侵略者を討つな! 128
コンサート会場の外観。すでに夕刻になってます。寒川隊員のコンサート開演の時間が近づいてきましたが、あたりは閑散としてます。
その館内、小コンサートホール。元々狭いコンサートホールですが、人はほとんど入ってません。2割くらいか?
閑散としてる席の中に日向隊員と女神隊員の姿もあります。2人は引き続き私服。座ってる位置も昼間と同じ。
向隊員がふとつぶやきました。
「人がほとんど入ってないや。やっぱこんなもんか・・・」
ここは楽屋。寒川隊員がパイプイスに座ってます。背中を丸め、何かを祈ってるようです。いや、心の中で歌ってるのかも。ほかに人影はありません。
ふと寒川隊員は顔を上げ、壁にかかった時計を見て、つぶやきました。
「時間だ」
寒川隊員の眼は一瞬できつくなりました。
寒川隊員は立ち上がり、ギターを手にしました。本当ならスタッフが「時間です」と呼びに来るのですが、寒川隊員にそんなスタッフを雇う金はありませんでした。
寒川隊員はドアを開けました。と、次の瞬間そこにあったものを見てはっとしました。
「え?・・・」
小ホール。舞台上手から人影が現れました。ギターを抱えた寒川隊員です。客席の女神隊員はそれに気づき、
「来た!」
と、日向隊員は何かに気づきました。
「あれ?」
先に入ってきた寒川隊員の後ろにもう1つ人影があります。それはすみれ隊員でした。日向隊員と女神隊員が騒めきます。
「ええ~!?」
日向隊員は女神隊員に振り向き、
「すみれさんだ。すみれさんが来てくれたんだ!」
女神隊員が応えます。
「うん、きっとあなたのテレパシーのおかげよ!」
私のテレパシーが届いたんだ! 日向隊員の喜びはひとしおです。
場内まばらな拍手。寒川隊員がマイクスタンドのマイクを握り、マイクの高さを調整し、発言。
「ああ、みんなありがと! 今日は思いっきり歌います!」
寒川隊員はジャーンとギターを鳴らしました。コンサート開始です。
それから寒川隊員は思いっきりギターをかき鳴らし、すみれ隊員は熱唱しました。すべて尾崎豊の曲です。
少人数のせいか最初は静かだった観客も、いつのまにやら大興奮。日向隊員はそれを見て、
「すみれさんの歌声ってこんなにも迫力があるんだ! すごいよ! ほんとうにすごいよ!」
熱狂の中時間は過ぎ、いよいよ最後の曲になりました。寒川隊員のMC。
「ああ、もう時間になりました。次の曲が最後になります!」
日向隊員はそれを聞いて、ちょっと残念そう。
「あ~ もうおしまいか・・・」
すみれ隊員。
「今から歌う歌は、私にとってとても大切な曲です。私はこの曲を聴くまでとても我がままな女でした。でも、仲間からこの曲を贈られ、私は心を入れ替えることができました。
その人のために歌います!」
日向隊員はあっと思いました。
「ええ、それって?・・・」
女神隊員は微笑み、
「きっとあなたのことよ!」
日向隊員は眼を輝かせます。
「うん!」
ジャーン! 寒川隊員の豪快なストローク。イントロが始まりました。すみれ隊員は熱唱します。僕が僕であるために 観客もみんなで大合唱。もちろん日向隊員も合唱します。日向隊員の両眼から涙があふれ出ます。けど、涙はぬぐいません。




