表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
やり直しの人生では我が子を抱きしめたい! ~後悔していた過去を変えていったら片想いしていた人たちと両想いになりそうな気配だけど夫の事が気がかりです~  作者: 猫都299
二章 続編 未完成な運命は仮初の星で出逢う

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

98/98

98 ワズの行方

 両手を、ぎゅっと握られる。


「二人で住む為の、小さな星を購入したんだ。環境も調えてある。規格から外れた俺たちは、もう……ルールの中には戻れないけど。それでも。……君の人生を、俺にくれる?」


 尋ねられる。真剣な瞳で、窺うように見つめてくる眼差しを受け止める。

 言葉の意味を理解して、瞼を大きく開く。


「アルんるーん! 時間切れだよ! 折角の二人切りのラブラブタイムを邪魔して、本っ当にっ、怒んないでほしいんだけどっ! 『仕上げ』を、よろしくっ!」


 ブツッ。


 急に聞こえ出した音声にびっくりしていると、アルゼさんが通信を切った。彼は微笑んでいるのに、凄く怒っているのが伝わってくる。


 今の音声……ルイメディーナの声に似ていた。でも、喋り方は違った。咲月ちゃんめいていた。まさかね……。


「ゼナ」


 アルゼさんが大きく呼ぶ。

 ただの壁だと思っていた所から人が出て来たのにも、出て来た人物自体にも。二重に驚く。

 以前……ブリアスで会った、黒衣の若者が姿を見せる。


 さっき確認した。彼のアバターは透だ。


「え? えっ? もしかして。ずっと、そこにいたの?」


 うろたえながら聞く。


 そ、そうか……。さっきのドアの件みたいな魔法で、壁際に隠れていたんだね……。


 頬が熱い。

 赤面しているだろう私を一瞥し、溜め息まじりに言ってくる。


「何もかも聞いてたよ? 君たちのイチャイチャ振りは、今に始まった事じゃないし。大丈夫」


 何が大丈夫?


「それより。俺がこの部屋に星堂の技術を巡らせるのに、どれだけの時間を費やしたと思ってる?」


 彼はアルゼさんへ、不満げに目を細めて見せる。先ほど出て来た壁に空いた、黒い靄が見え隠れしている穴を指して言い募っている。


「こんな所に、こんなモノを設置して……。間違いなく反逆じゃん。もちろん、俺の一生も責任持ってくれるよね?」


 アルゼさんはゼナから視線を逸らしている。ゼナが溜め息をつく。


 ブウンと音がした。部屋の中央にあった、星の映像が消えている。薄暗かった部屋が更に暗くなる。

 ワズの機能が停止したのだと思い至る。

 彼らが何故。ワズに、このような仕打ちをしたのか。後でじっくりと説明してもらわなければ。きっと、何か理由があるんだよね?


 ごめんね、由利花。私は……私の人生を生きるね。

 これで、ワズの繰り返しも終わる。彼女の時間も止まる。


 この場を脱出して、辺境の星へ移動する。壁の穴を抜けて奥へ進むと、割とすぐに辿り着くらしい。

 壁の穴をくぐる直前。ゼナが何事かを思い出した仕草で、ポケットを探っている。取り出して見せてくれたのが、黄金色に目映い石で目を瞠る。


「この石には、ワズの記憶や情報が詰まっている。言わば、セーブデータみたいな。今から向かう先の星で、ワズの続きを育星しようと思ってるんだ。ワンチャン、透が由利ちゃんに選ばれる未来も、あるかもだし」


 ゼナは顔を僅かに傾けて「ニッ」と、子供っぽく笑う。


「ありがとう……ありがとうっ!」


 強く抱きしめて、お礼を伝える。ゼナが身を捩って声を上げる。


「えっ、嬉しいけど。やめてっ、今は……! 鈴谷さんに殺されるっ!」


 ワズでの、気心の知れたやり取りっぽくて。頬が緩む。


「フフッ」


 笑うと。ゼナが、げんなりした口調になる。


「冗談で言ったんじゃないんだけど……」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=148632544&size=300
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ