表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
やり直しの人生では我が子を抱きしめたい! ~後悔していた過去を変えていったら片想いしていた人たちと両想いになりそうな気配だけど夫の事が気がかりです~  作者: 猫都299
二章 続編 未完成な運命は仮初の星で出逢う

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

90/92

90 寂しい


 自分でも、何て酷い事を言っているのだろうと考えながらも。勢いで近付く。彼の左腕を抱きしめる。

 さすがに、やりすぎかな……と、雪絵ちゃんを窺う。げんなりした目付きで見られていた。


「目の毒!」


 口元を歪めて言ってくる。


「え? それだけ?」


 思わず聞く。雪絵ちゃんは一瞬、ハッとしたように瞼を開いた。けれど、すぐに。彼女も龍君の右腕に取り付いて来る。焦る。


「雪絵ちゃんっ?」


「鈴谷君は渡さないわ。まだ全然、安心していい状況じゃないし……」


 彼女が何か言い掛けて口を閉ざした直後、龍君の体が傾く。雪絵ちゃんが彼を引っ張っているのだ。


「行くわよ、鈴谷君」


 雪絵ちゃんの無情な物言いに、唇を噛む。

 

 その時。龍君がこっちを見た。ホッとして目を見開く。だけど……相手の眼差しが冷たい。捉まえていた手を払われる。


 彼は雪絵ちゃんの促す方へ歩き始める。僅かに呆然とする。


 内心、ショックを受けていた。それでも……勇気を振り絞る。

 遠ざかる背に届きますようにと祈り、想いを言葉にする。


「龍君が雪絵ちゃんを選んでも。私は龍君が好きだから」


 彼の歩みが止まった。

 振り向いてくれた!


 沈んでいた心が浮上する。しかし……。


「昔の僕みたいだね。いい気味」


 皮肉めいた笑みを添えて紡がれた意向を理解した時、大好きな筈の声が鋭く胸に刺さる。

 

 陰りを帯びた瞳が、私から逸れる。


「行こう、雪絵ちゃん」


 言い終わらない内に歩き出す彼の背中を、追えなかった。


「そ、そうね……」


 雪絵ちゃんは呟いた後、私を見た。次に龍君を見て、眉をひそめている。

 

 二人は、私を屋上に残して去った。





「……はは」

 

 城の一室で、目を覚ました。


 女王の計らいで、客室に一泊した。

 大きくてふかふかのベッド、置いてある家具も一目見て高級と分かるものばかり。


 朝の光が降るしじまに、萎れた笑い声が不似合いな気がする。とても。


「嫌われてた」


 独り言ちる。

 のそのそとベッドを出て、鏡台の椅子に座る。


 鏡に映る自分の眼が赤い。

 ワズでの出来事が胸を苦しくさせるから、寝ている間に涙が零れていた。


「当然かな?」


 鏡の中の女の子へ、わざと笑って見せる。

 

 『昔の僕みたいだね。いい気味』……龍君の言葉を反芻する。


 由利花たちの一度目の人生で、彼は私を想ってくれていた。以後も、ずっと。由利花は三度目の人生で、やっとその事を知った。


 一度目の人生も、二度目の人生も。龍君じゃない別の人を想っていた。

 二度目の人生では、龍君と結婚したのに。一度目で夫婦だった透と、長らく片想いを引きずっていた志崎君の面影を忘れられなかった。


 私がフラフラしているから、龍君をたくさん傷付けたと思う。


「私がワズをする意味って、何だろう」


 呟いて、自らの手のひらを見つめる。ワズで、彼に振り払われた。

 滲む目元を歪めて聞く。


「……こんなに、寂しいのに」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=148632544&size=300
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ