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みんなで、待ち合わせ

 オルガと私は、街の中心の時計台の下にいる。ここは、みんなが待ち合わせに使うので、なかなかの混雑ぶりだ。

 

 私はもちろん。この前買った紺色のシャツに身を包んでいる。ふふふ、なかなかイケているのではないだろうか。

 もともと、センスがゼロに近いので、とりあえず、そこそこのものを着ていれば、プラスである。

 まともな私服は、これ一着しかないので、おとまりイベントなどが発生した場合詰むけど。


 とりあえず、今は考えないこととする。その時悩めばいいや!


 オルガは、私と服屋に行った時に買った黒いシャツを着ている。


 眼福というやつだな~。黒髪と黒のシャツが、実にいい。ていうか、オルガなら、どんな格好でもいいと言ってしまいそうな気がする。

 あまりゲーム中は、オルガの私服を見られなかったもんな~。

 今、メイドである喜びを噛みしめている。



 「お待たせしました」


 待ち合わせ時間まで、まだ余裕があるけど、アリスは私たちを見つけると、小走りでやってきた。

 別に走ってこなくてもいいのに、急いできてくれるところが、かわいらしいというか、いい子だな~って思う。


 なにげなく着ている服に目をやると・・・・・おっ!オルガが選んだ服を着ている。その時の苦労が、フラッシュバックする。


 「やあ、みんな、はやいね」


 ギュスターヴも、アリスとほぼ同時に到着だ。


 白いワイシャツ姿である。胸元が開いていて、人によっては色気がめちゃくちゃ漂ってきそうな着こなしなのだが・・・・・・


 ギュスターヴの場合は、色気というか、ゆったりとしていて、くつろいでるって感じ。

 なんだか、全然いやらしさがなくて、これはこれで、よい。

 たぶん、人の好さみたいなのが、にじみ出てるんだろうな。


 どうやらエドワードはまだ来ていないみたい。彼のことだから早めに来て、「ふん、俺より遅いとは、失礼だな」とか難癖つけてくるものかと思った。

 私の中でのエドワードは、基本的にちょっと性格が悪い。


 少し待つ。


 まだ。


 さらに待つ。


 念のため確認してみる。


 「ギュスターヴ様。エドワード様は、きてくださるんですよね?」


 「うん、ぼくが誘ったら、ちょっと不満そうだったけど、『まあ、よかろう』って言ってたから」


 「なるほど・・・・・・」


 オルガとエドワードは、なんか性格が似ている気がするので、私なりにエドワードの言葉の意味を推測してみると、『まあ、よかろう』は、『そこそこ楽しみ』の意味なので、ちゃんと来る可能性が高い。あと、エドワードは意地っ張りではあるけど、約束を破ったりするタイプではないから、そこは大丈夫だろう。



 少し経つと、競歩みたいに、すごい早歩きで、むこうからズンズンとこっちに迫ってくる人がいる。


 ん・・・?


 あ!あれは、エドワードだ。


 顔はいつも通りのドライな無表情なのに、体だけ、キビキビ動いているのが、なんだかシュールだ。

 ギャグなのか?これは、笑っていいやつなのか?


 「き、貴様たち・・・・・・早すぎるぞ」


 肩で息をしながら、エドワードは言った。

 まだ、時間には十分余裕がある。


 みんながもう待ち合わせ場所に揃っているのを見て急ぎ足になるなんて、ちょっとかわいらしいところあるじゃない、エドワード。


 頑なに歩いていたのは、やっぱり、貴族たるもの待ち合わせ場所に走っていくなんてカッコ悪いとか、そういうことなのだろうか?

 正直、すごい勢いで歩いてくる方が、変だぞと言ってあげたくなるけど、おもしろいので、そのままにしておく。


 「よし、みんな揃ったね」


 と言いながらギュスターヴは、アリスの服をちらっと見て、

 

「なんだか、私服姿のアリスは新鮮だね。すごく似合ってる」


 ニッコリと微笑む。


 「あ、ありがとうございます」


 アリスが照れる。


 う~ん、すごいストレートな褒め言葉だ。こういう言葉を、照れとか計算なしで、さらっと言うタイプなんだよな、ギュスターヴって。

 そこが、人気の秘密。


 でも、ここで注意!

 ギュスターヴは、好感度が高くない状態でも、こんな感じのことを言うキャラなのである。


 私は、ゲームプレイ時に、ギュスターヴと順調に関係を進められているなあ~と思って、好感度を確認すると、全然好かれてなくて、驚愕した覚えがある。


 こいつは、誰にでも優しくするタイプなのだ!




 その一方・・・・・。


 「ふん、せっかく私がこの前見てあげたのに・・・なに?その着こなしは?服を着ているのではなく、服に着られているみたいだわ」


 オルガは相変わらず、毒舌だった。これも、平常運転である。


 なので、例によって例のごとく、私が口をはさんでいく。


 「そうです。これから、その服が似合うような、かわいい人になってほしいと、そうオルガ様は言っているのです」


 「そそ、そうなんですか!?」


 またしても照れるアリス。褒められ慣れていないせいで、けっこうチョロいのが、少し心配だ。


 「べ、別にそういうわけでは・・・」


 オルガは、小声でごにょごにょと口ごもった。自分の言葉が好意的に解釈されてしまったので、困っている。


 「ま、まあ精進することね!」


 と、強引にごまかした。


 よし、私のフォローが上手くいったみたいぞ。グッジョブ、私!


 「おい、こんなところでグズグズしてないで、早く行くぞ」


 エドワードがぶっきらぼうに言った。

 この人も、たいがいケンカ腰なんだよな。これから楽しい場所に行くのだから、もっとニコニコできんのか。『うるせえ、もっと楽しそうにしろ!』と言ってやりたくなるけど、やめておこう。


 私たちには、これからパンケーキを食べて、親睦を深めるというミッションがあるので、小さなことでケンカしている場合ではない。


 「では、少し早いですが向かいましょうか」


 私の案内で、みんなはぞろぞろと歩きはじめた。

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