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婚約者の登場……ただし好感度はマイナスだ!

 出た~婚約者のエドワードだ!

 やっぱ、かっこいい~。わたしのタイプではないが、いいものは、よい。わたしは、そこは認めていくスタイルだ。

 

 黒々とした鋭い眼と、スッと通った鼻。肩まで届く茶色い髪が、キラッキラに光っておる。

 背が高くて、スタイルもいい。顔小さい。家柄もいいし、スマートで洗練された物腰。学業優秀で運動神経もいい。

 


 ただ~し、すんごくドライなのだ。オルガに対して冷たい態度しかとらない。


 それなのに、アリスがいじめられた時には、汚れたハンカチを洗ってくれたり、たまに優しい笑顔を見せたりなんかする。

 冷たく見えて実は……ってギャップが魅力なのわけだけど、そのギャップを、作中ではオルガに全く見せなかったのである。


 まぁ、原因はオルガがアリスに意地悪してたからなんだけど、でもこいつが婚約破棄してオルガ転落のきっかけをつくっているので、オルガ派のわたしからすると、ちょっとムカつく。


 いや、かなりムカつく。ぶん殴りたい、今すぐ。


 でも、そんなことしたらヤバいので、理性で、出かかった拳を収めた。

 

 殴るなら、もっと鍛えてからにしよ。

 

 

 「貴様の悪趣味には、ほとほと呆れる」


 早速、エドワードはジャブみたいに、いかにも厭味ったらしい調子で言ってきた。オルガへの好感度は、最初から、すごいマイナスに違いない。


 嫌悪感を隠しもせずにバリバリに出しおって……。漏れてるぞ、こら!

 

 仮にも婚約者だぞ。「今日もかわいいね」とか、「髪がきれいだね」とか、他に言うことあるだろう。

 このとうへんぼくめ。


 

 「ふん、あんな平民に構うのが趣味?失礼だわ」


 オルガも言い返してる。

 でも、もう少しケンカ腰じゃなくて、穏やかに会話はできんのか。あなたも。


 とりあえず、このまま放っておくとマズいので、私は補足説明を加える。

 そう、あくまでも補足だ。 


 「ええ、そうです。オルガ様は趣味などではなく、真剣にアリス様と仲良くなろうと交流しているのです。そんな健気なオルガ様に、その発言は失礼極まりません」


 「そ、そんなことしてません!」


 オルガはびっくりして否定するけど、そこは無視する!悪いね、オルガ。

 

 「エドワード様、騙されてはいけませんよ。オルガ様は、照れているだけでございます」


 「こ、こらやめなさい!」

 

 「照れている?・・・こいつが?・・・ふんっ何かの間違いだろう」


 エドワードは、全然信じていない。チッ・・・まだ無理か。分かってないなあオルガの魅力が。

 ま、これから嫌でも分からせてやる。

 

 よし、それならもう少し破壊力のあることを言っちゃおう。

 これに耐えられるか?お坊ちゃんよ。


 そっとエドワードの耳元で囁く。オルガには聞こえないように。


 「実は、ここだけの話・・・エドワード様とデートをしたり、イチャイチャしたいと密かに思ってらっしゃるのでございます」

 

 「ブッ!?」


 エドワードは、思わず吹き出して、素っ頓狂な声を上げた。

 よしよし、動揺してる動揺してる。


 信じられない様子で、まじまじオルガを見つめている。


 「オルガ様は、素直に心を打ち明けられない、かわいらしい方なのです。わかってあげてくださいまし」


 「に、にわかには信じられん・・・」


 やはり、すぐには墜ちないか。でも、確実に効いているぞ。 


 「いずれ、お分かりになります」


 私はにこりと笑う。ここは、一旦引き下がって余裕を見せたほうがいいな。深追いは禁物。まずは、種を蒔くのだ。


 「欺こうとしても無駄だからな!」


 そう言うや、エドワードは大股で足早に去っていった。

 でも、若干足元が少しふらついていて、途中で石につまずいてバランスを崩した。



 よ~し、これは食らってるな。


 フフフフ・・・これでいい。今はまだ、これで・・・。 


 エドワードの心は揺れている。しかも私は、彼は冷たいようで初心で純情なのは何周もゲームをプレイしているから把握ずみだ。


 じわじわと、陥落させてくれるわ!ガハハ!


 ・・・なんか、今の私って黒幕っぽいかも!楽しい~これ!



 得意気な私を尻目に、オルガはペースを乱されっぱなしで、お疲れっぽい。

 いきなりアクセル全開でいきすぎたかな。

 でも、いつバッドエンドのルートに乗っちゃうか分かんないんだから、ここは我慢してもらおう。


 オルガが私の方をキッと見た。


 「な、なんなのあなたは・・・」


 「なにって?私は、ただのメイドです」


 「そんなわけないでしょ!ただのメイドが、こんなにふてぶてしいはずないわ」


 「いえ、それほどでも」


 「褒めてませんわ!」


 「悪いようにはしませんので」


 私は自信満々で言った。

 このまま放っておいたらバッドエンドだからね。それより悪いことになりようがないからね~。


 「怪しいわね」


 「それより、私たちも、はやく教室へ行きましょう」


 「ちょ、ちょっと押さないで!」


 私は、嫌がるオルガの背中をグイグイ押して、仲良く(?)教室へと向かった。


 どさくさに紛れて背中に触れちゃった!

 手、しばらく洗わないでおこっと。

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