バンパイア将軍
「ルナーベル女王、この地に人族の国があったとは、…今はどうしているのですか。」
枢機卿ジートスが聞いた。
女王ルナーベルは辛い顔で首を振った。
零も暗い顔になった。
「滅んだのか…」
ゼノフィス皇帝が呟いた。
「我らエルフのシーエルフと呼ばれる者達が主になって、人族と海を通してドワーフ族と三者で交易を盛んにしていました。」
女王ルナーベルは続けた。
「ドアーフ族…」
枢機卿ジートスが呟いた。
「なぜ、人族の国は滅んだのですか?」
アルベール国王が聞いた。
「…バンパイアです。」
女王ルナーベルが苦悶の表情で言った。
「バンパイア!」
人族の王達は零を見た。
皆は零から事前に、少しだがバンパイアの事を聞いていた。
「零国王は人族の国がバンパイアに滅ぼされた事を知っておられたのですか?」
枢機卿ジートスが聞いた。
「バンパイアの事を調べていたら、元人族のバンパイアがたくさんいて、ここに人族のシーランザ王国があった事を知りました。」
零が答えた。
「この地に人族の国があったか…今シーランザ王国はどうなったのだ?」
ゼノフィス皇帝が聞いた。
「シーランザ王国の人族は全てバンパイアに変えられました。そしてその地は今は300万を超える吸血魔物の巣窟になっています。」
女王ルナーベルが言った。
人族の王達は顔を曇らせて沈黙した。
「我らエルフは精霊王様の結界のおかげでなんとか持ちこたえていますが、少しずつバンパイアに変えられています。」
女王ルナーベルが暗く言った。
「なんと言う事だ。バンパイアの力はそんなに強大なのか…」
枢機卿ジートスが言った。
「はやり病のように、バンパイアになってしまう人が増えています。しかもバンパイアになると身体能力が上がります。」
零が言った。
「倒すのか難しくなるのか…零国王、バンパイアの戦力はどのくらいなのだ?」
アルベール国王が呟いた。
「はい。100万体以上の兵力です。子供も年寄も全ての身体能力が上がっていて、全てのバンパイアが戦力です。」
零が言った。
「100万体の兵力とは強大だな。しかも戦って噛まれればこちらの兵力が敵の兵力になる。難しい戦いだな。」
ゼノフィス皇帝が言った。
「はい。でもほとんどのバンパイアは知性を失っていて、統率が取れていません。」
零が言った。
「バンパイアに王のような者はいるのですか?」
枢機卿ジートスが聞いた。
「はい。バンパイアの王はウドラ伯爵です。闇の神様が造られた原初のバンパイアです。」
零が答えた。
一同は唖然とした。
その後、女王ルナーベルは暗い顔になった。
「零国王は、バンパイアの事も詳しく知っておられるのですか。」
女王ルナーベルが苦悶の表情で聞いた。
「…はい。ある程度は…色々調べてしまったので…」
零は暗い顔で答えた。
「一旦休息を挟みたいのですが、皆様ご賛同いただけますか。」
女王ルナーベルが言った。
ただならぬ雰囲気を察して人族の王達は賛同した。
王女達と共の者達は別室に移動した。
人族の王達とその護衛騎士が残った。
「人族の王の皆様、察して頂きありがとうございます。零国王、バンパイアの事を教えていただけますか。」
女王ルナーベルが言った。
「はい。バンパイアの王のウドラ伯爵に直接血を吸われた者たちを第一世代と言って最強のバンパイアです。」
零が言った。
「そんなに強いのか?」
ゼノフィス皇帝が聞いた。
「はい。その第一世代の中でも最強の2人がいます。1人は元人族のシーランザ王国の将軍スランドスです。」
零が言った。
「人族の将軍がバンパイアになっているのですか!?」
枢機卿ジートスが聞いた。
「はい。もう1人が…元エルフ国王ラーベラルさんです。」
零が沈痛な顔で言った。
一同絶句した。
そして女王ルナーベルを見た。
「…ラーベラルは私の元夫です。」
女王ルナーベルが苦しそうに言った。
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