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【完結】やり直しの人生では我が子を抱きしめたい! ~後悔していた過去を変えていったら片想いしていた人たちと両想いになりそうな気配だけど夫の事が気がかりです~  作者: 猫都299
二章 続編 未完成な運命は仮初の星で出逢う

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100/100

100 エピローグ


 辺境にある星々の間に、ワズを育星している。周囲に幾つか似た星があり、カムフラージュしやすいのだとか。


 ゼナは、ざっくりした説明を終えて席を立つ。


「来たみたいだよ? じゃあ、俺はこれで……」


 玄関のドアではなく、裏口から出て行く彼の後ろ姿を見送る。

 きっと、家の裏にある泉へ向かったんだと思う。ワズを観測できる特殊な泉に改造したと言っていたから。


 間もなく、ユーラが訪ねてくれた。

 私の大事な、サボテンに似た植物を受け取る。ここからは、凄く遠いのに。私がこれまで住んでいた家まで赴き、取って来てくれたのだ。


「ありがとう」


 ユーラに会えたのも嬉しくて、微笑んでお礼を伝える。


 右肩を掴まれた。左隣にいる人物に抱き寄せられる。その人を見上げる。……アルゼさんは笑顔で、ユーラを睨んでいる。


 えっと……。ユーラの前でアルゼさんとイチャイチャするの、ちょっと恥ずかしい気がする。


 アルゼさんとユーラが睨み合ってしまった状況を、どうにかしたい。咄嗟に思い付いた話題を振る。


「そう言えば! ブリアスで出会った時から、ちょくちょく。アルゼさんの様子を窺っていたんだけど。睨まれたりしていたから、嫌われているんだと思っていたよ。まさか好かれているとは……龍君の本体の人だとは、思っていなかった」


 アルゼさんは、きょとんとした表情になる。一拍後に、無邪気な顔で笑んでくる。


「恐ろしい程の力で、抑えないといけなかったんだ。衝動を。ずっと、イライラしていたから。すぐにでも抱きしめて、家に連れて帰りたいって」


 アルゼさんの言い分に、耳を傾けていたけれど。意味を理解する前に、ユーラがアルゼさんの頭をはたいたので。うやむやになった。


 暫く三人で、お茶を飲みながら話をしていた。



 ユーラが帰った。見送りの為に挙げた手を、下ろす。


 短期間の内に。ワズを管理する施設が破壊されたり、その場所から脱出したりと。色々な体験をして疲れた。


 隣にいるアルゼさんの方を向く。彼は。私が何を考えているのか知っているみたいに、フッと微笑む。

 優しい手付きで、頭を撫でられる。温かくて、泣けてしまう。


 「私の」家族を得たんだと、実感する。


「よかったね。エスティ」


 ニーナの声が聞こえる。もちろん、ニーナも大切な一員だ。


 そして……後になって、アルゼさんとニーナに打ち明けられるのだった。更なる家族を。


 連れて行かれた夜の庭で、見てしまう。アルゼさんのトケイから、赤とオレンジの混じる炎と……羽根が飛び出るのを。


 私の周りを、元気に羽ばたいているのは——。


「幼い頃に預かったフェニックスだ」


 アルゼさんの言葉に目を瞠る。ルドと再会したのだ。

 えっと。それは、つまり——?


 驚き過ぎて、理解が追いつかない。ぼーっとする頭に、思考が浮かぶ。

 いつだったか……ケールディアが言っていた、アルゼさんから感じる「得体の知れない気配」って。ルドの事だったのね……?


 つまり。彼は……?


 ニヤリと見つめてくる。顔が熱い。


 えっと……?




 龍君のミサンガが切れた。自然に。


 十八歳を過ぎてから聞いた話では。龍君は小六の修学旅行先の海辺で、雪絵ちゃんに脅されていた。付けられたミサンガを自ら外した場合、私と結ばれなくなると。


 途中で諦めそうになったと、龍君が苦笑する。私をつらくさせているのが自分の行動という事実に耐え切れず、離れた方が私の為になると思い至って。

 「傷付けて、ごめん」と、泣かれた。


 その後も、色々あったけど。ミサンガが切れた、中学生だった頃の話に戻す。


 父たちに連れられて、釣りに来ていた。

 今回のメンバーは。父と、龍君のお父さんと、龍君と、私のみ。


 父たちが釣りをしている岩場から少し離れた所にある、潮だまりの側に。龍君と二人で座り、小エビやイソギンチャクを枝でつついている。


 龍君のミサンガが切れたという事は。もしかして……彼の態度にも、何か変化があるかも——?


 期待していた。

 けれど。彼は潮だまりに視線を落として、目も合わせてくれない。

 私も俯いて、潮だまりを見つめる。


「十八歳になったら。結婚する約束してたよね?」


 話し掛けられてハッとする。

 龍君がこっちを見ている。


「約束を破るのは、よくないから……守ってね」


 感情の読めない顔付きで伝えてくる。


「龍君はいいの? 相手は私で」


 ドキドキしながら聞く。頷くのを目にして、胸が痺れたように痛い。


「由利花ちゃんは?」


 尋ねられて答える。


「龍君がいい」


 抱きしめられる。私も、ぎゅっと掴まえる。

 ずっと、放さないつもりで望む。


「もう、見付けたから」




 小さな星に住んでいる。

 家の裏にある泉の端に、腰を下ろす。水面に足を浸して、泉からワズを観測する。

 由利花と龍君が潮だまりの側で話をしているのを、彼らの斜め上辺りから見下ろしている。


 私の隣にも、アルゼさんが座っている。


「子供がいるって、どんな感じなんだろうって思っていたけど。ちょっとだけ、分かった気がする」


 ワズの眺めに微笑んで、囁く。


 私たちも、手を繋ぐ。

 寄り添って、幸せな未来を想った。


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