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やり直しの人生では我が子を抱きしめたい! ~後悔していた過去を変えていったら片想いしていた人たちと両想いになりそうな気配だけど夫の事が気がかりです~  作者: 猫都299
二章 続編 未完成な運命は仮初の星で出逢う

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91 友達と秘密


 準備をして、部屋の外へ出る。

 ドアの横の壁に凭れていたケールディアと視線が合う。


 彼は、どこか痛い時にするように目を細める。だけど、それも一瞬の出来事で。すぐに逸らされる。


「よお。……よく眠れたか?」


 言われて。一拍ほど遅れて、返事をする。


「うん!」


「嘘がヘタだな。ワズで何かあっただろう?」


 指摘されて言葉を失う。閉口したままケールディアを見る。

 再び、視線が重なる。彼が口を開く。


「よかった! まだいてくれたのね!」


 明るく澄んだ女性の声音が、廊下に響く。振り向いて確認する。

 ルイメディーナが、お付きの女性二人と共に駆けて来る。


「早い時間に出発すると聞いていたから、もう行ってしまったのかと思ったわ」


 僅かに頬を染めた顔で、穏やかに微笑まれる。


 

 ルイメディーナは昨晩、城の内部に造られた温泉へ誘ってくれた。一緒に湯船に浸かって話をした。

 

 色々と聞かれた。ケールディアと出会った経緯とか、私の旅の目的とか。

 「人を捜していて」とは答えたけど、ワズについての話は避けた。彼女はワズに危機が迫った時、「リウラの盾」に協力するよう要請があったと言っていたから。ワズの秘密を探ろうとしているのを、気取られてしまうかもしれない。慎重に言葉を選んだ。


 その時も。彼女は今のように微笑んでいた。そして……私の両手を自らの両手で包み、言ったのだ。


「ねえ……。私たち、お友達になりましょう? 私……ずっと憧れていたの。気兼ねなく、おしゃべりできる友達に。ここで出会えたのも、きっと運命だわ」


 びっくりして相手を見る。少し眉を寄せて、上目遣いに眼差しを送ってくる。

 照れながら返事をする。


「ええと……。はい、喜んで」


「嬉しい!」


 抱き付かれて焦ってしまう。


 耳元に。低く小さく、囁きが落ちる。


「でもね。私……多分、善い人間じゃないのだわ。それでも、友達でいてくれる?」


 無言で、相手の眼差しを受け止める。

 緊張で唾を呑み込む。


「なあんて。言ってみただけ。気にしないで……」


「友達です」


 彼女が茶化そうとした途中で、強く言い切る。


「私たちは、もう……友達です」


「……うん」


 ルイメディーナは少し涙ぐんで微笑む。温泉を出る際に「ケールディアには秘密ね」と、釘を刺された。



 意識を現在に戻す。ルイメディーナは昨晩の温泉でしたように、私の両手を握って言う。


「あなたの捜している人を、知っているかもしれない」


 ドクンと、心臓が音を立てる。

 

 彼女の唇が紡ぐ。


「彼は今――……」


「ルイメディーナ。悪いが、もう行くぞ」


 ケールディアに手を引っ張られて、ルイメディーナから引き離された。突然の事で……彼へ意見する間もないまま、城の外へ連れ出される。


 ルイメディーナが伝えようとしてくれていた話を聞きそびれた。

 

 彼女の言っていた「あなたの捜している人」が龍君の事ではと考えて、すぐに首を横に振る。

 温泉で尋ねられた時分には。ワズに関係する事柄をはぐらかして、まともに答えていない。だから恐らく……私の元婚約者であるユーラについての話だったのだろう。


 彼は今、中星域ドゥーナへ向かっているらしいけれど。向かっているという事は。私たちのように、この星で一泊していたのならば。まだドゥーナへ発っていない可能性もある。


 それにしても。話の途中だったのに。さっきのケールディアは、不自然に強引だった。何か、私に教えたくない情報でもあるのかな?


 私の手を掴んだまま、先を急ぐ彼を盗み見る。険しく前方を睨む表情に、首を傾げる。

 怒っている? ……違う。

 

 どこか、悔しそうな雰囲気を感じる。


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