02-09.悪役令嬢の成長
「ベルベル! 良かった!! 本当に目覚めたんだね!!」
知らせを聞いたピース殿下が侯爵邸に飛び込んできた。
随分と心配させてしまったようだ。
フララや父、そして家族同然の侍従たちも涙しながら喜んでくれたものだけど、ピース殿下のこの喜びようは決して皆にも劣らないものだった。
ピース殿下に付いてきた令嬢メイドまで涙ぐんでいる。この一年、随分と多くの人たちに心配を掛けてしまった。
「ご迷惑をお掛けしました」
「良いんだ! 良いんだよベルベル! 目覚めてくれたのならそれだけで!! ああ! 女神様! 感謝いたします!」
遂には神にまで祈り始めてしまった。
実際にはダーリャが頑張ったからっぽいけど……そこはまあ、言わんとこ。原因もダーリャだし。
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「よく婚約破棄されなかったものよね」
一年も昏睡状態だったなら、ピース殿下本人がどう言おうと周囲が強引に解消させていたでしょうに。
「殿下も随分頑張ったみたいだよ。フララだって噂を聞いたことがあるくらいだもん」
フララが水の入ったコップを差し出しながら答えてくれた。
「ありがとう」
水を受け取って飲み干した。
なんだか緊張していたみたいだ。今気づいたけど喉がカラカラだ。飲んでから気付くっていうのもおかしな話だけど。
「もう一杯?」
「いただくわ」
おかわりも飲み干して、ようやく人心地ついた。
「フララはあんまり変わらないわね」
やっぱり魔力修行の影響かしら。フララの魔力量も今や途方もない量だ。ダーリャに倣うなら、そろそろ魔力修行は切り上げて身体作りに専念する筈だけど。
「殿下と比較してる? 殿下、すっごく大人っぽくなったでしょ」
「ええ。正直ドギマギしてしまったわ」
「浮気ですかぁ!?」
うわ出た。
「ダーリャ。あなたがどうしてここに居るのかしら」
おかしいわね。諸々の罰として私の側付きからは外された筈なのに。一時的にだけど。
「またメイド長に叱られるよ、ダーちゃん」
フララまでジト目を向けている。
「ご報告に! 次のお客様です♪」
「次?」
「次から次へと♪」
「……誰が?」
「お友達の皆様が♪ 面会待ちの列を成しております♪」
あらま……。
「お通しして」
「大丈夫? 無理はしなくて良いんだよ?」
「いいえ。無理をしてでも顔を見せるわ」
これ以上皆の心配を引き伸ばしたくないもの。皆が示してくれる親愛には真摯に応えていきたいの。
「ここはゲームの中なんかじゃないもの。そうでしょ?」
「うん♪ 頑張って♪ ベティ♪ フララも支えるから♪」
「ありがとう。頼りにしてるわ。誰よりも」
「ダーリャめは!?」
「「早く行きなさい!! お客様を待たせないで!!」」
「は、は~い!!」
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一年の眠りから目覚めたベルベティア。
これより彼女の周囲は更なる変化を遂げてまいります。
謎の昏睡と唐突な覚醒。
数多の医師たちが匙を投げた筈のベルベティアの容態は、とあるメイドの人知れぬ奔走によって完治へと至りました。
それを知らぬ人々は、この奇跡を神の齎したものと信じることでしょう。
神に愛されし御子として。
やり手の王太子が誰より愛する婚約者として。
親交のある貴族令嬢たちのみならず、貴族社会にすら留まらず、今や国中が注目する大スターとなったのです。
ベルベティアはまだ知りません。彼女の活躍は女神の耳にすら届いたことを。
はてさて。
無事に魔王復活は成し遂げられるのでしょうか。
変わってしまったストーリーは、今後どのような展開を迎えてゆくのでしょうか。
フォルトマグナ王国の人々は。
いずこかより見守る女神は。
少女に何を期待するのでしょう。
次回はいよいよ本編開始です♪ 乞うご期待♪




