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【完結】やり直しの人生では我が子を抱きしめたい! ~後悔していた過去を変えていったら片想いしていた人たちと両想いになりそうな気配だけど夫の事が気がかりです~  作者: 猫都299
二章 続編 未完成な運命は仮初の星で出逢う

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99/100

99 終着点(ユーラ視点)


 相棒である鮫の姿をした精霊の上から、地面へ降りる。


「っとに。何でオレが。あいつらの仲を認めて、手伝わないといけないんだよ。オレだって、そんな……いい奴じゃねーんだぞっ」


 ブツブツと独り言を呟きつつ、奴らの家へ向かう。雑草の生えた小道の先に、平屋建ての家が見える。

 この辺りは高台で、家の先には青い海を見渡せる景色が広がっている。

 吹き抜ける風が、気持ちいい。風よけの為か、庭には木が植えてある。


 歩きながら、溜め息をつく。


 今日は……この家に住む予定の元婚約者へ、彼女の私物を届けに来た。彼女の夫になる、オレの上司の指示で。


 元婚約者の、前に住んでいた家へ彼女の私物……サボテンに似た植物を取りに行く際、その家の大家と会って部屋を解約した。


 ワズが攻撃を受けて、ワズを営む上で重要な役割を果たしていた「石」も奪われたというニュースは、大星域の全土を揺るがした。


 オレの上司であるアルゼは、ワズを管理する施設での任務中に攻撃を受けて行方不明。かつてオレの婚約者だったエスティは旅の末、別の星域へ移住した。……という設定なのだと。アルゼの思惑通りに事が進んでいる。気に食わねー。


 本来なら。ワズへ攻撃を仕掛けた一団に対して、ワズの管理に携わる貴族らが黙って見過ごす訳もないのだろうけど。運営や貴族らの反応は薄い。アルゼが、裏で何かしたのか?


 ワズは、運営していた奴らの手を離れた。


 不幸中の幸いと言うべきか……死んだ事になっているアルゼのほかに、人が死んだり怪我をしたという報はなかった。


 ワズの管理施設は粉々になり。混乱に乗じて、あの場にいたエスティの件はうやむやにされた。


 アルゼとエスティの、真の行方を知る者は限られている。その内の一人が、オレだ。


 アルゼと知り合って、いつの頃からか。奴が、ワズでの知り合いに似ている気がしていた。


 思い切って鎌を掛けてみたら、当たりだった。


 「オレと婚約者の通信を妨害させていたのは、あなたですね?」と、最初は丁寧に聞いたが。「さあ……?」と、はぐらかす素振りをされてカチンときた。大きめの声で問い詰める。「お前……鈴谷だろ。分かってんだぞ」と。


 場所はリウラの盾に関係する建物の休憩室で、その時間にはオレたちのほかには人がいなかった。


 上司に対する口調としては、不適切過ぎる。『これで全然、違っていたら。左遷されるどころじゃ済まねーぞ』と、密かに冷や汗をかいていた。


 だが。奴は口を割った。「ふーん。志崎の癖に生意気」と。あっさりと白状した。


「……んっのっ、ストーカー野郎!」


 思わず、怒りを込めて罵る。

 ワズで、好きな人を奪われた。本来の人生でも奪われるのか? 冗談じゃない!


 アルゼは「上司に使う言葉は選べよ」と、笑っている。


 アルゼはワズの管理者からの要望で、特別な仕事を任されていた。

 ワズを守る事。狙ってくる奴らの情報を得る事。そして……奪われてしまうのなら、その前に。ワズを、破壊するように命じられていた。


 結局。狙っているのはアルゼと、その仲間だった訳だが。オレも、まんまと手伝わされている。


 運営のお偉いさんは、元からワズを終了させる気でいたようだ。終了を回避するのが、アルゼたちの目的だったのだろうな。


 破壊されずに別の星域へと移されたワズは、今日も育星されている。


 ワズの所在は。強力な魔法壁やマスターの一人だった優秀な技術者の仕掛けで、秘匿されている。


 さっきの、アルゼの正体を掴んだ時の話に戻る。


「オレやオレの婚約者の通信を妨害させていたのは。もしかして、彼女は……」


 問うと、不機嫌な視線を向けられる。


「違うだろう? 『元』婚約者だろ?」


 細かく拘る様子に、思い至る。


「…………まさか。オレをこの部署に配置したのも……」


 アルゼは何も答えず、ニコリと意味深に笑む。


 こいつ……!

 底知れない恨みに、胸を焼かれながらも。相手は上司だからと衝動を抑える。


 あの時の自分は。過去一、頑張っていた。



 当時を思い出して、内心では怒りが込み上げている。しかし……。


 彼らの新しい住まいを訪ねる。

 戸を開けて出迎えてくれた。かつての婚約者の笑顔に、邪心が洗い流される。


 アルゼの隣で幸せそうにしている彼女を、確認できてよかった。

 小さく溜め息を零す。


 本来なら、とっくの昔に終わっている筈の心模様に。やっと、諦めがつく。


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