乙女心を察せよ
22時に投稿後に、文章をほんの少し直しました
「元気でね~~」
イングリッドは、海の向こうへと帰っていくシャチに呼びかけた、私たちも、大きく手を振って見送る。あの後、たっぷりとシャチに乗って海を悠々と眺めて大満足、みんな楽しく遊ばせてもらった。
思わぬこともあったけど、たくさん遊んで親睦を深めることに成功した…と思う。なりよりも、クラスのみんなにマルゲリータさんを紹介できたのが大きいぞ。
元々このゲームでオルガは、ほかのキャラとほとんど交流しない(いじめを交流に含めるのならば、すごいしてるけど)ので、当然私を含めたオルガの家のメイドとアリスたちは、ちっとも親しくならない。
でも、今日マルゲリータさんはみんなと遊んだことで、まだ友だちとまでは言えないけど、知り合いくらいにはなれたはずだ。
こうやって少しずつ繋がりをひろげていけば、孤独なオルガの状況も、さらによくなっていくんじゃないかなと思うし、オルガが変わっていけば、マルゲリータさんの運命も変わっていくはず。
浜辺に座って今日一日を振り返りながら、そんなことを考えていると・・・
「なにしてるのよ、こんなところで」
オルガがそばに立っていた。
「カッコよく物思いにふけってました。夕日を前にぼんやりと遠くを見つめるメイド・・・惚れないでくださいね」
「・・・あなたの自信には感心するわ」
「そうでしょう、そうでしょうとも」
「皮肉なんだけど・・・」
ジロ~と睨まれる。でも、私はそんなことくらいではヘコたれない。その冷たい視線すら、むしろご褒美と言っていいくらいである。
「今日はどうでした?」
ついでにご主人様の機嫌をうかがっておこう。
「どうってなによ?」
「メイドとしてご主人様が、楽しめたか聞いておきませんとね」
オルガは、首を少しひねった。
あれ?あんまりおもしろくなかった?
「・・・まあ・・・普通と言うか・・・なんと言うか・・・べ、別に悪くはないのだけど・・・」
そう言いながら、オルガは横目でチラッと、遠くのほうで後片づけをしているエドワードを見た。
不機嫌そうな口調ではないから、つまらないわけじゃないみたい。
でも、なんか含みのある言い方が気になる。
オルガの様子をもう一度確認してみた。
特にいつもと変わらない。笑顔ではないけど、ムスッとしてたりとか元気がなさそうでもない。この前、買った緑の水着姿で堂々と立っている。夕日が当たって、なんだか神々しさがあり、なかなかカッコいい。
う~ん、なにもおかしなところはないな。
・・・・・・・・
水着似合ってるなあ・・・色もいい。あれ?そういえばこの色って・・・といろいろ思い出しているうちに、私の頭の中に一つの仮説が浮かんだ。
「そこで少々お待ちください」
私は立ちあがって、エドワードの元へと向かった。
「エドワード様、さあ行きましょう」
「なんだ?藪から棒に」
エドワードは、こっちを見もせず片づけを続ける。
「鈍感ヘボ婚約者様に、救いの手を差し伸べに来ました」
「い、いきなり罵倒だとぉ!?」
ビックリしたエドワードが顔をあげる。
「チャンスですよ。オルガ様も一人ですし、夕日の沈む今なら雰囲気もバッチリです」
「なんの話だ!まず説明をしろ!」
まったく察しが悪い。私は、海を眺めているオルガの方を手で示し、
「あの姿を見て、なにも感じませんか?」
「ん?・・・立っているな。なんとも偉そうに」
「そこは通常通りなので、お気になさらず。大事なのは、その服です」
「なんだ?ただ水着を着ているだけではないか」
「はあ・・・救いようのないアホなのですか?」
「なにぃ!?」
ここまで言っても気づかないとは、やはり鈍感である。そんなんじゃモテないぞ。
「では、ヒントです。オルガ様の水着の色は、何色ですか?・・・・・・まさか、ここまで言わなくてはいけないとは思いませんでした。家に帰ったら猛省してください。いや、生まれて来たことを一度恥じてから寝てください」
「なぜそこまで言われなくちゃならんのだっ!・・・水着の色?・・・まあ、落ち着いた緑色だな。なかなか悪くないセンスだ」
「これで、分かりましたね」
「ん?」
首をかしげている。
マジ?本当に気づかないのか、こやつ。
「え~では、一度死んで、それからまた来てください」
「なぜ!?」
「ここまで言ってもダメとは、オルガ様がかわいそうなので」
「どういうことだ。分らんぞ」
全然、察していないっぽい。
「では、これが最後です。オルガ様の着ている水着の色は、エドワード様から見てどうですか?好きな色では?」
「ん?う~む水着の色・・?・・・緑だな。いい感じの色だ・・・・・ま、まさか!」
エドワードはハッとして顔をあげる。
「分かりましたね?」
「いや・・・本当か?」
信じられなさそうにしている。
「オルガ様はこの前みなさんで話をした際に、エドワード様の好きな色を聞いております」
「ふ、ふむ・・・そうか・・・」
なんかちょっと気色悪い笑みを浮かべている。
「では、なにをすべきか分かりますね?」
「へ?」
ポカンとしている。
このままオルガの婚約者として、エドワードはふさわしいのか本気で心配になってきた。むしろ、婚約破棄される正規ルートを進んだ方が、オルガにとっていいのでは?
「わ・か・り・ま・せ・ん・か?」
私は満面の笑みで、エドワードにズンズン近づいていく。
「え・・・その・・・どうすれば・・・?」
エドワードが私の剣幕にビビり散らかしている。
「声をかけるのですよ、オルガ様に。・・・もうこれ以上は言わせないでくださいね?一発殴りますよ」
「わあ!ま、待ってくれ!考える!考えるから!」
必死でエドワードは頭を働かせて、考えはじめた。
「そ、そういうことか!」
やっと気がついたみたい。
「さあ、行きましょう」
「し、しかし・・・それは・・・」
分かったのはいいけど、今度は恥ずかしそうにモジモジしはじめた。う~ん面倒だなあ、もう引きずって連れて行こうかな・・・。
「お~い!なにやっている?」
どうしようか思案していると、そこにタイミングよくマルゲリータさんがこっちにやって来た。




