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勇者として異世界転移したけど裏切られたので錬金術師やってます!  作者: HKmE
『惑星』

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最後の戦いの前夜:REVERSE『F』

うおおおおおおお!!!!!連続投稿だ!!!!!!!!!

私が起きた時には、もう冷戦は始まっていた。


「────()()()()、そのように仰るのは少し残酷ではありませんこと?」


「何を言おうと撤回するつもりはありませんわ。」


天華様と、母上の争う声────両者共に落ち着いた声色をしていたけれども、『争っている』そう感じたのは、互いに意見を押し通したい圧があったからでした。


「……。」


私は黙りました。珍しく必死になってお母様に食い下がる天華様が珍しかったからでしょうか。


「そんな……こと……せめて貴女が。」


すぐに後悔しました。


()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。」


聞かなければよかった。


「……っ。」


……きっと、これはお母様なりの優しさなのでしょう。分かっています。意外と不器用な方ですから。


「私に、八百長をやれと……?」


「八百長が何かは存じていませんが、概ね貴女の想像通りの意味ですわ。」


お母様は必要なら進んで悪役を買って出る方。私が一番知っています。だって、私に『当主の何たるか』を教えてくれたのはお母様でしたから。


「これ以上の討論は無駄です。……あの二人には勝てませんから。どうせなら『惜しかった』くらいの思い出は与えてやってくださいまし。」


でも。


「お義母様!!…………。」


でも……。


「……アークレイ様。起きていらしたのね。」


心配そうな表情の天華様がこちらへ駆け寄って来るその姿、それがどんどんとボヤけていく。頬に熱い何かが伝い、喉から嗚咽が洩れる。


「……!!」


天華様は何も言いませんでした。何も言わないまま、ただ私を抱き締めました。背中に回された拳を握る感覚が、天華様の悔しさの証明でした。


しばらく声を押し殺して泣いた私は、ポロリと。

零れ落ちるように、泣き疲れ掠れた、か細い声で言いました。


「…………お母様くらい。私の事を応援してくれてもいいじゃないの。」


我ながら、なんて子供らしい願いでしょうか。

これでは、子供っぽいと思って嫌っていたウサ様を笑っていられませんね……。


「アークレイ様。」


瞬間、突然の破裂音と痛みに私の意識は一瞬途絶えた。私が天華様に平手打ちを受けたのだと、理解する前に、天華様はそう言ったのです。


「負けるな、ウォンジョ・アークレイ。」


「……天華様。」


天華様の眼は、潤んでいた。


「負けたくないのでしょう。」


「……負けたく、ありませんわ。」


「なら、頼りなさい。貴女の婿を!!この私を!!!」


あぁ、なんて心強い希望でしょうか。まるで、夜空に真っ先に輝く一等星の様な。


「……天華様。」


だから、こんなところで塞いで、泣いて、くすんだままではいられないと、そう思ったのです。


「私を、助けなさい。」


涙は止まっていた。心も驚く程澄んでいた。


「それでこそ、私好みですわ。」


天華様もいつも通りの……そう、肉食動物の様な恐ろしい笑みをしていた。

これでいつも通りです。私は高飛車で、天華様は肉食獣。1度挫けた心は、きっともう元には戻せない。でも、いつも通りの私達ならきっと、もっと強くなれる────そんな予感が、


()()()!!」


謎の呪文と、


「8日と16時間23分11秒265ぶりでございます。天華様。ご用命を。」


謎の執事服のおじさまが突如現れた扉から出てきた事でなんだか気のせいに思えて来たのです。


「……なんですの……?この方は……。」


「セバスですわ!!」


あぁ、この感覚。初めて逢った時の事を思い出します。突然街中で求婚されたかと思ったら、自身の名前を連呼するのみで話になりませんでした────そんな話はどうでもよくって。


「……何をされる方ですの?」


アバウトな質問ではなく、具体的な質問をすること。これが問いの正解ですわ。


「彼は私の使い魔にして執事ですわ。当然執事としての腕前も一級品ですが────私が重宝しているのは時空魔法の使い手であることですわ。」


「空間魔法の上位……時空魔法の使い手ですか。」


流石時空魔法の使い手、登場時のコンマ3桁秒の読み上げもパフォーマンスの1つなのでしょうか。

なんて考えていると、天華様が驚いたような表情を見せました。


「驚かないのですね。時空魔法はかなりレアだと記憶しているのですが。」


「貴女の方がよっぽどレアでしてよ。これくらいでは驚きませんわ。」


そう言うと「むぅっ」と頬を膨らせます。人を驚かせる事に命でも賭けているのでしょうか。


「まぁいいですわ。セバス、私の残り時間は?」


「9時間45分12秒020でございます。」


「ならゆっくりしている訳にはいきませんわね。」


そう言うと、なんの説明も無しに私の手を引き、そのままセバス様が開いた扉の中へと私を連れ込んだのです。


「なんですの……?このグレーの世界は……?」


私が困惑しているというのに、天華様は淡々とセバス様と話し始めました。


「セバス、私を14時間24分の1に。」


「御意。」


セバス様がそう言うや否や、天華様の動きが緩慢……なんて言葉では表せないほど遅くなりました。


「天華様!?スローモーションで遊んでいる場合ではございませんわ!!説明責任を果たしなさい!!」


すると、天華様は袖口から黄色のカードを取り出しました。


「……なんですのそのカード。」


「天華様が説明代行意思を示された為、ワタクシが説明を行います。」


カードを確認した瞬間、セバス様が話し始めました。

正直、セバス様関連ではこれが一番驚きましたわ。


「……セバス様って流暢に喋れるんですのね。」


「お褒めに預かり恐縮でございます。ワタクシの事は短くセバスとお呼び下さい。」


「では、セバス。天華様の目的を教えて頂けますか?」


すると、セバスが空間を引っ張るようなジェスチャーを行い、空間に白い板のようなものを生み出す。


「はい。先ずはこの空間の説明から致します。この空間はワタクシの固有空間、『亜空間ドア(インター・フェーズ)』。体感時間を24倍の範囲で任意設定できます。」


セバスは写実的な扉のイラストに、『24〜〜1/24』と書き記しました。

情報をそのまま受け取るなら、この空間の中では体感時間を最大24倍に伸ばすか、24分の1にするかを設定できる……といったところでしょうか。


「なるほど、分かりましたわ。私の訓練時間の確保の為、この空間に拉致した訳ですわね。」


「その通りでございます。アークレイ様はこれより、現実時間で23時間59分59秒000までこの空間で特訓を行って頂きます。」


やけに細かく設定された時間に、「キリよく24時間ではダメなのかしら。」なんて思ってしまいますが、これほどの能力。何らかの制限があるのでしょう。


「……24日ですか。それだけあれば充分ですわ。

確か最終試合は1日の休息を挟むハズですから、確実に試合に間に合いますわね。」


────アークレイのやる気は既に万全。天華が用意した環境も完璧以上。全ての準備は整っていた。


「では、改めて天華様の目的をお話し致します。」

いつも読んでくれてありがとうございます!!!

終わらせるぞ……終わらせるぞ……!!!!

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