↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢に転生したので魔王を復活させるために暗躍します  作者: こみやし
03.悪役令嬢の想定外

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
19/47

03-02.波乱の入学式


 十五歳になった。



 今日は入学式だ。私とフララが新入生で、ダーリャは私たちの側付きとして付き従っている。



「おいこら」


「お揃いですね♪ ベルベル様♪ フララ♪」


「あなた自分が何歳か忘れているの?」


「ピチピチの十代です♪ きゃは♪」


「ギリギリの十代でしょうが!! 十九歳でしょうが!!」


 なんで従者のダーリャが制服着てるのよ!? いつものメイド服はどうしたのよ!? 制服姿も似合ってるけど!!



「やあ♪ ベルベティア♪ 今日も賑やかだね♪」


「ピース殿下。ごきげんよう。制服姿もお似合いですわ」


「あっはっは♪ 先に言われてしまったね♪ 君もよく似合っているよ♪ ベルベティア♪ もちろんフローラ嬢とダリヤ嬢もだ♪ 麗しの三姉妹♪ 実に絵になるね♪」


 あらあら。すっかり女性の扱いがお上手に。


 ピース殿下は十五歳にして既に大人と見紛う凛々しさだ。


 見目麗しく、気さくで頼り甲斐のある彼の振る舞いは、早くも周囲の女生徒たちの心をガッツリ掴んで放さない。



 さて。いつまでも馬車降り場で騒いでいるのはよろしくない。他の人たちの迷惑だ。私たちだけでなく、他の多くの生徒たちまで立ち止まってしまっているし。



「……」


 ……うん? 誰か私を見てる?



「リリアーナ様です」


 ダーリャが余所行きモードで囁いた。



 タイミングバッチリね。


 これは所謂出会いイベントだ。


 もちろんピース殿下は関係ない。繰り返すが『天啓のフォルトマグナ』は百合ゲーだ。本来男子生徒は登場しない。



 なら誰が出会うのか。


 そう。主人公フローラと悪役令嬢ベルベティアだ。


 何故そこでメインヒロインを差し置いて、悪役令嬢が先に出てくるのかは謎だ。


 主人公がメインヒロインと初めて会うのはこの後だ。講堂への道に迷った主人公が、同じく迷っていたメインヒロインと出会って共に講堂を目指すのだ。


 以来、二人は大の親友となる。


 田舎男爵家の末っ子令嬢であるメインヒロイン。


 子爵家の養子になったばかりの元平民な主人公。


 比較的似た境遇だったこともあり、すぐに意気投合し、共に手を取り合って慣れない貴族社会を生き抜いていくのだ。



「お初にお目にかかります。聖女様」


「っ!?」


 思い切って話しかけてみると、なんかめっちゃ睨まれた。



「っ!!」


 脱兎の如く走り去ってしまった。



 あかん……嫌われた……。


 いやいいのか……悪役令嬢らしく出来ていたかしら……。


 ……まだ何もしてないやんけ。




----------------------




 逃げちゃった逃げちゃった逃げちゃった!!


 だってあの人いきなり!! 聖女なのは内緒って! 入学式で王様の口から発表するまで誰も知らない筈だって!!


 そう聞いてたのに!! なんで知ってるの!? なんで言っちゃうの!? あんな大勢の前で!?


 そりゃジロジロ見ちゃったのは悪かったけどさ!! だからってさ!!



 どうしようどうしようどうしよう!!


 ボク何もわからないのに!!




----------------------




 十五歳になった孤児が里親に拾われるのは珍しい。


 普通はそのまま独り立ちするからだ。ボクもそうなると当たり前に思っていた。


 冒険者になって。世界を旅して。いつかは英雄なんて呼ばれるようになって。漠然とそんな未来を想像していたのに。



 お貴族様からお声が掛かった時は驚いた。本当に驚いた。


 なんでボクなんかが。そう思った。


 妾にされるんじゃないかと言われた。


 それを羨ましいと言う人がいた。


 それを悍ましいと言う人がいた。


 ボクには何もわからない。


 自分で言うのもだけど、ボクは決して賢い方じゃない。


 だから本当にわからない。聖女だなんて呼ばれてもわからない。女神様がボクに何をさせたいのかもわからない。



 そんなボクでもわかることはある。


 内緒と言われたら内緒だ。それくらいはわかる。


 教会と王家と貴族だけは敵に回しちゃいけない。


 それもわかる。



 ……どうしよう。……どうしたらいいの。


 ボク、貴族のお嬢様怒らせちゃった……。




----------------------




「あら? あなた泣いてるの? どこか痛いの?」


「……え?」


「ふふ♪ わたしもね♪ 心細かったの♪」


 ……だれ?



「ほら♪ 行きましょう♪ 入学式に遅れちゃう♪」


 見知らぬ少女がボクの手を取って走り出した。



「そっち……ちがう……!」


「え?」


「あれ。講堂。たぶん……」


 反対側の建物を指し示す。


 教会に似た建物だ。人がいっぱい集まれるところだ。


 たぶんきっと間違いない。



「ありがとう♪ 実は迷子だったの♪」


 見えてるのに?



「あなた凄いのね♪ 頼りになるのね♪」


 そんな……ボクなんか……。



 何処からか鐘の音が聞こえてくる。



「まあ! 大変!! 急ぎましょう!!」


「え……!? 違っ!? そっちじゃ!?」




----------------------




「シフォン子爵令嬢! リリアーナ・フォン・シフォン! 陛下のお言葉が聞こえぬのですか!!」


 おかしい。リリアーナが出てこない。


 入学式はとっくに始まっている。


 陛下が聖女と認められし少女の名を呼んでみたものの、仕込み通りに壇上へ上がってこない。


 大臣の一人がブチギレている。


 どうやら彼女は講堂にすら辿り着いていないようだ。



 バァン!!!


 突然講堂の扉が開かれた。



「すみません!! 遅れました!!!」


 二人の少女が駆けてくる。


 一人はメインヒロインちゃん。


 その手に引かれて困惑しているのがリリアーナ。


 どうやらメインヒロインとの出会いイベント自体は発生したようだ。無事にとは言い難いかもしれないけど。



「聖女リリアーナ! 壇上へ!!」


「えぇ!? 聖女様ぁ!?」


 メインヒロインちゃんが驚きに固まった。


 ついでにリリアーナも固まっている。



「聞こえなかったのですか! 壇上へ!!」


「っ!?」


 慌てて駆け出すリリアーナ。もうグダグダね。


 ……本来ならこのあたりでオープニングなんか挟む感じなんだけどなぁ~。どうせなら雰囲気だけでも味わいたかったな~。


 ……現実ってままならないものよね。きっとこの場で一番そう思っているのはあの子自身よね。


 頑張って。ファイトよ。リリアーナ。私も陰ながら応援するからね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。