勉強会のメンバー、募集してます
目の前で、自分の席へ戻ろうとしているアリスを目撃した。イングリッドと楽しそうに話しながら歩いている。
『テスト難しそうだよね~』とか、『何点くらいいける?』なんて、私たちみたいにテストのことを話題にしている。
難しそう~と言いながら、全然慌てた感じがしない。おそらくは二人とも、余裕でパスできるくらいの成績なんだろうな~。なんともうらやましい。
アリスは家柄の力じゃなくて、実力でこの学園に入ってきたので、勉強はけっこうできる。そのことは、ゲームをプレイしているから、すでに知っていたんだけど・・・・・
イングリッドが勉強できるとは、失礼ながらちょっと意外な感じがする。あんまり勉強しているイメージがない。遊んでばっかりいるキャラなので、テストはてっきり苦手なのかと思ってた。
まあ、とにかく、ちょうどいい人たちが現れたぞ。私たちの勉強会には、主人公であるアリスは、やっぱり外せないでしょう。こんなビッグなイベントに主人公が不在とか、製作者に怒られちゃう。
みんなでお泊りして、オルガとアリスたちの距離を縮めて、仲良くなっていくこと。それも今回の勉強会の重要なミッションである。
というわけで、二人にはぜひ声をかけたい。
後ろから近づいて・・・・・・
大きな声で元気よく、勧誘だ!
「おめでとうございます。お二人をオルガ様主催の勉強会に、ご招待いたします!!!」
思いっきり、お腹から声を出して言った。
やっぱり、明るくいかなくちゃね。人をお誘いする時には、照れたり恥ずかしがってモジモジしちゃいけないな。真っすぐと、しっかり伝えよう。
「どわあっっ!!」
「うひゃあっ!」
アリスはビックリして跳びあがった。隣にいたイングリッドもすっころんだ。リアクションがおもしろいなあ、二人とも。
「え、エリーゼ様!?」
振り返りながら、アリスは言った。目を真ん丸にしている、
「なに!?なにが起きたの!?」
イングリッドは、立ちあがってきょろきょろしている。なにか災害でも起きたと思ってるみたいだ。
「お二人とも、見事にオルガ様の勉強会に当選されました」
私は拍手で二人をお祝いする。
「当選!?」
「応募なんてしてないけど!?」
二人は、いぶかしそうにお互いに顔を見合わせた。
「こちらで勝手に選ばせていただきました」
「え?なに?なんか、新手の詐欺?」
イングリッドは、不審そうにしている。悪だくみでもしてないかなと、ちょっと警戒している。キャンプでは、かなりいい感じだったな~と思ったんだけど、まだ、すごい仲良しとはいかないみたいだ。
「そんなことありませんよ。まじめな会です」
「でも、どうして急に?」
「話せば長いことながら・・・・・ま、要するにですね。私が赤点のピンチだと、そういうことです」
「すぐ説明、終わりましたね」
「うん。一言だね」
二人は呆れている。
「なので、お二人の力がぜひ、必要なのです」
「え~?私たちの~!?どうしようかな~?」
イングリッドはニヤニヤしながら、なんかクネクネしている。頼られて、テンションがあがってるのかな?
「お願いします」
ここは、丁寧にお願いしよう。私も、いつでもふざけているわけではないのだ。
「しょうがないな~。私もちょっと危ないかな~とか思ってアリスと勉強会しようって相談してたところだから、いいよ~ん」
やっぱりイングリッドも私みたいに、赤点の危機を感じていたのか。勉強のイメージがなかったから、もしかしてとは思ったけど、似た者同士のようだ。
「私も、そういうことなら協力します」
真剣な顔でアリスはうなずいてくれた。
さすが主人公のアリス。なんだかすごく頼もしく感じる。ちゃんとお願いすると、真っすぐ答えてくれるのが、好きなところだ。
だれかさんにも、その爪の垢を煎じて飲ませたいくらい。でも、素直じゃないのも、それはそれでかわいいので、よろしい。
こうして、私たちが勉強会のスケジュールなんかを話し合っていると、
「なにやら、楽しそうだね」
と、ギュスターヴがやって来た。
「なんの話?」
「今週末、勉強会を開こうかと思いまして」
私は、事情を話した。
「へえ~まじめなんだね。すごくいいことだと思うな」
パチパチと軽く拍手してくれる。その所作がとてもきれいだ。指が細くて長いから、様になっている。この人に褒められると、なんかうれしい。
「ギュスターヴ様もどうです?」
私は、当然のことながら彼もお誘いする。成績優秀だし、教えるの上手そうだし、それよりなにより、優しく教えてくれそう。
ここが一番重要なところだ。スパルタタイプの人は、なるべく勘弁してほしい。
と言いつつ、肝心のオルガの教え方は、めちゃくちゃスパルタな予感がする。
しかし彼女の場合は、厳しい言動は、ご褒美になるポテンシャルを秘めているので、むしろどんな感じなのか、楽しみではある。
もし優しく教えてくれたとしたら、それはそれで非常に普段とのギャップがあってトキメクので・・・・・・
結論!どちらでもよし!
「行ってもいいけど・・・・・あ!そうだ。もう1人誘ってもいいのかな?」
「ええ、大歓迎です」
だれだろう。エドワード?それとも、ギュスターヴの他の友だちかな?
「ありがとう。お~いアルベルト~~!君にぴったりの催しだよ~」
向こうで友だちと話しをしていた男の子が、こちらを振り向いた。
「ん、なんだぁ?ギュスターヴ・・・・・・また女に囲まれやがって、ナンパでもしてんのか?」
ちょいとガラが悪い。
「違うよ。君はぼくにどんなイメージ持ってるのさ」
あはは、とギュスターヴが笑う。
不機嫌そうに頭を掻きながら、近づいてきたのは・・・・・・
アリスの相手候補の1人!アルベルト・バーンスタインだった。




