01-04.誕生日プレゼント
七歳になった!!
「お誕生日おめでとうございます♪ ベルベル様♪」
「ありがとう♪ ダーリャ♪」
ふふふ♪ また一つ大人に近づいたぜ♪
「本日はとっておきのプレゼントがございます♪」
「まさか!? 新たな魔力修行!?」
ダーリャのこの笑顔は間違いないわ!! 逃げましょう! すぐ逃げましょう!!
私は自室の扉に向かってダッシュした。
「ベルベル様♪」
回り込まれた!?
「そこまで待ちきれないのですね♪」
ちがっ!?
「ではご覧にいれましょう♪ どうぞ♪ 入ってきてください♪」
「し、失礼いたします!!」
はっ!? さては新任講師……!? 先手必勝!!!
「え?」
「ちぇーすとーーー!!!!」
「えぇ~~~~!?!」
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「ごめんなさい!!!」
「……ぐす」
あわあわ!? どうしよう!?
女の子にいきなり殴りかかってしまったぁ!!
ギリギリで寸止めに成功したけども!!
「だいじょぶ……です……」
全然大丈夫じゃなさそう。うつむいて涙を滲ませている。余程怖かったのだろう。いきなり顔面に拳が迫ってくるとは思わなかったことだろう。
「ごめん……なさい……」
え? 何故この子が謝って……うん? この匂いは?
「ごめ……ん……なさい……」
あ……。足元に……。
「ダーリャ! お風呂に入れてあげて! 私を磨くように丁寧によ!! くれぐれも優しくよ! お願いね!!」
ダーリャの耳を引っ掴んで慌ててオーダーを告げる。
「ひゃんっ♪ 仰せのままに~♪」
ダーリャは嬉しそうに少女を連れて浴室へ向かった。
……頼む相手を間違えたかしら?
さて。私は掃除しないと。掃除用具ってどこかしら? できれば他の侍従たちには知らせたくないのだけど……。
……しゃあない。かくなる上は。
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「はい。かしこまりました」
「私よ! 私だからね! 私が漏らしちゃったの! 決してダーリャではないわ!」
「心得ております」
ふう。これでよし。
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「ベルベル様!? これはいったいどういうことです!?」
「何の話?」
「ダーリャが漏らして新人の世話になったと屋敷中の噂になってますよぉ~!!」
よし。計画通り。
「はっ!? その顔は!? さては謀りましたね! ベルベル様!!」
「必要な犠牲だったのよ」
「事実無根です!!」
「いいじゃない。ドMなんだから」
「何か勘違いされているようですね!!」
「元々色物キャラだからすんなり噂が広まったのよ」
魔力修行のやりすぎだとでも思われたんでしょ。
「あくまでダーリャのせいだと言うのですかぁ!?」
「貴女の忠誠心には日頃から感謝しているわ」
「そりゃあ、ベルベル様のお命じとあらば、お漏らしを伴うプレイにも興じる覚悟はございますが」
そういう所よ。そういう所。
「それで? 新人ちゃんは?」
なんでダーリャ一人で戻ってきたのよ。
「部屋の外で待たせています♪」
なるほど。出会いからやり直すというわけね。
「気が利くわね。流石は私の片腕だわ」
「えへん♪」
そこは恐縮ですの一言もないのかしら。この駄メイドは。
「入ってきて頂戴」
「あ~! ダーリャのセリフ取りましたね~!?」
そっからやり直すつもりはないわ。
「し、失礼します!!」
入ってきたのは小柄な少女だ。
薄桃色の髪の儚げな美少女だ。
私はこの顔に見覚えがある。
「フローラ・シフォン」
「……? ただのフローラです……」
あら失礼。そうだったわね。
ゲームではシフォン子爵家の養子になる筈だった。私が横取りしてしまったから、もうその未来は訪れないけれども。
「フローラ。先程の非礼をお詫びします」
「い、いえ!! そんな!」
「それから。よろしく、フローラ。私の側付きとして働いてくれると嬉しいわ」
「は、はい! ありがとうございます!!」
良い子ね。脅かして本当にごめんなさい。
「よく見つけ出してくれたわ、ダーリャ。間違いなくこの子よ。お告げで見た通りの光景だわ」
最高の誕生日プレゼントね。
「なのに殴りかかったのですか?」
余計な事言わないでよ。一芝居打つつもりだってわかっているでしょうに。
「お告げ……ですか?」
「ええそうよ。神託があったの。貴女が私の侍従となったのは神によって定められし必然よ」
もちろん嘘だ。神託なんて貰ってない。けど今の時点でフローラに全てを話すつもりはない。私の前世の記憶だとか、フローラがゲームの主人公だとかは内緒だ。今のところ。
「それ……は……」
どんな反応をすればいいのかわからないわよね。
「十年後。あなたには私と共に魔王を討ってもらうわ」
「え……? ……え?」
契約内容は事前に伝えておかないとね。この子にも地獄の魔力修行を受けてもらわなきゃだし。
「残念ながら貴女に選択権は無い。けれど私は必ず貴女を守り抜く。そう誓うわ。だからこれはお願いです。改めて私に力を貸してください。私には貴女の力が必要なのです」
フローラの手を取り、膝をつく。
「お、お嬢様!?」
「ベルベティアよ。どうか名前で呼んで頂戴。私たちは女神に定められし運命の戦友よ。貴女にもその覚悟を抱いて欲しい。受け入れてくださるかしら?」
色々抵抗はあるでしょうけれど、どうか受け入れて頂戴。これはどうしても必要なことなの。私はフローラに殺されるわけにはいかないわ。だから仲良くなっておく必要があるのよ。
「ベルベ……ティア様……」
「今はそれでもいいわ。けどいつか様も取ってもらうから。ベルベルでもティアでも構わないけど、気軽に呼びあえる関係を目指しましょう」
「……はい」
良い子ね。私が真剣に言っていると理解してくれたのね。
「ダーリャもお忘れなく♪ ベルベル♪」
「貴女に許した覚えはないわ。メイド長に言いつけるわよ」
「ひどい!?」
ダーリャはもっと私を敬いなさいな。
「……ふふ♪」
あら可愛い笑顔♪ 流石は百合ゲーの主人公様ね♪




