バンパイア
「知らぬ事とは言え、精霊王様のご命令でエルフ国をお救いに来て頂いたとは、ご無礼をお許しください。」
女王ルナーベルが言った。
「あ、いえ、僕は妖精達とドライアドのフリナスさんに頼まれて来たので、精霊王に直接頼まれたわけではありません。」
零が言った。
「そうだとしても我がエルフ国と民をお救いくださった事には変わりありません。上空に止まっているワイバーン共も零国王のお力なのでしょう?」
女王ルナーベルが言った。
「あ〜、そうですね…ところで女王、精霊王の結界の事なのですが、不安定になっていますね。」
零が聞いた。
「…お分かりになりますか。」
女王ルナーベルが暗い顔になって言った。
「クラーシス王女の容態は良くないようですね。それが精霊王の結界の不安定な原因ですね。」
零が言った。
「なぜ、それを!?」
女王ルナーベルが驚いて言った。
将軍ベントラスやエルフ騎士達も動揺した。
「僕に出来る事があるかもしれません。クラーシス王女の所に行きましょう。」
零達と女王ルナーベルと将軍ベントラスとエルフ騎士2人と粒子で転移した。
王女クラーシスの寝所。
零達は粒子で王女クラーシスの寝所の前に転移して来た。
「ルナーベル女王!?ベントラス将軍!」
寝所を守るエルフ女騎士サラリスが叫んだ。
「サラリス、入りますよ。」
女王ルナーベルが言った。
零達は王女クラーシスの寝所に入った。
寝所にはエルフ女騎士3人、その中の光属性の上位精霊魔法士がクラーシス王女を治癒している。
「1ヶ月前に倒れてからこの状態です。」
女王ルナーベルが悲しそうに言った。
「王女にはバンパイアの血が入り込んでいます。」
零が言った。
「バンパイア!?バンパイアがいるの?」
カタリナは驚いて聞いた。
セレスティアは驚きで言葉を失っている。
バンパイアの血が入り込むと自身もバンパイアになる。
今王女クラーシスがエルフを保っているのは、精霊王との契約による力と、治療している光属性の上位精霊魔法があるからだ。
「なぜ、それを!?」
女王ルナーベルが驚いて言った。
「僕の出来る事をやってみます。」
『粒子、バンパイアの血を排除して、治癒。』
王女クラーシスの顔色が良くなり、意識を取り戻した。
「お母様…」
王女クラーシスが笑顔で女王ルナーベルを呼んだ。
「あぁ、クラーシス。」
女王ルナーベルは涙を流し王女クラーシスを抱きしめた。
「治って良かった。じゃ、僕達はこれで帰ります。」
零が笑顔で言った。
「え?」
女王ルナーベルは呆気に取られた。
「零国王、それはあまりにも…」
セレスティアが困った顔で言った。
「そうです。エルフ国を救ってくれて、王女様まで救ってくれた零国王をこのまま帰すなど…」
将軍ベントラスが言った。
「はぁ、でも長居すると色々と問題が起こるので。」
零が言った。
「問題?」
女王ルナーベルが不思議そうに聞いた。
「実はこの後、食事会の予定があるんです。僕達突然来たもので、すみません。」
零が白々しく言った。
「食事会?」
女王ルナーベルはまた不思議そうに呟いた。
「帰るお詫びに王宮の修繕の手伝いをしていきます。それでは。」
零達は粒子の転移で王女クラーシスの寝所から消えた。
「あ、零国王!」
女王ルナーベルは呼び止めたが遅かった。
「何という事だ、精霊王の要請で来られた方を、何のお礼もせず帰してしまった。」
女王ルナーベルが言った。
零達は粒子の転移でエルフ王宮の上空に現れ、粒子でエルフ王宮を修復した。
「これで良し。面倒になる前に行きましょう。」
そう言って上空のワイバーン30体も零達と一緒に消えた。
女王ルナーベル達は王宮謁見の間に戻った。
「これは…」
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