竜族
「カタリナ、あんた精霊王の結界を見たの!?」
黒魔法士クラリッサが興奮して聞いた。
「見たわよ。今分析してる。術式が高度過ぎて手に負えないのよ。あんたでも何かの役に立つでしょ、手伝いなさい。」
カタリナが答えた。
「零、バンパイアの魔法残滓もあるんでしょ。あれも後で見せて。」
カタリナが言った。
「え?」
「当たり前でしょ!人がバンパイアに襲われた時の為に、今から分析しとくのよ。」
カタリナが言った。
「あ〜ははは。」
「零国王、エルフ国やバンパイアの所まで、人が行くとどの位かかるのですか?」
騎士ルティナが聞いた。
「エルフ国だと何もなければ5年くらいで着くかと。」
零が答えた。
「5年…そんなに遠いのか…」
騎士ルティナが呟いた。
「でもエルフ国に行くには森の深域を通るので、深域に近くなるほど魔物は強くなるので、何年かかっても人は深域までたどり着けないんじゃないかと。」
零が言った。
「零様、森の問題が解決したら是非とも零様の家に行ってみたいです。」
シルビア王女が言った。
「零様、私も連れて行きなさい。私も行きます。」
イザベラ王女も言った。
「あ…はい。わかりました。」
零が戸惑いながら答えた。
翌朝。
『まずい。また帝国の西とエルフの国にワイバーン部隊がくる。』
朝食を食べていた零がフェスとリラに念話した。
『懲りない奴らだ。』
フェスが念話で返して殺気立った。
フェスの殺気に女王達の騎士達が反応した。
「零国王、何かありましたか。」
セレスティアが零に聞いた。
「はい。帝国とエルフ国にまたワイバーン部隊が。しかも今回はちょっと厄介で。」
零が答えた。
「主、お願いがあります。」
フェスが言った。
帝国の西のマルドニア領。
ここは帝国第一王子アンドラスが対魔王軍の防衛にあたっている。
領地というよりも魔王軍に対する東の要で、要塞都市である。
魔王国とは森で隔たれてはいるが、小規模な戦闘が絶えなかった。
「ワイバーンが現れたぞー」
物見の帝国兵が叫んだ。
ワイバーンは上空からブレスを吐いた。
しかし城壁の上空で弾き返された。
イタリウス帝国とウライア王国の同盟締結の後、零が帝国の各領地に粒子で結界を張っている。
要塞都市の上空に入り込もうとしたワイバーンが弾かれて領地内に入れない。
「人如きが小賢しい真似を。」
ワイバーンの中にいる巨大な竜が言った。
巨大な竜は2000年生きている成竜である。
成竜は口から火の玉を吐いた。
火の玉はマルドニア城壁から要塞都市を全て包みこんだ。
要塞都市の空は炎に染まった。
マルドニア城の城壁。
「これが竜の炎ですか。凄まじい。」
黒騎士エムバロスが言った。
「零国王の結界…これほどとは。」
城壁の上で第一王子アンドラスが空を見上げて言った。
空は炎に染まっているが、粒子の結界がそれを防いでいる。
粒子の転移で零とセレスティアとカタリナが現れた。
「おお、零国王、来てくれたのか。それにグランバルト王国の騎士殿。」
第一王子アンドラスが歓喜した。
「はい。アンドラス王子。今回はちょっと厄介な相手なので。」
零が苦笑いで言った。
セレスティアとカタリナは第一王子アンドラスに一礼した。
「そのようだ。大きな竜を見た。空の炎はその竜のものだ。」
第一王子アンドラスが言った。
「何この炎、魔法術式が組み込まれていて消えない!」
カタリナが驚いて言った。
「カタリナさん、ここで僕との念話を繋いでください。」
零がカタリナに言った。
「任して。」
カタリナが言った。
「じゃ、セレスティアさん、行きましょう。」
零は粒子で上空に転移した。
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