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悪役令嬢に転生したので魔王を復活させるために暗躍します  作者: こみやし
04.悪役令嬢の運命力

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04-12.家出娘の夏休み


 私もダーリャに続いて窓から抜け出した。



 今の私の身体能力なら、二階から飛び降りる程度のことは造作もない。屋敷の敷地からこっそり抜け出すのだってお茶の子さいさいだ。



 サツキさんの店で買った服を身に纏い、王都の通りを堂々と歩いていく。


 この少々変わった服装の私を見て、貴族の娘だと思う者はいなかろう。



「来ましたね♪ ご主人様♪」


「台無しよ。ベティと呼びなさい。メル」


「はい♪ ベティ♪」


「行くわよ。案内を頼むわ」


「らじゃです♪」




----------------------




「たのもーーー!!!」


「なんだなんだ? 威勢の良い嬢ちゃんが来たじゃねえか」


 そっちこそ来たわね! 冒険者ギルドと言えばの!! あの!! 洗礼が!! 新人イビリが!!


 スキンヘッドな強面の登場にワクツクしたのも束の間、男は「うげっ」と表情を歪めて引き下がった。



「んだよ。【氷姫】のツレかよ」


「え? ひょうき?」


「知らねえのか? お前さんの後ろでニヤついてる奴だぜ」


 メルメル? あなた二つ名持ちだったの?



「ベティ♪ こちらです♪」


 メルメルが前に立って受付へ向かうと、どこぞの聖人が海を割るかのように、ギルド内の人々が脇に避けて道を作ってくれた。


 カウンター中央の受付へ進んでいくメルメル。



「よくぞお越しくださいました。メーメル様」


 誰? メルメルの偽名……よね?


 メルメルはギルドの人たちからも一目置かれているのね。裏ボス系生徒会長様は伊達じゃないわね。



「この方の登録をお願いします♪」


「かしこまりました。ではお名前からお伺いいたします」


 どうしましょう。私も偽名を考えておくべきだったわね。



「べー……グルです」


「ベーベルです♪」


「ベーグルです」


「何故ですか!? なんでパンが良いんですか!?」


「メーメルとベーベルじゃまんまじゃない」


 どこからお父様の耳に届かないとも限らないわ。



「ごほん。あー……本名を名乗って頂けますでしょうか? 登録と同時に発行される冒険者カードには身分証としての役割もございますので……原則として本名以外は受け付けられない決まりとなっておりまして……」


 ほら。もう。グダグダやってるから受付の人が困ってるじゃない。



「ベーグルです」


「か、かしこまりました……」


 悪いわね。



「む~!」


 似たような名前にしたじゃない。


 もう。メルメルったら。



「登録を進めさせて頂いても?」


「お願いします」




----------------------




「ふふふ♪」


 冒険者カード♪ 私も冒険者に♪



「嬉しそうですね♪ ベティ♪」


「ベーグルよ」


「嫌です! そんな呼び方! お腹空いちゃうじゃないですか!」


 なによそれ。



「それより依頼も受けるわよ」


「今日ですか? そろそろお屋敷に戻られては?」


「何言ってるのよ。ギリギリまで帰らないわよ」


 このまま夏休み終わり間際まで家出するわよ。



「えぇ!?」


 あら? 言ってなかったかしら?



「お父様にご納得頂けないのはわかりきっていたもの。けれど私に座して待つ時間はないわ」


「だからって! そもそもお姉ちゃんにだって伝えてませんよね!?」


「可哀想でしょ。ダーリャに嘘をつかせるなんて」


「ですが!」


「正直驚いたわ。あなたが反対するだなんて」


 メルメルならノリノリで連れ出してくれると思ったのに。


 これならフララに声をかけるべきだったわね。



「せめてお姉ちゃんには伝えてください! お姉ちゃんを不安にさせるなんて許しませんよ!!」


 ああ。なるほど。そっちなのね。



「大丈夫よ。書き置きは残してきたわ。ダーリャなら信じて待っていてくれるわ」


「みんなで行けば良いじゃないですか!」


「バカ言わないで。私とリリィたちではレベルが違いすぎるわ。ダーリャにはあの子たちを育ててもらう必要があるのよ」


 分かれて鍛えるのが効率的だ。ダーリャだってそう理解して自分のやるべきことに専念してくれるわ。



「どうしても不安なら言いに行ってもいいわよ。その代わりあなたはフララと交代なさい」


「そんなぁ~!?」


「一緒に来る気があるなら依頼を見繕いなさい。選ぶのは討伐依頼よ。遠征前提か、他所のギルドで報告出来るような大物を選んでちょうだい。何体か見繕って纏めて狩るわよ」


「っ~~~! わかりましたぁ~!」


 ごめんね、メルメル。


 大好きなお姉ちゃんを裏切らせてしまったわね。


 ありがとう。私の意思を尊重してくれて。


 これから始まる旅の間もよろしくね。メルメル。頼りにしてるから。




----------------------




【フララ視点】



「ベルベル様が!? 行方不明!?」


 ダーちゃんが驚くなんて。本当に知らないんだ。



「探し出せって。旦那様が」


 主の言葉を伝えつつ、こっそりベティの机の上から回収した置き手紙をダーちゃんに握らせる。



「……」


「どうする?」


「行き場所に心当たりがあるわ」


 サツキが言うってことは、前世に関する知識なのかな。



「夏休み中には幾つか外でのイベントがあるの。たぶんその辺りも回っている筈よ」


 そういう話なら可能性は高そうだね。



「或いは特別な装備を回収しに行ったのかも」


 そういうのがどっかのダンジョンにあるって言ってた気がする。



「……行きましょう」


「良いの? ベティはここで鍛えてろって」


 置き手紙にはそう書いてあった。



「修行はどこででも出来ますから」


「そっか。なら追いかけよっか。皆もそれでいい?」


「「「うん!!」」」


 なら決まり♪

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