↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
64/76

夏休み中でも、メイドは忙しい

22時に投降後、文章を少し手直ししました。

 さて、この前、海でいい感じの時をすごして、私としては大いにご機嫌なのであるが・・・しかし、常に遊んでいるわけにもいかない。


 私はメイドなので、日々いろいろとやることがある。


 いつもは学園生活を優先させてもらっていて、お屋敷での家事や料理、掃除などの家事全般は、そんなにしなくていいってことになっているのだけど、今は夏休みなので学園がない。学園がないということは、家事をサボる理由がなくなる。


 つまり、私は暇人(実際、時間はあるんだけど)とみなされて、メイドとしての仕事に駆り出されてしまうのだ。

 

 これが面倒なこと、このうえなし! 


 広い広~いお屋敷の窓を拭いたりとか、大きな置物に積もったほこりを落としたりとか、どこまでも続いていく廊下をひたすら雑巾がけするとか、料理を作る手伝いをしたりとか・・・・とにかく、いっぱいの仕事がある。


 でもまあ、仕方がない。私がやらないと、ほかのだれか(例えばマルゲリータさんとか)に負担がかかってしまうし、このお屋敷が汚れちゃうしね。


 「お~しっかりやってけ~~」


 後ろから、マルゲリータさんの声が聞こえてきた。


 ただ今、私は長い廊下を雑巾がけの真っ最中である。


 端っこまで行くのに、ずいぶん時間がかかるので、一往復するだけでけっこういい運動になる。この屋敷にいれば、外へ出ずに十分、運動不足を解消できそう。


 ゲームをプレイしていた時や、この世界に来てすぐは、大きくて立派で素敵な屋敷だなあと思っていたんだけど、そう思っていた自分に、今はちょっとムカついている。


 もっと小さい家であれば、こんなに掃除に苦労しないですむのに・・・まったく、貴族ってやつは!バカデカい屋敷なぞ建ておってと、そんな考えがよぎる。

 

 「よっこらしょ~~~~~~」


 ドタドタと走って、床をきれいに拭いていく。こういう時は、気合が大事だ。というか、もはやちょっとヤケクソ気味である。


 「ほらほら、まだまだやることあるから、頑張っていけ!」


 マルゲリータさんの応援はうれしいけど・・・・


 「ほら、今度は窓拭きだ。スクワットしながらやんぞ。トレーニングになるからな」


 と、途中からマルゲリータさんの提案により、トレーニングしながら掃除していくことになってしまった。


 ただ掃除するだけでも疲れるのに、鍛えながらなんて、だいぶキツい。


 しかも、この窓はやっかいなことに、花とかをモチーフにしたおしゃれな装飾がついている。見ている分にはきれいでいいんだけど・・・お掃除という観点からすると、話は変わってくる。


 すごく繊細できめ細かい飾りなので、小さな隙間にほこりがめちゃくちゃ溜まるのだ!


 これが、すごい大変。


 爪を使ったりとか、雑巾を小さく折りたたんだりして、なんとか工夫しつつ悪戦苦闘しつつ、拭きとっていく。


 「丁寧にな。壊すなよ~」


 スクワットしながらテキパキこなしていくマルゲリータさん。その筋肉は、こうした日々の小さな努力のたまものなのかもしれない。


 私は時々マルゲリータさんがメイドであることを忘れそうになるけど、そのメイドとしての実力を、目の前でまざまざ見せつけられている感じがする。


 さすがだ!ちょっと見とれてしまうぞ。


 よ~し、私も頑張ろう・・・と最初は順調に進めていたんだけど、だんだんと足腰が悲鳴をあげてきた。


 このままだとマズいかも・・・。


 というわけで、


 「ちょっとお手洗いに行ってきます」


 私はトイレに行く振りをして、こっそりと休憩に行く。スクワットしすぎて足が痛くなってきたので、こうやってインターバルでも挟まないと、体力が持たないからね。仕方ない仕方ない。


 キッチンへと向かい、こっそり隠しておいたお菓子を食べながら、せっかくだからとお茶も入れて、本格的なおやつの時間を楽しむ。


 「うま~~~」


 ふふふ、こうして隠れて食べるお菓子は、いつもより何倍もおいしく感じるのなぜだろうか。


 やっぱりサボっていという背徳感のためだろうな。


 しばらく一人で椅子に座りながらおやつを食べて、充実した時間を過ごしていると・・・


 「ほうほう、おいしいか?掃除中に食う菓子は」


 マルゲリータさんが、気がつかないうちに後ろに立っていた。


 「はへはふ?」


 こういう時は落ち着いて、食べ物で懐柔しよう。


 「口に含んだまましゃべるな。行儀が悪いぞ」


 注意されたので、私はお茶で流し込んでから言った。


 「食べます?なかなかいけますよ」


 「てめえなあ・・・」


 マルゲリータさんは呆れながらもクッキーを手にとる。


 「ん・・・イケるな、これ」


 モグモグ食べてくれた。意外と付き合いがいい。


 「そうでしょう?」


 「これがうまいのは認めるが、サボるのは感心しねえな。てめえがいつまで経っても帰って来ねえから、その間、掃除が大変だったわけだが・・・」


 腕を組んで、不気味な笑みを浮かべている。


 「ん?」


 なんだか、嫌な予感がするぞ。


 「ご褒美に、楽しい場所に連れてってやる」


 私は首根っこをつかまれて、そのまま連れ去られた。


 ・・・・・・・

 ・・・・・・・

 ・・・・・・・


 外へ出て、離れの小屋の前まで移動した。正確には移動したと言うよりも、首をつかまれたまま、運ばれて来たのである。


 「え~と・・・ここは?」


 来たことのない場所だった。


 「物置小屋だ」


 「ほう・・・・」


 物置小屋。文字通り物が置いてある小屋なんだけど、小屋というには、そのスケールが大きい。普通に人が不自由なく暮らせそうなくらいのデカさがある。

 

 そんなデカい小屋(?)の中には、どれくらい物が詰め込まれているんだろうか?あんまり想像したくないけど、整理とかするの大変そうだなあ。


 「さて、じゃあ・・・ほれ」


 マルゲリータさんが、箒を渡してきた。


 「サボってた罰ってやつだ。ここの掃除を命ずる」


 ポンと肩を叩かれた。


 「・・・・・・」


 しばし沈黙する・・・いや、言葉が出てこない。


 ここをきれいに?日が暮れるのでは?


 「完璧にやれとは言わねえ。ま、できるだけやってみろ」


 そう言うとマルゲリータさんは、のんびりした足どり立ち去った。去り際に一度振り返ると、ニヤッと謎の笑みを浮かべて、こう言った。


 「ま、ごゆっくり。仲良くな」


 「?」


 よく意味が分からない。どういうことだろう。考えてもよく分からないので、とにかく中に入って状況を確認しようと、扉の前に立った。


 一瞬、こっそり逃げちゃおうかなとも思ったけど、さすがにそれはマルゲリータさんに怒られそうなので、やめておく。


 行くしかないか・・・。


 私は目をつぶって深呼吸する。そして、大きなドアノブをつかんでドアを開き、一歩足を踏み入れた。


 「きゃあ!!!」


 入った瞬間に、なんだかかわいい悲鳴が聞こえた。


 私の目の前に飛び込んできたのは・・・・・・


 わが主人様であるオルガの姿であった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。