アリスの親友、参上
情報通・・・それは、ゲームの攻略において、なくてはならない存在・・・。
キャラクターの好感度を教えてくれたり、デートスポットや催しものなんかも教えてくれる、重要で便利で、ありがた~い人である。
そして、このゲーム『月下に咲く花』において、その役割を担うキャラクターが・・・
今、私たちの目の前にいる・・・・・イングリッド・ヘイリーなのだ!
茶髪でポニーテール。エネルギッシュで明るい、かわいい子である。
貴族の家の出身なんだけど・・・中流というか、最近、貴族の仲間入りをした新入りポジションらしく、庶民的な感覚を持っている。
なので当然、アリスと気が合う。んで、仲良くなって、それからずっ~とアリスの友だちになる。オルガにいじめられたり、毒舌攻撃を食らっている時にも、かばってくれる、実にいいやつなのだ。
しかも、このキャラ。親友エンドと呼ばれる個別のエンドが用意されている。
私、このエンディングがすごく好きだったんだよね~。このゲームの根本の前提をひっくり返すかもしれないけど、『恋がすべてじゃないよね』って感じの終わり方が、なんだか、とてもさわやかで、よかったのだ。
と、アリスの味方で、オルガにとっては邪魔なイングリッドなんだけど・・・・・。
やっぱかわいいよな~。私は、イングリッドも好きなんだよね~。
勝気なのがいい!
「あなたたち!またアリスをいじめてたでしょ」
こっちをにらんでいる。どうやら誤解が広がっているみたい。『いじめてたのは、オルガだけで、私はなにもしてません』と言いかけて、やめておく。オルガが悪者になってしまう。
ここは、私が引き受けよう。
「いじめだなんて・・・・・班にお誘いしていただけです」
「私は騙されないわよ!そんなこと言って、無理矢理に・・・」
「ま、待ってイングリッドちゃん!無理やりじゃないから!」
「いいえ、大丈夫よ。アリス!私が助けてあげる」
あちゃ~これは面倒くさいやつだ。こっちを悪者だと思い込んでいる。こういうのが一番、手間がかかるんだよな。
「イングリッド様、ごきげんよう」
まず丁寧なあいさつ。これ、大切。敵意を和らげるのだ。
「え!?あ、あなた・・・・・・だれ!?」
すごいストレートに言われた。おい、ギュスターヴはもうちょっと気を使っていたぞ。
しかし私の存在感のなさ・・・自分がちょっと悲しくなる。
「エリーゼです」
「あ~・・・覚えてない・・・」
やっぱりね。イングリッドも絶対覚えてないと思ったよ。
「ふ~ん、クラスメイトの名前すら覚えられない低レベル人間が、ここにもいたわね」
さすがオルガ。攻撃できそうなことができたら、すかさず、チクチクと言っていく。ここにもというのは、たぶんギュスターヴという前例を踏まえての言葉だな。
「な、なによ失礼ね!」
「どこが?同じクラスの人間を記憶してない方が、よっぽど失礼だわ」
「ぐぬぬ~!」
おお!オルガの攻撃が効いている!
「話をそらさないで!あなたたちが、アリスをいじめていたのは聞いてるんだから!」
「私たちが?」
ん?変だな・・・。私は、アリスへのいじわるには加担してないはず・・・。いったい、どんなことを聞いているんだろう。
「何時間も、服選びにつき合わせたりとか・・・」
あれか!たしかに話だけ聞いたら、いじめに捉えられなくもない。でも、いじめではないんだ。ただ、オルガがやる気を出しすぎちゃっただけなんだ。
「それに、パンケーキを食べに無理やり連れて行ったとか・・・・」
「待って!あれはすごく楽しかったよって、そう話したよね?」
アリスが、口をはさんだ。
「い~や騙されないわ。アリスにおいしいものをいっぱい食べさせて、それで、どんどん太らせていって・・・・・・いずれ食べる気でしょう!」
すごい、したり顔で言われた。
・・・・・・なに言ってるんだろう、この人。
「食べないわよ!そんな、まずそうなもの」
当然、オルガが反論。でも、その反論もちょっと変だぞ。おいしそうなら、いくのか?
「なに~!?おいしいわよ!アリスは!」
イングリッドが謎のフォローを入れた。
「い~え、まずいわ!!」
「おいしい!!」
「まずい!!」
話があさっての方向に行ってない!?
「ほら、こんなもち肌なんだよ!絶対おいしいよ!」
イングリッドは、アリスのほっぺたをギュ~と引っ張る。
「ひはひ、はへへええええ!!」
アリスは涙目になっている。めちゃ痛そう。でも、かわいい。
「なによ!そんなもの。私の方がおいしそうよね!?」
オルガが、なぜか対抗意識を燃やして、私に尋ねてきた。私に聞かれても困るんだけどな・・・。
よし、ここは、ほかの人にパスだ!
「ギュスターヴ様のご意見は?どちらがおいしそうでしょうか」
「ええっ!?ぼくぅ!?」
なんか、おもしろそうなのでギュスターヴに聞いてみる。しかし、『どっちがおいしそうか』だなんて、なんか、いかがわしい意味に聞こえなくもない。まあ、ここにいる人で、そんな心が汚れている人はいないか。
と思ったら、エドワードが微妙に恥ずかしそうにしている。
……見なかったことにしよ。
「いや、その・・・・どちらも、それぞれ素晴らしいかと・・・・・・」
ギュスターヴは質問が意味不明すぎて、返答に困っている。
「あ~あ~。そういう中途半端なのが一番ダメなんだよ~ギュスターヴくん」
イングリッドがダメ出しをはじめた。
アリスがどれほどおいしいそうなのかを、ギュスターヴに、じっくり話して聞かせている。
律儀に聞いているギュスターヴ。ちゃんとメモまで取っているのが、真面目でよろしい。
でも、アリスとオルガのどっちがおいしそうかという特殊すぎる話題なので、メモしても、たぶん今日以外には生かせる機会は一生来ないぞ。
意味不明なところへ話が転がりはじめて、カオスな雰囲気が漂いはじめちゃってるけど、イングリッドの登場そのものは、私にも好都合だ。
彼女とも、お近づきになりたかったし、このチャンスはぜひ生かしていきたい。
というわけで、親しくなるための方法を考えよっと。




