↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
22/34

頑張れ!ギュスターヴ!

 目が覚めたので、1人でテントの外へと出てみた。昨日は枕投げで、非常に充実した夜だったので、ぐっすり眠れたぞ。

 

 朝の山って気持ちいいなあ。ヤッホーとか言いたくなる。近くの泉で顔も洗ったし、すっきり爽快だ。

でも、ちょっと寒いな。たき火は、もう燃え尽きて灰になっちゃってる。


 みんなも起きだしてきたので、そこら辺に落ちている木の枝を拾って、火を起こして朝ごはんを作る。

 作るといっても、ウィンナーとかをそのまま焼いてしまう。たき火であぶると、おいしさが倍増するような気がする。


 そして、昨日作ったカレーもあたためて食べる。残しちゃうと持って帰るのが面倒だから、ここで食べきってしまおう。


 意外と量があって、みんな満腹になり、大満足だ。そして、食後に残っていたマシュマロをあぶって食べる。


 目玉焼きとか欲しいかったけど、いくらなんでも卵はだれも持って来てなかった。

 割れたら大惨事だもんな。


 遅めの朝食をのんびりと食べ終えて、みんなで帰り道を歩いていく。たった1泊だけど、なんだか名残惜しい気がする。

 

 それは、このキャンプがすごく楽しかったからだろうな。たぶん、どうでもいい相手とだったら、つまんなくて、すぐ帰りたくなったに違いない。


 道は、夜の間に雨が降ったらしくて、ぬかるんでいた。滑りやすそうなので、気をつけないと。


 「オルガ様、足元お気をつけて」

 

 メイドらしく、しっかりとご主人に声をかける。今、私ってすごくメイドっぽいことしている気がする。ご主人の安全を守るために、言葉をかけながら歩く・・・なんか、有能っぽさがある。


 「そんなこと分かっているわよ・・・・って、きゃっ!」


 早速バランスを崩した。なんてフラグ回収が早い人なんだ。


 「おっとっと・・・ほら注意しませんと」


 ガシッとつかんでオルガを支える。


 「わ、わかってるわよ」


 恥ずかしそうにオルガは姿勢を正して、今度はしっかりと地面を確認しながら歩いていく。


 よしよし。慎重になってくれたみたい。

 山は、普段の舗装された道とは違って、でこぼこしてるし、油断すると危ないかもしれないな。


 「わ、わわ~~~~~~~!」


 と、そんなことを思っていると、盛大に滑っている人を発見。


 ・・・・・アリスである。


 滑ると言うか・・・すごい勢いで滑り落ちていっている。


 これって危ないのでは?みんなも突然のことにビックリして、その場に立ち尽くしている。


 ・・・・・・あ!思い出した! 


 これは、アリスと相手候補との好感度上昇イベント!

 足を踏み外して、アリスは崖から落ちそうになるんだけど、そこで登場するのが、その時点で好感度の一番高いキャラクター。


 颯爽とアリスを助けて、二人は前より少し親密になるのである!  


 そして、今ここにいる相手候補といえば・・・・・・、


 ・・・・・・もちろん、ギュスターヴ!

 エドワードはオルガの婚約者なので、攻略対象ではないぞ。


 よし、ぜひこのイベントは成功させていきたい。というか、失敗したら確かケガしてしまうので、それはかわいそうだ。

 

 「ギュスターヴ様」


 どうすればいいかと困った様子でいるギュスターヴの肩に手を置いた。


 「それでは!張り切ってどうぞ~!」


 私は、彼の背中をドンッと押した。

 

 いってらっしゃい。


 「え!?ちょ、うわわあ~~~~~~~~!」


 ギュスターヴは、すごいスピードで足を動かして、転ばないように踏ん張りつつ、急な下り坂を駆け下りて行った。

 いやあ、さすが王子様だ。こんな斜面を躊躇しないで走って下りていくなんて、とても勇気がある。

 

 「ふぁいと~~」


 私は、手を振って応援する。


 「なんて力の抜けた応援なんだあ~~~~!」


 叫びながら、勢いよくアリスを追いかけていく。正直、めちゃ変な走り方だけど、この際、形はどうでもいい。頑張れ~!


 「ア、ア、ア、ア、ア、アリス~~~!待ってて~~~!」


 「ええっ!?ギュスターヴ様ぁ!?」


 アリスはビックリしていた。


 ドタドタと不格好に足を動かしながら、アリスの真横までギュスターヴはなんとかたどり着いた。

 手を伸ばして、アリスの身体をひょいと抱えると、


 「ふぬぬぬぬぬ!」


 ギュスターヴは、ゆっくりゆっくり登ってくる。けっこう急な斜面だけど、一歩一歩踏みしめ踏みしめ、ものすごい形相をしながら、気合と根性で私たちのところまで戻ってきた。


 アリスを地面にそっと下すと、


 「はあ・・・はあ・・・よかっ・・た・・・」


 倒れこんだ。


 みんなは、思わず拍手。お~よかったよかった。すごい!


 「大変でしたね」


 私は、二人にねぎらいの言葉をかける。ギュスターヴは、なかなかすごかった。アリスを運んでいる時の顔は、なんか夢に出てきそうなくらい怖かったけど。


 「は、はい。死ぬかと思いましたあ~」


 アリスは、その場にへたり込んだ。


 「ぼくも死ぬかと・・・というか、いきなり押すなんてひどくないかい?」


 ギュスターヴは、不満げな顔で私に言った。


 「いえいえ。ギュスターヴ様の活躍の機会を、軽やかに演出したまでです」


 「結果的ね!?それ、結果的だからね!?」


 温厚なギュスターヴがプリプリしているの、なんか新鮮~。


 「あ、あの・・・」


 アリスが遠慮がちに口を開いた。


 「ありがとうございましたっ!」


 ぺこりと丁寧に頭を下げる。


 「いえ、当たり前のことをしたまでです。お礼はいりませんよ。ええ、いりませんとも」


 私が、にこやかに答えた。


 「ちょちょ、助けたの、ぼくなんだけど!?」


 「すみません、つい性癖で・・・」


 「どんな性癖!?」


 私とギュスターヴのやりとりを、アリスは『あはは・・・』と苦笑しながら見ている。もしかして、ちょっと呆れてる?

 

 そんなアリスの様子に気づいたギュスターヴは慌てて姿勢を正すと、アリスの方を向いて言った。


 「と、とにかく、無事でよかったよ」


 「本当にありがとうございます」 


 アリスが丁寧にお礼を言って、また頭を下げた。律儀な子だ。


 お礼を言われて、顔をポリポリ掻いて、ギュスターヴは照れた。


 なんだか、二人ともいい雰囲気かも。

 これならイベントは、上手くいったと言えそうだ。ケガもなかったみたいだし、よかったよかった。

 

・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・・・


 二人が落ち着いたところで、少しみんなで休憩をとって、今度はしっかり足元に注意しつつ、帰り道を歩いて行った。


 最後の最後で、ちょっと危ないことも起こったけれど、みんな無事だったのが、なによりだ。

このキャンプは、大成功と言っていいのではなかろうか。


 みんなで、一緒に寝るの、楽しかったなあ。また、やれないかな?


 私は、みんなでお泊り会とか開けないかな~と、考えを巡らせるのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。