敵の正体
ウライア王宮国王執務室。
「まずい。また魔王軍が動き出した。」
零が頭を抱えて言った。
「懲りん奴らだ。」
フェスが殺気立った。
「すぐアルベール国王にお会いしましょう。」
零が立ち上がってセレスティアに言った。
「魔王軍はグランバルト王国に来るのですか?」
セレスティアが聞いた。
「はい。しかもエレオノーラさんが作った物と同じ転移の魔導具があります。」
零が言った。
「え、あれはもうないんじゃなかったの!?」
カタリナが聞いた。
「はぁ、エレオノーラさんが作った物はない様なのですが…とにかく行きましょう。」
零があやふやに答えた。
グランバルト王国アルベール国王執務室。
零達はアルベール国王執務室の前に粒子の転移で現れた。
「零国王!?突然来られるのは。もう国王というお立場なのですから。セレスティア、カタリナ、お止めしないか。」
扉の前の近衛騎士の1人が慌てた様に言った。
「あ、すみません。ははは…ちょっと急いでまして。」
零が苦笑いで言った。
「わかってるわよ!緊急なのよ。」
カタリナが言った。
零達は執務室に通された。
「よく来てくれた婿殿。」
アルベール国王が笑顔で言った。
執務室には宰相フランツと騎士長レグルスもいた。
「国王、魔王軍が来ます。」
零が挨拶もそこそこに言った。
「ワイバーンですか?」
宰相フランツが聞いた。
「ワイバーンも来ると思いますが、副将軍ブラスト自らが軍を率いて来ます。」
零が言った。
「副将軍!?」
騎士長レグルスが聞いた。
「はい。グランバルト王国侵攻の司令官のようです。」
零が答えた。
「…総力戦ですか。」
宰相フランツが呟いた。
「問題があります。魔王軍は転移魔導具を持っています。」
零が言った。
「何ですって!あれは悪魔エレオノーラにしか作れないのでは!?」
宰相フランツが言った。
「はい。エレオノーラさんはそう思っていたようですが。魔王軍のフィストス将軍が持っていたようです。」
零が答えた。
「フィストス将軍?…零国王、いつかは聞かねばならぬと思っておったが、なぜそこまで詳細な情報を持っておられる?」
アルベール国王が改まって聞いた。
「はぁ。なんというか、僕は魔王軍の情報を知る能力を持っているからとしか…」
零があやふやに答えた。
「魔王軍の事だけではないのであろう。遥か遠方のエルフ国やバンパイアの事も知っておられた。」
アルベール国王が真剣な顔で聞いた。
「はぁ、まあ…」
零が苦笑いで答えた。
アルベール国王は暫く零を見つめた。
「零国王はもしやすると、魔王軍が侵攻する本当の理由を知っておられるのか?」
アルベール国王が言った。
「本当の理由?」
騎士長レグルスがアルベール国王を振り返った。
「我々人族は、魔族は人を喰らう為に人族の国を侵攻するのだと思っておった。しかし帝国に竜族が来たと聞いた。竜族を差し向ければ、喰らうはずの人族は焼け消えてしまう。」
アルベール国王が言って零を見た。
宰相フランツも零を見た。
「はぁ。僕もそう思います。実は今魔王軍には5体の将軍がいます。その内の3体の将軍は悪魔なんです。」
零が言った。
「悪魔…」
宰相フランツが呟いた。
「はい。エレオノーラさんやグローリは元は中位の天使で、クライシスさんは下位でした。でも3体の悪魔将軍は上位の天使だった悪魔です。」
零が言った。
「上位の天使…」
アルベール国王が言った。
「はい。神様のすぐ側に、創世から仕えていた天使です。」
零が言った。
皆は息をのんだ。
「恐らく僕達には想像もできない絶大な力を持っていると思います。」
零が言った。
「女神様のお側にいた天使と戦うのですか…」
宰相フランツが絶望的に言った。
「あ〜それはちょっと違うような…」
零が言った。
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