04-01.実力不足
最近魔物たちが活性化している。
魔王復活が近づいた影響だ。これでシナリオは次のフェーズに移った。私たちも積極的に外へ出て、魔物を倒していくことになる。つまりは『戦闘パート』が解禁されるのだ。
学園は近々夏休みだ。
流石のお父様も外出を認めてくれるだろう。私たちが魔王を討つという話自体は受け入れてもらえたようだし。
「ならん」
「何故ですか!?」
「戦うべきは聖女だ。私がお前に許したのはその支えとなることだ。共に戦場を駆ける必要がどこにある」
今更そういうこと言い出すぅ~~!?
「お父様!!」
「ならん」
議論は平行線の一途を辿った。
----------------------
「困ったことになったわ」
毎度毎度想定外のことばかりね。
「実際問題必要ありますか?」
「え?」
ダーリャまで何を言い出すのよ……。
「当初の想定よりも戦力は増しています。実力的に微妙なベルベル様が前線に出ずとも、魔王を討ち取れるのでは?」
うぐ……微妙……。
「魔王がそんな甘い相手なわけないでしょ」
「だからこそです。運命力。ゲームの展開通りにコトが進むと言うのであれば、魔王討伐に本来関わらないベルベル様が加わったところで、大きな意味は生じぬものかと」
そりゃぁ、一学期はなんだかんだとゲーム通りのイベントが発生していたけども。
「戦力が増えるキッカケになったあの選抜大会は私が発案したものよ。ゲーム本編では存在しなかったイベントよ。これって干渉が可能である証拠になるでしょ」
「ええ。そしてあの大会を差配したのはこのダーリャです。ですからベルベル様にはこれまで通り策を練って頂きたく。我々がその策を実現してまいります。これまで通りに」
うむむ~……隙が無い……。
「だいたい何だって今更そんなこと言い出すのよ。別にダーリャは反対してなかったじゃない」
「正直に申し上げるなら、ベルベル様の実力が期待する水準に達しなかった為です。これはダーリャの不徳のいたすところ。誠に申し訳ございません」
くっ……真面目モードのダーリャは手強すぎる……。全然突き崩せる気がしない……。
「逆にベルベル様は、何故そうまでして前線に赴きたいのですか? 別に戦うのが好きというわけでもありませんよね。我々が信頼できませんか? 見ていなければ命を落とすとお疑いで?」
追い打ちかけてきたぁ~……。
「もし一緒に何かしたいという漠然とした想いが理由だというのなら、どうかお考え直し頂きたく。魔王討伐は卒業旅行ではないのですから」
ぐふっ……えぐい……。
「……魔王復活には私が必要な筈よ」
「必要なのは復活までです」
「そのまま戦闘を始めるつもりだって話したじゃない」
「そこで倒しきれるとも限りません」
「あら。らしくないのね。運命相手にビビってるの?」
「可能性の話です。計画とは網羅的に立てるものです」
「だから皆が戦ってるのをただ指咥えて見てろって?」
「ご所望ならば、おしゃぶりをご用意します」
「馬鹿にしないで頂戴」
「気を紛らわせる何かがあれば良いのですね?」
「そんな話はしてないわ」
「ならば必要なことを話し合いましょう」
「私も戦うわ。これは決定よ」
「足手まといです」
「鍛えなさい。ゲームだって本来ならここから鍛え始めるのよ。残り二年弱で十分間に合う筈よ」
「ここはゲームではありません。よくよくご存知のことと存じます」
「何を弱気になってるのよ。本当にダーリャらしくないわ」
「どうかご理解ください。ダーリャにとってベルベル様はそれ程までに大きな存在へと至ったのです」
ダーリャの好感度がカンストしたせいで? だから私を戦わせまいとするの?
「ベルベル様。建設的な話し合いを行いましょう。今一度、魔王討伐計画について練り上げましょう。現段階でベルベル様の参戦が戦局を左右する根拠はございません。それでもと仰せなのであれば、ご自身の価値をお示しになられてくださいませ。納得すれば、旦那様を含め皆も頷きましょう」
……そうね。尤もね。
討伐計画の中で、私が必要不可欠な存在であると理由を示せばいいだけよね。正直私自身、そんな理由に心当たりはないけれど、この不毛な平行線を続けるよりかは建設的よね。
「いいわ。知恵を貸して頂戴。ダーリャ。あなたが個人的感情を理由に出し惜しむことは無いとわかっているわ。最善を詰めましょう」
「はい。ベルベル様。仰せのままに」




