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北の空へ

「おい! 研二! いつまでそんな所にいるんだよう! 早く逃げろ! ここはオレに任せろや! キュエーイ!」と物陰の暗闇から巨漢な男が飛び出してきて神原シャスケ刑事に襲い掛かった。焦った神原シャスケ刑事は天高くジャンプをすると空いている股間の社会の窓から飛び出ているレーザー銃の引き金を引き1発放った。ピキューンと音がして青いレーザー光線が巨漢の男の左肩を貫いて巨漢の男は倒れた。


「めっちゃ痛ーい。ちくしょう! 覚えてろよ!」と巨漢の男は吐き捨てて言うと何食わぬ顔で立ち上がり手を挙げてタクシー止めて飛び乗った。


「夜間緊急病院まで、お願いしやす」と巨漢の男は肩から血を前方に滝のように吹き飛ばしながら言った。


「ちょっと!! お前!! ダメだ!! 降りて!!早く降りて!! シートが汚れるじゃないのさ!!」とよれよれの七三分けの運転手は猛烈に激怒した。


「肩から血なんか吹き出してさ!! おえっ、気持ち悪うー!! シートを汚したら、また会社に怒られるから!! めんどくさ!!」と運転手は喚き散らした。


「七三分け!! 早くタクシーを出せよ!! 金ならある!!」と巨漢の男は肩を押さえながら言ってシートに横たわった。


「ちょっとーぉ!! おい、あんた!! やめてやめて!! 降りれや!! シートに横たわるなや!! めちゃくちゃ頭にくるなぁ!!」と七三分けの運転手は運転席から飛び出すと、ブツブツ言いながら、そのまま闇夜に向かって走り去ってしまった。


「ま、ま、待てよ、七三分け!!」と巨漢の男はすがるように言ったが早乙女華恋スーパーヒーローが巨漢の男の首根っこを捕まえてタクシーから引きずり出した。


「お前は何だ?」と早乙女華恋スーパーヒーローは鬼の形相で言って巨漢の男をヘッドロックした。


「あっ!? やばっ」と神原シャスケ刑事は言った。


「アレ出るかな!?」と股草井サトシ刑事は言って鼻を摘んだ。


「特に何もしていないけど万事休すかも」と巨漢の男は力なく言った。出血多量で顔が青ざめていた。


神原シャスケ刑事は遂に社会の窓を閉めてレーザー銃を取り出すと肩に掛けているホルダーの中に仕舞った。だが不安神経症からか、直ぐにズボンのチャックを開けて風の通しを良くしてからレーザー銃を取って社会の窓から出し辺りを隈無く警戒した。


その時、一陣の風が吹いた。


横にある鮫肌ビルの非常階段に座る人影があった。


青ざめたカットビマンだった。


「あーっはっはっは。あーっはっはっは。皆、遅れてすまん。おい! 研二! 俺は青ざめたカットビマンだ。これはだな、正義のヒーロー時の名前なんだよ。あーっはっはっはっ。本名は夏海夏、なつみなつだ。6月25日に生まれた男、夏に生まれた夏男なのさ。夏が好きなのは、そのせいなのさ。あーっはっはっは。青いマントに青い革のツナギを着て、毎晩、空を飛び回っているんだぜ。なぜ空を飛び回れるのかって? 特技だし気持ち良いからだよ。夏の空は特に最高だぞ。爽やかな夜風に、お星様がキラキラ、お月様がニコニコしているからね。本当はさ、正直に言う。悪を成敗するために刑事をしている。只今、夜間パトロールをしているのだよ。なぜ空を飛べるのかってかい? そう、あれは忘れもしない12歳の時だった。真冬の12歳。大晦日の12月31日に除夜の鐘を聞きながら、うたた寝していたら宙を飛ぶ超能力が発現したんだな。勝手に浮かんでたんだわ。あーっはっはっは。めっちゃラッキーてな感じで深刻には受け止めれなかった事が幸いした。明るい性格だからね。両親は酔っぱらって寝ていたし妹はトイレでむちゃくちゃ臭っさいウンコをしていたからね、俺の家族は俺の超能力には全く気付いてないのさ。今もね。俺は悪を見つけたら、直ぐに殺すのが己の掟、使命なんだよ。殺し屋の素質がある正義の使者、正義のヒーローというのが俺の天職なんだぜ。つまり警察に勤めながら、あっちフラフラ、こっちフラフラしている一匹狼なのさ。まあね、刑事コロンボもシャーロック・ホームズも一匹狼だと言ったら一匹狼なんだと思うけどもね。はっきり言っちゃうけどもね、今の日本ピンチだと思うね。ならば、わたくし、青ざめたカットビマンが救わねばならぬという使命感を持って世界初の空飛ぶヒーローになったというわけなのさ。たまたまチョコっと超能力ができたってな話なわけよ。あーっはっはっは。俺は若い。年齢は……、あっ、無線だ。はい。なに!? わかった。直ぐに現場に行きます。同じく飲み屋で外人が暴れてるそうだ。たぶん、不法滞在だろうな。じゃあ、ちょっとナメてる奴だから殺してくる。早乙女華恋さん、神原シャスケくん、股草井サトシくんよ、バイバイ。あーっはっはっは」と青ざめたカットビマンは言うとむちゃくちゃ速いスピードで北の空に向かって飛んでいった。まさにカッ飛んでいた。


早乙女華恋スーパーヒーロー、神原シャスケ刑事、股草井サトシ刑事は手を振りながら青ざめたカットビマンを見送った。





つづく



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