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18/30

キャンプにやってきた

 さあ、キャンプ当日。天気は晴れ。風がとても気持ちがいい。

 私が気持ちよさそうに、木の間を吹き抜ける風を浴びていると、イングリッドが、ジーと見てきた。なんだろう?この風を受けている私に見とれているのか?


 「変わった服だね~それ」


 そう言って、私の着ているシャツを指さした。


 たしかに、これはちょっと変わったデザインをしている服だ。なにせ、この前オルガとアリスと一緒にいる時に買った、袖に羽がついているシャツなのだから。(ep7参照)


 いや~着る日なんて来ないかなと思っていたけど、まさにキャンプという自然と触れ合うイベントにはピッタリ。


 羽と言えば、自然、自然と言えばキャンプである。


 「やはり、自然と一体になりませんと」


 私は羽のついた腕をひろげて、パタパタした。


 「鳥みたい、おもしろ~」


 どうやら、イングリッドには好評みたい。


「気持ちいいですよ。私は自然。自然は、私。私は風」


グルグルと木の間を小走りで走り回った。


 「ちょ、ちょっと!変なことしないでちょうだい」


 オルガが、顔を赤くしながら走っている私を止めた。


 「どうですか?ぜひご一緒に走って、自然を感じましょう」


 「い、嫌よ。恥ずかしい」

 

 オルガには、速攻で断られた。


 「え~おもしろそうじゃない!私やる!」


 と、イングリッドは乗り気なので、二人で両腕を真横に広げて、走った。

 わーい、なんか楽しい。


 「ほら!アリスちゃんも!」


 「えっ!?なんで!?」


 強引にアリスもイングリッドによって参加。


 「わーい」


 先頭は私、エリーゼ!


 「あはは、なんか、おもしろい~」


 続いて、イングリッド。


 「わ、わーい・・・」


 最後に、小声で遠慮がちについてくるアリス。


 私たち3人は、風を感じながら走った。


 「おもしろそう、ぼくもいれて~」


 と、ギュスターヴも最後尾に加わる。


 並んで走って、私たちは仲良くテントを立てる予定の場所へと、到着した。

 周りから、びっくりした目で見られたけど、そこそこ楽しかったので、よし!


 「着きましたね」


 なんか、もうすでに非常に満足感がある。


 「ちょっと恥ずかしかったですけど」


 アリスは、きょろきょろと見まわしながら言った。


 「いいのいいの!おもしろければ」


 イングリッドは、こういうのは平気なようだ。明るく笑っている。


 「いや~いい運動になったよ」


 ギュスターヴも満足した様子で、汗をぬぐっていた。なにをしても、なんとなく様になっちゃうのが、憎いとこだ。


 休憩をはさんでから、私たちはキャンプの用意をはじめる。


 エドワード、ギュスターヴの二人は、テントの設営。他の人は、カレーの調理だ。


 「頑張りましょう」


 アリスが腕まくりして、手際よく野菜を洗っていく。動きに迷いがない。包丁で、テキパキと皮をむいていく。


 彼女は料理上手なのである。両親が忙しくて、毎日のように自分で作っているので、カレーなんか、たぶん余裕。

 手作り弁当をデートに持っていくシーンもあるから、できるのは分かっていたけど、目の前で見ると、さすがの手さばき。

 

 さて、イングリッドの場合、ゲームで料理をしているシーンはなかったので、その実力は未知数だけど・・・どうかな?

 

 「うーんと、これを切ればいいの?」


 包丁の持ち方がぎこちないので、ケガしないかちょっと怖い。


 「そりゃ!うりゃ!」


 ジャガイモを切っていく。すごい変な形に切られていく野菜たち。


 まあ、煮込んでしまうから多少いびつでも大丈夫かな。その手つきからして、イングリッドは料理は得意じゃないな。


 ちなみに私は、料理はそこそこ。プロ並みではないけど、家にある材料で適当におかずを作ることくらいならできるぞ。

 

 と、みんなそれぞれ、準備を進めていっているのだけど、 


 ここで、ひとつ問題があった。


 それは、オルガ。家事はおろか、包丁を持ったことすらないのであった。しかし、オルガの家のメイドとして、彼女に恥をかかせるわけにはいかない。


 ということで、


 「オルガ様、お肉を切っていただけますか?」


 私から声をかける。


 「え、ええ・・・」


 野菜みたいに皮をむいたりしなくていいから、まだ難易度は低いはずだけど・・・。


 包丁を持ったまま、じっとしている。どうしていいのか、迷っているみたい。


 「ん?なにしてんの?」


 イングリッドがのぞきこんできた。いかん、バレてしまう。


 「オルガ様は、どう切れば、みなさんが食べやすいのかを考えているのです。さすがです、オルガ様」


 すかさず、フォローだ。


 「え、ええ、そうよ。もちろん。小さすぎても、あまり存在感がないし、大きすぎると食べにくいでしょう」


 「ただ切るだけじゃなくて、食べやすさを考えてくれてるんだ。いいとこあるじゃん」


 イングリッドのオルガへの好感度が上がったようだ。


 「よ、よ~し」


 オルガは深呼吸した。


 「え、えいっ!」


 気合のかけ声とともに、包丁でお肉を切った。

 

 なんか・・・


 めちゃ、かわいい!


 普段、ツンケンしている人が、けなげに頑張っている姿・・・最高・・・。


 「なんか力入ってない?」


 あ・・・まずい。イングリッドがちょっと不審に思っている。


 「オルガ様は奥ゆかしい方なので、緊張されているのですよ」 


 「ふ~ん」


 まだ、怪しんでいるみたい。


 よ~し


 ・・・かくなるうえは!


 「緊張されては、あぶないですよ。ほら、こうやって切ればいいのです」


 オルガが包丁を持っている手の上から、私の手を重ねて、切るのを補助してあげる。


 「え!?」


 オルガは、私の行動にびっくりしている。


 「一緒に切りましょう」


 よ~し、このまま突き進んじゃお!


  手握れるの、うれしいし!


 「そそそそそそ、そうねっっ!」


 オルガは動揺しながら、手だけ動かしている。


 照れてる照れてる。


 「きゃっ~!なんかすごい仲良しって感じ!・・・素敵~~!!」


 イングリッドは身を乗り出して、瞳を輝かせている。


 「ほら、こうですよ」


 「こ、こう?」


 お肉の下ごしらえを進めていく。


 仲良しなオーラをバシバシと出して、料理上手いかどうかとか、そういうのをうやむやにしちゃおっと!


 そのまま最後まで、二人で一つの包丁を使ってカレーの準備を続けたのであった。



 思わぬ危機を乗り越えて作ったカレーはとてもおいしかった。お肉の大きさもちょうどいいし、野菜は意味分からない形だけど、手作り感があって、これもまた、よし。


 おいしければ、いいのだ!

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