侵略者を討つな! 130
隊長は日向隊員を見て、今度は微笑みを浮かべました。倉見隊員も、寒川隊員も、女神隊員も、安堵の顔を見せます。
さて、日向隊員が完全に心を入れ替えたかと思いきや、実はそうでもないようです。
その日の午後、ここは日向隊員の私室。中では私服の日向隊員が長髪のウィッグをかぶったところです。
日向隊員は姿見の鏡を見ました。そこに映った日向隊員は、飛行機事故に遭う以前の日向隊員=金目ひなたそのものです。
日向隊員はつぶやきます。
「ふふ、怨霊はやっぱ長髪じゃないとね!」
日向隊員はニャッと笑いました。
夜、9時くらいか? ここは住宅街。街灯や住宅の灯である程度明るさが確保された道です。今ここを1人の少女が歩いてます。持ってるカバンなどから推測すると、塾帰りのようです。
顔を見たら、片岡愛美。そう、日向隊員=金目ひなたのかつての友人です。音楽を聴いてるのか、両耳にイヤホン型ヘッドホンが刺さってます。
片岡愛美は山際怜子いじめ自殺事件が露見した直後にテレビに出て、そのすべての責任を金目ひなたに押し付けました。金目ひなた=日向隊員にとって絶体に許せない人物の1人なのです。
片岡愛美の背後にもう1人少女がいます。ストレートヘアの長髪、キャップを目深に被ってます。実はこの少女は日向隊員です。日向隊員は片岡愛美を尾行してました。
日向隊員はつぶやきます。
「なんだよ、こんな時間まで塾通いかよ? 私立の中学にでも行くつもりなの? くっ、こっちは死ぬ寸前まで追い詰められたというのに、いい身分じゃん。
あなたのせいで弟は死んだ。お父さんとお母さんも死んだ。私は身体がバラバラになった。許せない、絶対許せない!」
2人が鳥居の脇を通りました。日向隊員は神社の境内の方を見ると、ニヤッとし、その鳥居をくぐりました。
境内の脇にはいくつもの巨木があります。日向隊員はその1本の陰に隠れ、腰を下ろしました。
日向隊員は両手で自身の頭を挟み込むように持ちました。そのまま少し頭を捻ると、カチッという音が。日向隊員の首が胴体から離れました。日向隊員はニヤッと笑いました。
片岡愛美は道の暗い部分にさしかかりました。片側は公園。反対側は大きな建物。この建物、倉庫のようです。出入り口は反対側の道路なのか、片岡愛美がいる側は一面の壁。窓やドアはいっさいありません。
これを上空から見てる何かがあります。その何かからの視点。片岡愛美の周りには人はいません。彼女1人です。視点が片岡愛美めがけ、すーっと下がってきました。
ふと片岡愛美の眼の前に何かが通り過ぎました。はっとする片岡愛美。
「え?」
片岡愛美は両手でそれぞれの耳のイヤホンを取り、
「何、今の?」
「まなちゃん」
その突然の声に、片岡愛美ははっとしました。
「こ、この声は金目ひなた? ええ、そんなあ!? あいつ、飛行機事故で死んだはず?・・・ だ、誰なのよ、いったい?」
「ここよ」
片岡愛美はキョロキョロします。
「どこ? どこにいるの?」
「ここだって~!」
片岡愛美は視線をあげました。そこには長髪の生首が。金目ひなたの生首が空中に浮いてるのです。
「あなた、よくも私を売ったわね!」
「うぎゃーっ!」
片岡愛美はあらん限りの大声をあげ、振り返りました。が、その眼の前にひなたの生首がすーっと移動して来ました。




