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勇者として異世界転移したけど裏切られたので錬金術師やってます!  作者: HKmE
『惑星』

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448/453

異世界で気ままに余生を過ごせるのか?

翌日にでも続きは上がりますので少々お待ちください!!

拡声魔法特有のキィンとしたノイズが会場に鳴り響く。


『再び引き分けでございますわ────ッッッ!!!!!!!!!!』


それと同時に周囲から怒号が上がる。


「ざけんなー!!!」「気合い入れろや!!!」「金返せー!!!」……そんな怒号が鳴り響く中、ウサはよろよろと立ち上がった。


「引き分け……?」


()()()()()()!!よって引き分けですわ────ッッッッッ!!!!!!』


見れば、足元の闘技場(リング)はブラックホールによって粉々に砕かれており、両者共にそこで転がっていた。


「…………よかった。観客の皆様に怪我はないのね。」


そして、ウサは意識を失い仰向けになっているアークレイを抱き上げ、観客たちを一瞥した。

その堂々たる双眸の煌めきが、何も言わずとも罵声をピタリと止ませた。

────まさに、蛇に睨まれた蛙。愚かな観客は理解した。今立っている者は、試合を捨てて勝負に勝った真の勝者であると。

その姿に、スキスの頬に涙が伝う。


「お姉様……!」


しかし、流石は当主代理。その姿を誰に見せることなく、次の瞬間には平静を取り戻していた。


「……覚醒しましたわね。"第六筋"が。」


目を閉じ、穏やかな笑みを浮かべる。思い出すのは、敬愛する姉が理不尽を全て蹴散らして行くその様────


(────理屈や論理を破壊し、現実を歪める。四肢と胴に続いて"脳"で発達する筋肉。故に"第六筋"。)


(……私には、発現しなかった。)そう心の中で続け、


「……やっぱり、お姉様の娘ですね。ウサちゃん。」


そう呟く声は、群衆のどよめきに掻き消された。


「……一体どういうおつもりですか?」


天華がウサにそう問い掛ける。敵意を顕にし、今にも噛みつきそうな勢いでだ。


「彼女の健闘を称えたまでですわ。」


そう傷だらけながらも気高い立ち姿で、ウサはそれを受けて立つ。


「深い意味なんてありませんわ。ただ……そう。レン様なら……」


そう言いかけ、ウサは首を横に振る。


「いいえ、私がそうしたかったのです。」


「アークレイ様の努力は、想いは、あんな瓦礫の中に埋もれていていいものではない。そう思ったらいても立っても居られなくなったのです。」


真摯、真っ直ぐなその瞳を、天華はあまり直視できなかった。


「……そう。」


差し出されたアークレイの身体を受け取り、そう一言呟くのみ。

アークレイが無事受け止められて安心したのか、


「どうか、彼女を労ってください。それをできるのは貴女だけ……」


ウサはそうボヤくように口にし────ガクリと、さっきまでのこと全てが嘘であるかのように、まるで糸の切れた操り人形の如く倒れる。


「あまり虐めてくれるな。だいぶ頑張ってたんだ。」


そんな彼女を背後から抱き留めるのは、カネコレンだった。

天華が口を開くのはレンの前だからだろうか、それとも、ウサが意識を失っていたからだろうか。


「見れば分かりますわ。」


そう言いながら天華は踵を返し、立ち去って行く。

しかし、その途中で立ち止まり、


「その子が起きたら、感謝を伝えておいてください。私はアークレイ様の看護で忙しいでしょうから。」


「伝えておくさ。意外と可愛いところもあるとな。」


背中越しにも伝わる。苦虫を噛み潰したような顔だ。


「意地の悪いお方。」


「なら自分で伝えろ。」


そう軽口を叩きつつも、レンの額には冷や汗が浮かんでいた。

それは、彼女を受け止めた際の違和感によるものだ。


(……全身の筋肉が……いや、骨も砕けているのか……?)


まるで水袋。ぐてんと力なくもたれ掛かるその感触に、人間らしさは感じられない。


(治療はあまり得意ではないが。)


そう歯噛みしつつ、自身の上着を地面に敷き、その上にウサを丁寧に寝かせる。


「『高位治癒魔法(ハイリカバー)』。」


(────先ずは体力の確保。次に体内を傷付けないように中心部から順に回復魔法を…………)


そう思考を回転させていたレンに、声が掛けられる。


「……レン様……?」


(治癒魔法が気付けになったか。)


話す様子に苦しみは感じられない。取り敢えず肺や頭部周りに大きな問題はない。その仕草から容態を読み取り、レンはホッと息を吐く。

だが、安心はできない。


「動くなよ。ウサ、君の身体は今────」


そう前述の通り、ウサの肉体は運動ができる状態ではない。筋肉やらを無理に動かし、悪化や苦痛を抑えようと、レンは静止の言葉を優先したのだが。


「少し、寝ていたのですね。アークレイ様は無事だったのでしょうか。」


しかし、彼女は起き上がった。少し伸びをして、「ふあぁっ」と欠伸をして。まるでなんの怪我もないかのように。


「…………は……?」

いつも読んでくれてありがとうございます!!

暇が生まれたかと思えばスランプに……早く脱したいものですが。

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