



「びぇぇぇぇぇんん!!! おねえたまぁ~~~!!!」


 お~よしよし……怖かったねぇ……痛かったねぇ……苦しかったねぇ……わかるよ。わかる。とってもよくわかる。よしよし。もう大丈夫だよ。怖いことはないからね~。


 昨晩、大量の回復薬を用いた強制魔力デトックスの甲斐あって、私とネルの体内から魔王の魔力は取り除かれた。


 汗や涙や尿や血や、荒れ狂う魔力やプチ戦闘でぐちゃぐちゃになっていた私の部屋も、目覚める頃には綺麗さっぱり片付いていた。ついでにローブと杖も無くなっていた。まさか処分されてしまったのだろうか……怖くて聞けない……。実はそこが一番ショック大きいかもしんない……。


 昨晩私とネルは魔力の強制排出で気を失ってしまったので、最後まで見届けられたわけじゃない。


 それでもわかることはある。散々魔力を扱ったのだ。自分の体内の魔力が昨晩とまるで違うことくらい実感できる。むしろなんで気付かなかったのかと不思議に思う。



「ネル。ごめんね、ネル。もっと早く会いに行くべきだったわね。そうすればこんな思いをさせずに済んだのにね」


 聞こえているかはわからないけれど、泣き叫び続けるネルを力いっぱい抱きしめて、謝罪を口にする。



 ネルが落ち着いたのは、昼もとうに過ぎた頃だった。




----------------------




「ネーテルリア殿下。誠に申し訳ございませんでした」


 私は家族一同を背後に並べさせ、ネルの前で膝をついた。



「……いいえ。わたくしの方こそ。感謝いたします。この身は確かに魔王の干渉を受けていたようです。なにより、わたくしはこの目で見ておりました。わたくし同様、お義姉様の身体からも悪しき魔力が流れ出る様を。それを絞り出そうと自ら苦しみを課すお義姉様の姿を。こちらこそ、巻き込んで申し訳ございませんでした。全てわたくしの心の弱さが招いたこと。皆様は恩人です。どうか面を上げてくださいませ」


 ……あら? ネルは魔王の力を視認出来るの?


 ……やっぱり三作目(仮)で何かあるのかしら。単に触れたことがあるからかしら。これも気になるわね。



「お義姉様」


「はい。ネーテルリア殿下」


「どうか。ネルと」


 今はお父様もいるんだけど……いえ……。



「ネル。貴女が無事で……間に合って良かったわ。本当に」


「はい♪ お義姉様のお陰ですわ♪」


 私なんもしてないけどね。今回は。


 まあ、私の多少みっともない姿が真実を伝える役に立ったのなら良しとしよう。


 ……やっぱりもっと頻繁に魔力修行しないとなぁ。


 そりゃあ回復薬までガブ飲みしてガッツリやるやつは、どれだけ慣れてても諸々漏れちゃうのは致し方ないけども。


 けどダーリャとフララは結構涼しい顔してやってるのよ。カンスト勢は違うわね。私もあれくらい出来るようになっていたら……なんて詮無いことだけどさ。

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