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8/10

休み明けの好感度チェックだ

 教室へ入ると、アリスとすれ違った。

 私は丁寧にあいさつする。メイドらしさを、たまには見せていこう。


 「おはようございます」


 休みの日にお出かけしたお陰で、なんか話しかけやすい。


 「あ、エリーゼさん。おはようございます」


 ちょっと照れくさそうにしてアリスは、あいさつを返してくれた。よしよし、アリスのあいさつから、ぎこちなさが抜けてきている。


 アリスは、元々そんなに私には悪い感情はなかったみたいだし、この前の買い物イベントを経て、心の距離が近くなったようだ。二人でオルガに連れまわされたことで、私たちの間には、苦労をともにした同志的な絆が生まれつつある。

 あの時、どさくさに紛れて肩を組まなかったことを、今、後悔している。

 

 同じ苦労をともにする、これこそ仲良くなる秘訣だ。

 オルガと仲良くなる前に、私がアリスと仲良しになる可能性が出てきた。


 しかし、少し心配なのは、オルガへの好感度がどうなっているか。悪気はなかったとはいえ、オルガが私たちの疲労の原因なので、あんま期待できない。

 

 「この前は疲れましたね」


 さっそくアリスが買い物の時のことを話しはじめた。


 「なかなか、ハードな一日でした」


 私は大きくうなずく。


 「私なんて、途中から叫んでましたもん」


 そうだった。すごい叫んでたなあ。あれで出禁にならなかったのは、奇跡なんじゃないだろうか。

 アリスの主人公パワーかしら?


 「疲れたとは、ずいぶんないいぐさね」


 ちょっと離れたところにいたオルガが、話を聞きつけてやってきた。腰に手を当て、堂々としたポーズで登場する。

 う~ん、いつ見てもカッコいい。けど、最近はかわいさの方が上回ってきている。あわあわと動揺している姿を、ここ数日でよく見かけているから、そっちの方が印象に残っている。


 「アリス様と、ともに戦い抜いた記憶をかみしめていたのです」


 「戦い?」


 オルガは首をかしげている。どうやら意味が分からないみたいだ。フフフ、まあ無理もない。これは、体験したものだけが得られる達成感と疲労感・・・・・・いや、達成感はそんなになかった。

 

 「ええ、そうです。私とアリス様は、戦地を駆け抜けた、いわば同志・・・・・いえ親友です!」

 

 私は、カッと目を見開いた。

 

 「いや、そこまでではないです・・・」


 アリスが、ちょっと申し訳なさそうに言った。勢いに任せて言えば、のっかってくれるかなと思ったけど、そう甘くはなかったようだ。


 「なん・・・ですと・・・」


 「一度しか遊んでませんし・・・」


 「ぐわぁ~」


 私は大げさ倒れる。


 「ええっ!ちょっとエリーゼさん!?」


 あわててアリスが、私を抱き起こしてくれた。いい人だなあ。


 「ご安心を。死んだふりです」


 「驚かさないでください。びっくりしました」


 「これも、メイドの大切なスキルです」


 オルガが冷めた目で私たちを見て言った。


 「あなたたち、なにを遊んでいるのよ、まったく」

 

 私は、アリスに起こしてもらいながら口を開く。


 「オルガ様もやります?死んだふりごっこ」


 「やるわけないでしょ!」


 チッ…ダメか。見てみたかったなあ。オルガが死んだふりするところ。

 もしオルガの性格が丸くなったら、こういう悪ふざけもしてくれるのかな?


 てか、アリスは私とオルガのこと、どう思っているんだ?親友はさすがに言いすぎとはいえ、友だちくらいには思ってくれているかしら。


 よし、気になったら聞いてみるのが一番。


 「アリス様」


 「はい、なんですか?」


 「アリス様って、オルガ様と私のことを、どう思ってらっしゃいます?」


 こういう時、好感度を教えてくれる友人キャラがいてくれればなあって思う。


 もちろん、このゲームにも、そういう友人は出てくる。でも、それはアリスに教えてくれる人なので、我々には、そんな便利な人はいない。自力で予想したり、聞くしかないのだ。ゆえに、聞く。


 「どう思うって、えっと、それは・・・」


 アリスは、腕を組んで考えている。

 ・・・・・この時間ってちょっと気まずい。

 まあ、私がきてから、いきなりグイグイとアプローチされている状態だもんね。とまどうのは当然か。


 「ま、まあ・・・・前ほど嫌って感じはしないです」


 ほう!なるほど!十分合格点。

 よかった。『嫌いです!』とか言われたらどうしようかと思った。


 しかし、たぶんまだ友だち以下の状態だろうな。嫌ではない、だもんな。

 

 たしかに、ゲームだろうがなんだろうが、一度出かけたくらいで、いきなり知り合いから友だちにランクアップするのは、さすがにチョロすぎるかもしれない。


 「嫌いではない?ふん、別にあなたに好かれようなどとは、思っていませんわ」


 オルガが割り込んできた。せっかく悪くない感じなので、ここで微妙な空気になるのは避けたい。

 よって、ここは私の出番。


 「そうです。好かれるなどという安っぽい言葉では形容できません。オルガ様は、大好きと言わせてみせると、そう思っているのです」


 「ええっ!」


 アリスとオルガの二人が同時に叫んだ。


 「だだ、大好き!?」


 オルガはあたふたしはじめる。アリスもあたふたしている。

 やっぱり、かわいい!

 

 私が、満足げに二人を眺めていると

  


 


 「また、くだらんことをしているな」


 壁にもたれかかって、イケてるポーズでこちらに誰かが話しかけてきた。

 それは・・・・・なんと!

 オルガの婚約者エドワードだった。


 ん?デジャヴ?この登場の仕方、前にも見た気がする。

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