表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
6/13

一緒に楽しく(?)服を見よう!

 ・・・・・バレた。でも、これで会うタイミングを見計らう手間が省けたかも。

 ポジティヴに考えていこう!

 

 オルガは怖い顔をして立っている。とりあえず事情を説明しないと。

 

 「アリス様と偶然お会いしたので、ごあいさつを」


 「ふん、放っておきなさい、そんな平民のことなど」


 アリスはカチンときたらしく、すぐに言い返した。

 

 「どういうことです?それ」


 「どういうことって、そのままの意味よ」


 不穏な空気が、うっすら漂ってきた。

 オルガは平常通り、会ってすぐにケンカ腰だ。

 このままだと、また険悪なムードになりそうなので、私はちょっと言葉をつけ足す。


 「なるほど・・・・・・アリス様の買い物の邪魔をしないように、それで放っておけというのですね。さすがの心づかいです」


 「え?いや、そうじゃなく・・・」


 オルガが言いかけるが、隙を与えずに私はしゃべり続ける。


 「オルガ様の優しさもわかるのですが、そうは言ってもお二人はご学友。由緒(ゆいしょ)ある学園の生徒として、あいさつくらい、交わしてもよろしいのではないでしょうか」


 「ま、まあ、そうかもね。あいさつくらいなら……」


 『由緒ある学園の生徒として』っていう文句が効いたのか、ぶすっと不満そうにだけど、会釈(えしゃく)をするオルガ。


 とりあえず及第点。さっきより、ちょっとだけ嫌なムードじゃなくなった。


 よし、ここから畳みかけて、いい感じの雰囲気に持っていこう。


 私はこんな提案をする。

 

 「どうでしょうか。せっかくこうして会ったのですから、アリス様の服をオルガ様が選んで差し上げては?」

 

 「は?どうして私が?」


 「オルガ様は、おしゃれですから適任かと思うのですが」


 「なぜ、私がそんな面倒なことをしなくてはいけないのよ」

 

 ちっ・・・すんなりとはいかないか。

 

 まあ、普通に言っても、上手くいかないのは予想ずみ。


 では、これならどうだ!

 

 「はぁ、そうですか。どうやら、オルガ様には荷が重かったようです。すみません、アリス様」


 「なんですって?・・・・・・荷が重い・・・ですって?」


 オルガは、キッと私をにらんだ。


 よし、食いついた!なんだか、釣りかなにかしている気分になってきた。


 「オルガ様なら、服を選ぶくらい朝飯前かと思いましたが、私が買いかぶっていたようです。仕方ないですね。完璧なお嬢様と評判のオルガ様にも、苦手なことはありますよね」


 私は大きくため息をつく。 


 「申し訳ありません、アリス様。せっかくの機会ですが・・・」


 「待ちなさい!服を選ぶなんて、余裕よ、余裕!」


 ムキになっているオルガ。やっぱりプライドが高いから、挑発したら乗ってくるんじゃないかな~と思ってやってみたけど、ここまで見事に的中するとは予想外だった。


 ただチョロすぎて、逆に心配になってきた。誰かに(だま)されたりしないかしら、この子。なんか、お母さん的な気持ちになってしまう。

 でも、とにかく乗り気になってくれたから、それでよし。


 「では、おねがいします」


 「やってやるわ!」


 鼻息荒く、オルガはずんずんと歩いて行って棚から次々と服を取り出す。アリスを見て、それからまた服を出して、またアリスを見ることを繰り返す。


 やりはじめたら、オルガが一番張り切ってる。な~んだ実は好きなんじゃない、こういうの。


 頑張ってるな。やる気出してくれて、うれしい。

 私は、あたたかい目で見守る。


 「なに突っ立っているの!あなたたちも、手伝いなさい」


 「え?」


 私とアリスは、顔を見合わせた。 

 

 「両手がいっぱいで持ちきれないから!ほら、はやくしなさい!」


 オルガは、たくさんの服を私たちに押しつけると、


 「これに合わせるには、上着との相性も考えないと・・・待って、やっぱりこっちを」


 ブツブツと、つぶやきながら歩いていってしまった。


 なにかのスイッチが入ってしまったみたい。


 次々に服を持ってきては、アリスに試着させる。


 「じゃあ、次はこれよ」


 「え?これさっきと同じやつじゃ・・・?」


 アリスが、首をかしげながら言った。たしかに、直前に着たものと見た目は同じ気がするけど・・・。


 「はあ!?なに言ってるの?(えり)の形が違うでしょう!」


 怒られている。素人には、その差がわからないが、どうやら違いがあるらしい。


 「これだから、平民は・・・」


 「それ関係あります!?」


 一瞬、フォローに入ろうか迷ったけど、そんなに深刻そうでもないのでスルー。小競(こぜ)り合いくらいなら、私も放っておくことにしよう。


 「う~ん・・・」


 二つのシャツを見比べて、オルガは眉間にしわを寄せてうなっている。

 

 『どっちでもいいんじゃないですか?』と言いたくなるけど、やめておく。たぶん、こんなんだからおしゃれじゃないんだろうな、私って。


 「ねえ、どっちがいいと思う?エリーゼ」


 うわ!私にパスがきた。


 ……じっと見てみても、違いがさっぱりわからない。 

 なので、ここはスッパリとあきらめる。即断即決って大事。


 「よくわかりませんね。なにか、違うんですか?」


 オリガは雷に打たれたみたいに固まった。


 「な、なんですって・・・」


 「オルガ様、思い出してください。私が服選びにオルガ様をお誘いした理由を・・・」


 「あ・・・そ、そうね。センスが壊滅的とか言ってたわね」


 「ご理解がはやくて助かります」


 「あなたに聞いた私がバカだったわ」


 「ほんとですね」


 ジロッとにらまれた。

 この冷たい視線・・・ちょっとうれしい。


 オルガは大きなため息をついた。そして、目を見開くと


 「わかった。私が選びます!その代わり、とことん付き合ってもらうわよ!二人とも」


 『え~』とか、『嫌です』と言う間もなく、私とアリスは首根っこをつかまれて、店の奥へと引っ張っられた。


 なんだか、長くなりそうな予感がする……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ