雨降って地固まる…鉄コン筋クリートで
【前回のあらすじ】
普段は近隣宙域で駐留している、保護管理官の『戦闘支援要員』フレイアさんがはるばる地球へやって来た理由…
それは、最近の月面に著しい地殻変動が見受けられることを危惧した、保護管理局本部からの支援要請によるものでした。
間違っても、ラリスくんに会いたい一心で職場放棄したわけではない…と思いたいところです。
時を同じくして、シャムス皇帝陛下が我が家を突然来訪。
現在はモーント星系にて保護しているマコさんのご両親が、ついに真相を語ったことを、彼女に直に伝えるために…。
結論から言えば…マコさんは、二人の実の子供ではありませんでした。
次期教祖候補を代理出産してほしいとの教団からの要請で、半強制的に産まされた…私と同じ『ルナリアン』だったのです!
それ故に、彼らは最後まで彼女に、自分達の子としての愛情を注げなかったのでした…。
そんな独白を聞かされて、悲嘆に暮れるマコさんを、"我が身をもって"元気づけたのは…勢い余って"婚前交渉"までやらかしてしまった皇帝サマでした。
まぁね、マコさんが宇宙人だと判った時点で、地球の法の適用外となりましたから、別にいいんですけどね…ロリコン陛下♩
それよりも、彼女がそうして人工的に産み出された存在だということは…
同じく『ルナリアン』であるこの私も、何者かによって、同様な手法で創られた可能性が高い…ということ。
つまり、私達は事実上の姉妹だったのです…!
それを確認するためには…全ての黒幕の居城と化した、月面に乗り込むしかありません。
そんなシドさんからの報告を受けた皇帝サマは、さっそく旗艦『ソル・ラディアンテ』を駆って、月への殴り込みを敢行!
そして実際、月はいまだ稼働中で、地殻変動により崩落した地表の下から、かつての巨大移民船が顔を覗かせているのを目撃しました。
ところがその直後、相手側から放たれた謎のエネルギー兵器により、旗艦は大破し…
一時は消息が危ぶまれた皇帝サマ達でしたが、旗艦の優れた防御機構により一命を取り留めました。
しかし、このままでは反撃もままならず、闇雲に攻め込んでも再び同じ目に遭わされるだけ…。
モーント技術の粋を集めたリフレクトシールドをもたやすく蹴破る、敵のエネルギー兵器に対抗し得る方法を見つけない限り、こちらに勝ち目はありません。
そこで、旗艦の全面改修が済むまでの間…皇帝陛下御一行様は、なんと、我が家にご滞在と相成ったのでした…!
◇
翌朝。
ラリスくんとミユちゃんの交際が発覚して以来、意気消沈気味だったしていた中学校界隈も、なんとか平穏を取り戻しつつあります。
『キャア〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!』
そこへ久々に響き渡る、黄色い歓声!
「ねぇ、誰ダレ? あのカッコイイ人!?」
「背ぇ高ーい、モデルさんみたい!」
「ラリスくんに負けず劣らずの超ハンサムだし♩」
「でも、女子制服着てるよ?」
「ってことは…えっ、女性!?」
「お姉さま〜☆」
ウンウン、予想通り、中性的な魅力のフレイアさんは、特に女子人気が高いみたいですね♩
「え、何なんだココ? 同じ服着たちっこいのがウジャウジャと…?」
宇宙では子供だけで寄せ集まった施設は珍しいのか、さすがのフレイアさんも面食らったみたいですね。
で、なんで彼女がココにいるのかとゆーと…
「うむっ、なかなかに頼もしい感じではないか。フレイアとやら、麻胡をよろしく頼んだぞ?」
シドさんが運転する愛車の後部座席にふんぞり返った皇帝サマが、尊大な態度で命じます。
「ぎょ、御意っ!」
ツッパった態度ながらも、権力には激弱なフレイアさんは、脊髄反射で頷くしかありません。
マコさんも結局ルナリアンだったということで、希少価値の急上昇を危ぶんだ陛下直々に、彼女のボディーガードを仰せつかってしまったのでした。
本音では常に婚約者のそばに付き添いたい陛下ですけど…これだけ大勢の子供の群れにまみれるのは、いかに権力者とて色んな意味で危険だと、さすがに思いとどまったみたいですね〜♩
「彼女の見た目だと、本来ならJKが妥当なんだけど…まぁ仕方ないよね」
運転席のシドさんも、予想以上に大評判なフレイアさんの艶姿に苦笑い。
ただでさえ灼熱の髪色と瞳で人目を惹くうえに、女性にしておくのがもったいないほどのイケメンぶりですからね♩
「それでは陛下。また、後ほど…」
「さ、行こ? マコちゃん、フレイアさん♩」
「諦めなフレイア。今日一日、お前は揉みくちゃだぜ♩」
「そ、そんなぁ…助けてセンパーイ!」
名残り惜しそうに立ち去るマコさんと、取り巻きのミユちゃんやラリスくんに引きずられて、涙目で校舎へと消えていくフレイアさん…。
まぁこれだけの面子が揃ってれば、滅多なことにはならないでしょ。
「集団学習とは、また非効率なことを…。
これでは一人一人の学習の度合いにムラがあっても対応しきれまい?」
ようやく学校なるものの概要を理解した皇帝サマが、それでも納得いかない様子で首を捻ります。一目で日本式教育の問題点に鋭く切り込んでるのはさすがですね。
モーント人はクローン生育中に、個々に必要な学習内容をすべてインプリンティングされてから生誕しますから。
誕生後数年を経て、すっかり凝り固まってしまった脳みそに、あとから情報を詰め込むだなんて、ムダ以外の何物でもないんでしょうね。
でも…
「学校で学ぶのは、お勉強だけじゃないんですよ?」
「ほぉ? というと?」
「えーっと、お友達作ったりとか、世の中の仕組みを肌で学んだりとか、将来の夢を育んだりとか…ぅぅっ」
皇帝サマに説明するうちに、それらが何一つできてなかった私自身に盛大なブーメランが返ってきて、激烈虚しくなってしまった私がいます…。
「…あっ、恋人ができたりとかもありますね♩」
もっとも私の場合は結婚後でしたけど。
「ムゥッ!? イカンッ、今すぐ連れ戻せっ!」
あっヤバっ、ついつい口が滑ってしまった私の弁を真に受けた皇帝サマが、にわかに暴れ出しましたよ!?
「いやいや兄上、落ち着いて! マコさんとはもう婚約済みってことは、みんな知ってますから!」
シドさんが慌ててフォローします…けど、ついついイタズラ心が疼いてしまった私は、
「でもマコさんて、婚約後にますますモテモテになっちゃったみたいですヨ♩」
それまでは眼鏡姿と控えめすぎな性格が災いして、あまり目立たない存在だったようですけど…。
それでも、眼鏡の下の素顔の愛らしさや、物腰の良さに目ざとく気づいたミユちゃん達は、早くから注目していたみたいですね。
「ミーサーさーんっ!!」
なんてコトを!?と非難するシドさんが、慌てて全ドアロックボタンを押下します。
「ええいっ降ろせっ、降さぬかァーッ!?」
開かないドアノブをガチャガチャ鳴らして、必死な形相の皇帝サマがいとおかし♩
愛されてますねぇ〜マコさん?
あと、素顔のシャムス陛下も案外、愛されキャラの素養がてんこ盛りで、微笑ましい限りです♩
◇
話は前後しますけど…
いきなり我が家に押しかけてきた皇帝サマ達との同居には、やっぱり、すったもんだがありまして。
まずはお部屋。いくらウチが広いからって、こうも短期間で同居人が爆増すると、そろそろ限界ってものがあります。
とはいえ、我が家に居候するのは皇帝サマと師団長の二人だけ。
旗艦『ソル・ラディアンテ』の数千名はいるという他の乗組員は、大半が船内に駐留。
自室が破壊されて、改修工事中に下船を余儀なくされた他の人達は、近隣のホテルや賃貸マンション、またはちゃっかりホームステイなど、思い思いにつかの間の休日を楽しんでいるようです。
「ほぉ、これはこれは…未開人の住居もなかなか捨てたものではないな!」
「いやまったく、これほどまでとは…実に素晴らしい!」
結局、皇帝サマには、普段まったく使っていない応接間を。
師団長には、同じく持て余し気味のお座敷を使っていただくことに。
それぞれお庭に面してますし、我が家でいちばん贅沢な造りのお部屋だから、これで文句は出ないでしょう♩
…かと思いきや、
「それで、余はどこで寝ればよいのだ?」
クッ、居間と寝室を分けて考えるブルジョワジーな王侯貴族めが…っ!
「あの…私のお部屋でよろしければ…私は構いませんけど…?」
おずおずと挙手した割にはトンデモナイ提案をするマコさん。
アータは構わなくても私達が構うんですよっ、ただでさえ夜な夜なアンアンアヘアヘ漏れ聞こえてきて気になるのに!
「フム、ではそれで…」
などと鼻の下を伸ばして承諾しかけた皇帝サマを遮って、
「で、では、最奥の寝室を…」
以前はお爺さんお婆さんのお部屋だったから、なるべく他人を通したくはなかったんですけど…背に腹はかえられません。
あと、やんごとなきお方を、日常的に犯罪行為に加担させるわけにもいきませんし。せめて中学卒業まで待てんのかいな?
それからフレイアさんにもお部屋をご用意したら、我が家はもう満杯に。
頼みますから、これ以上増えないでくださいよ?
万一そうなったら、あとはお隣のミユちゃん家を頼るしかなくなっちゃいますから。
これだけ家族が増えたら、人数分のお食事を毎度毎度用意するのも大変ですけど…
幸い、私をはじめとする女性陣に加え、シドさんも充分すぎるほどの調理技術を持っていたので、以後は当番制で対処することに。
お料理上手なミユちゃんも応援してくれるって言ってるから、頼もしい限りですね♩
意外…といったら失礼ですけど、フレイアさんもそれなりにお料理できたのには驚きました。
ただし、味付けがかな〜り個性的というか…地球基準だとスパイシーすぎて、毎食コレだと胃に穴が開きそうなので、各当番の補助に回るとゆー形で。
そのフレイアさんですけど、これまた意外と生真面目な人で。
シリウス師団長が常日頃の鍛錬を怠らないという話を聞きつけたら、その鍛錬に参加させてもらえるよう、すかさず話をつけていました。
火炎攻撃を主軸とした中〜遠距離支援が彼女の真骨頂ですけど、できることなら近距離戦も想定して、オールマイティーに闘えるようになりたいと、常々考えていたようです。
その師匠が、おそらく銀河最強の猛者であるシリウスさんなら、まさに天下無敵ですね♩
「とはいえ、若い娘っ子に教えるのは初めてだから、こちらこそお手柔らかにな」
「ハイッ、遠慮なくビシバシ鍛えてください、師匠ッ!」
そんな二人に触発されて、ラリスくんやシドさん、皇帝サマまでもが自発的に鍛錬を開始したみたいです。
のみならず、皆の練習の様子はご近所でも評判になって、自分も習えるか?という問い合わせを結構いただいておりまして…
コレ、道場とか開いたら儲かるんじゃないですかね?
…そして鍛錬後は、まだご一緒したことのないフレイアさんを誘って、一緒にお風呂へ♩
あ、お風呂については、メインの浴室ほど広くはないですけど、お客さん用に小浴場やシャワーブースもありますんで、順番が長引いて困るってことはないかと。
さっそく、マコさんと皇帝サマが連れ立って入室しかけているのを見つけたので、脅して思いとどまらせましたけど。
このバカップルはちょっと目を離すと、すかさずどこでもおっ始めになるので、油断も隙もありませんよ全く…。
そんなこんなでカッポンポン♩
いつものごとく謎の水音がする先には、初めて目にするフレイアさんの一糸纏わぬ肢体が…。
「す、すんっごい引き締まってますねぇ…!」
正直、これほどまでとは思いもしませんでした。
何がって…ハッキリクッキリ割れた腹筋が。
まさにシックスパック、大盛りに盛り上がって、完全無欠なアスリート体型ですよ!
しかも、そのぶんお乳の盛り加減がかな〜りお寂しいこともあって、股間にさえ目が行かなければカンペキに男の子です!
…って、ここまで来たら、どーしても目が行っちゃいますけどね…。
こ、これはこれで…いわゆるフツーの女子体型とは、また一味違ったエロースが…ぐびびっ♩
…あ、いけないイケナイ、よだれヨダレ。
「そ、そーゆーミサ姉こそ…物凄くエッチなカラダっすね…♩」
フレイアさんも、私の裸にまさに目が釘付けなご様子。
ちなみに、私の呼び方はシドさんを参考に、年上っぽいから『姉』って付けたものになったみたいですね。
またまた妹分が増えちゃいましたよ。
でも、見た目だとほとんど年の差を感じないし、実年齢では私のほうが圧倒的に年下だと思うんですけど…。
「なんてゆーか…あたい、年下の女の子に誘われて風呂に入ることならよくあるんスけど…」
よくあるんだ…。
「年上の、しかもこんな美人とご一緒したことは、生まれて初めてだから…なんだかムラムラするっス♩」
それもう完璧に男子の反応だから。
って、そういえば…
「ラリスくんと一緒に入ったことは?」
「んがっ!? ないっスないっスあるワケないっス!!」
あらら、真っ赤になっちゃって…カワイイ反応♩
「…保護管理官になったばかりの頃なら、二人ともまだまだガキだった(※)から、水浴びくらいなら一緒にしたコトあるっスけど…」
をほっ、ちゃーんとヤルことヤッてるじゃない?
(※すでに何度か説明したが、擬態時の姿はその惑星の環境や対象者の精神年齢に大きく左右され、他の惑星での姿とは大きく食い違うことがある)
「あれっ、でも…それならラリスくんは、どうしてアナタが女の子だって気づかなかったの?
さすがに一目瞭然でしょ、付いてるか付いてないかくらい…?」
「いやガキの頃ったって、パンツくらい穿いてるっスよ!?」
そりゃそーか。フレイアさんもこれでなかなか奥手みたいですしね。
「でも今なら、いくら彼でもアナタの魅力にイチコロなんじゃない? だって、こんなにカワイイんだし…えいっ♩」
「ひゃふんっ☆」
胸が真っ平なだけに、ソコだけ自己主張しまくりなてっぺんのぽっちを指で弾くと、予想外にカワイイ嬌声が…。
小さい人が敏感って、本当なんですね♩
「や、やりやがったっスねぇ?…お返しっス!」
あはぁそっ!? だ、だからソコ弱いからダメなのぉ〜っ!
…ってな塩梅に、お返しお返し言いながらお互いお触りしまくって…
お風呂に入ってるのに、なぜだか全身トロトロになって…ハァハァ妖しい吐息も混ざって…♩
「ううっ…なんであたいにチ◯◯ン付いてないんだろ…?」
付いてたらどーするつもりだったの!?
ンもぉ、えっちなんだから…♩
でも、付いてるって言ったら…
「ラリスくんのは…すんっっっごい!ですよぉ〜?」
「え゛…センパイ、そんなに…?」
そろそろのぼせてきたのか、揃って真っ赤な顔でニンマリ笑う私とフレイアさん。
「…ってちょい待ち。なんでミサ姉がそんなコト知ってんスか?」
「そりゃ、親子ですから♩」
「フツーの親子はンなコトまで知らないっスよ!?」
ヌハッ、バレたか!?
意外といつでも冷静ですね、この子。
さすがは後方支援枠…と感心してばかりもいられません。
「そ、そろそろ上がったほうがいいみたいですね?」
「ちょ待っ…!」
逃げるようにそそくさとお風呂場を後にする私を追いかけて、フレイアさんも浴室の外へと…
「…を? なんだお前ら、まだ入ってたのか」
そして脱衣場で、ペロリンちょとパンツを脱いだばかりのラリスくんとバッタリ鉢合わせ。
うーん、お約束ですねぇ♩
「ぅぁ…ホ、ホントにスゴかった…!?」
初めて目撃した彼のセクシーダイナマイツなダイナマイト(?)に、ピシリと硬直するフレイアさんを見つめて…
「お前もしばらく見ねぇうちに…すっかり女らしくなっちまったな♩」
「え……!? ぅ、ぅあぁあ〜〜っ!!」
今さらのように身体を抱えてうずくまるフレイアさんが、いとかわゆし♩
かくいう私は…もぉお互い何度見られたか判らないほどなので、さほど気にせず…にいられるワケなんてありませんよっ!
「い、今さらですけど、お風呂に入るときはちゃんと確認してからにしてください…!」
「お、おぅ…」
それとなく両手で身体を覆い隠す私を、ラリスくんは遠慮がちに…それでもくまなく見つめ倒して…パオ〜〜ンッ☆
「ちょっ…何おっきくしてるんですかっ!?」
「しし仕方ねーだろ、んなエロいモン見せつけやがって…!」
ほんの数日前までとは見違えるほど男の子らしくなった彼の反応に、私もどうしようもなく恥ずかしくなって…!
「ゔあぁあ…あ゛。」
けれども、それよりも先に臨界点を迎えたフレイアさんが、盛大にメルトダウンを引き起こしてその場に崩れ落ちました。
彼女には悪いけど…おかげで変な気持ちにならずに助かりました。
仕方なく、ラリスくんと二人がかりで彼女に衣類を着せ付けてから、私達も手早く寝巻きに着替えます。
「…残念でしたね?」
「うっせ。…ま、焦らねーけどよ。
お前は逃げねーからな」
「ウフフ…また、チャンスがありますよ」
などと会話しつつ、フレイアさんのお部屋まで患者さんを搬送。
「…ちょい待ち。今の言い方だと…
次にチャンスがあったら…襲ってもいいのか?」
「…襲われるのはイヤですけど…私をその気にさせてくれたなら、考えなくもないですよ♩」
「…よし。今の言葉、忘れんなよ?」
どうやら私も、すっかりのぼせ上がってしまったみたいですね。
余計なことまでベラベラ喋って、ラリスくんをイタズラに期待させて…その様子を見て、また悦に浸ってしまって…。
この間から、彼を相手にすると、どうにも調子が狂ってしまって困ります。
我ながら、言ってることにまるで嘘偽りがないのも考えものですけど…彼が相手だと、どんなコトでも素直に言えちゃうのが悪いんですよ!
でも、何度も言っている通り、考えなしに抱かれるつもりはありませんから。
何故なら、私は…
◇
「フゥ…ミサさん、今夜はやけに積極的すぎないかい?」
私の中で果てたシドさんが、満足げな溜息とともに私をからかいます。
「今夜はなんだか…ムラムラしちゃって…」
当たり障りなく言い訳する私ですけど…
お風呂場で見てしまったラリスくんの、そのぉ…"男らしさ"が、どーしても脳裏から離れなくて…。
こんなに大勢泊まってるんだから、止めといたほうがよくない?と尻込みするシドさんを強引にその気にさせて、一回戦目を終了したところですけど…
正直、まだまだ治まりそうにありません。
「ま、キミの気まぐれは今に始まったことじゃないけど…ネ♩」
え?…う、嘘…もうおっきくなってる…!?
いつもの彼なら、一旦果てたら試合続行はほぼ不可能なのに…
「ムフフ…キミのギャル服姿を思い出したら、僕もムラムラが止まらなくてね。良いネタを提供してくれてありがとう♩」
そんなに琴線にジャストミートだったんですか、アレ? それなら今度はコスプレえっちで…
「んで…キミのほうは、何を考えてたのかな?」
ぎくっ!?…ど、どぼぢでそれを…っ?
しかもシドさん…もしかして、怒ってる?
言い淀む私を逃すものかと、私を組み敷いた彼は、その両手両足を拘束して…
「…ラリスくん…のことかな?」
!?…バレてる…っ?
清廉潔白を体現する彼の蒼い眼が、私の顔を真正面から見据えて…心の奥底まで見透かしてきます。
心臓をギュッと鷲津噛まれたかのような私の入り口からこぼれ落ちる、彼の子種を拭い取ることさえ許さずに…。
それでもシラを切り通せばよかったのに…思わず腰に力が入って…シドさんのを、キュンって絞めつけちゃって…!
すると彼はすかさず、もうこれ以上ないほど勃起した私の胸の先端と、股関の合わせ目の突起に指を伸ばして…
「…当たりみたいだね。ホラ、もうこんなに…」
「ひゃふっ!? ラ、ラメぇ…二箇所同時に…転がさない…でぇ…っ!」
すると彼はニヤリと笑うなり、私に覆い被さって…全体重をかけて、身動きすらとれなくして…!
「いーやダメだね。もう、許してあげない…よっと!」
「ひぎいーっ!?」
イキナリ奥まで刺し貫かれて…内蔵全部が抉られたような感覚に、私はたまらず絶叫しました。
な、なんで? いつもはもっと優しいのに…
今夜の彼は、とってもイジワルで…
それなのに、私のほうは…自分でも判るくらい濡れそぼっちゃって…
「おかげでスムーズに動ける…ねっ!」
「あっ…あんっ…あはあっ…!」
私の中に分け入った彼の分身が、内壁をゴリゴリ、リズミカルにこすって…なんなのコレ、すっごく気持ちイイ…ッ!?
彼のがズンッズンッて入り口から迫り上がってくるたびに、物凄い快感が身体の芯から襲いかかってきて…
一突きごとに身体中が押し上げられて、引き裂かれる感じで…
全身の骨がギシギシ軋んで、バラバラにちぎれ飛びそうで…
ぶつかり合う肉体同士が、パァンッパァーンッ!て、破裂するように鳴り響いて…
絶え間なく喘ぎ声が洩れて…息苦しくなってきて…
こ、こんなの、もぉ…我慢できない…っ!
「あ…ああっ…もぉやめて許しもごごっ!?」
「おっと!…声が大きいとみんなを起こしちゃうだろ?」
未曾有の快感に恐怖すら覚えて、泣き叫ぶ私の口を、シドさんは無情にも片手でピシャリと塞いでしまいました。
や、やだ、こんなの…シドさんじゃないっ!
なおさら激しい恐怖におののいた私は、たまらず彼の手をガブリッと…!
「ゔあっ!?…フ、フフ。その程度で許してもらえると思ったのかい…?」
私の歯が深々と突き刺さった片手をものともせず、全身に脂汗を滲ませた彼は、血走った眼で私を問いただします。
「認めちゃいなよ。本当は彼と…こうなりたいんだろ!?」
「ひぃっ!? あはぁ…っ!!」
怒涛の勢いで突き上げてくる彼に、私はもう、口からハラワタが飛び出すんじゃないかってほどの衝撃を受け続けて…
エッチな漫画によく出てくる「壊れちゃう…!」って表現は本当だったんだって、いまさらながらに実感して…!
「わ、わかった、わかりましたからぁ…っ!
わ、私は…ラリスくんが好きですぅ!
ラリスくんと…こーゆーコトしたいですぅーッ!!」
「よぉーしっよく言ったァッ! イイコにはご褒美をあげよぉーーッ!!」
二度目の限界を迎えて、ブルンッと大きく身震いした彼の先端から、大量の精がヤケクソみたいに、怒涛の勢いで解き放たれて…
それを余すことなく受け止めた私の子宮が、ひきつけを起こしたみたいに痙攣して、身体ごとビュックンビュックン飛び跳ねて…!
「あ…あは…っ」
もう、全身の力が抜け切って…ベッドの上に仰向けに倒れ込んだ私の身体が、だらしなく開き切って…
私の本当の気持ちを直に聞かされたシドさんが、力なく私の中から抜け出ていくと…
そのあとから、シドさんの精が、とめどなくポトポト溢れ出て…
「…ぅ…ぅぅ〜…っ」
こんなにも一生懸命、愛してくれたはずなのに…たまらなく悲しくて、悔しくて…
曇りゆく視界のなかで、私は嗚咽を洩らし始めました。
「…ごめん。ちょっとやりすぎた…」
そんな私をそっと抱き寄せて、愛おしげに撫でてくれるシドさんは…いつも通りの優しい彼でした。
「でもね…解ってくれるかな?
僕だって…悔しいんだよ…っ!」
彼の声に、にわかに湿っぽさが混じります。
そうか…シドさんは、気づいてたんですね。
最初から…ずっと…。
◇
「そりゃあね。だって、キミが僕と結婚してくれたのも…最初から彼が目的だったんだろ?」
シドさんの言う通りです。
まだ同居前の、あの日…私達が初めて出会った時に。
ラリスくんに、二人の結婚を持ちかけられた私は…そんなすぐに応じられた訳ではありませんでした。
だって、その頃のシドさんは、まだ宇宙人の正体を明かす前だったから…私とはずいぶん歳の離れた、ステキなおじさまに過ぎなくて…。
いくらステキだからって、結婚したいとまではフツー思わないでしょう?
そんな私の意識を変えたのは…他でもない、ラリスくんの存在で…。
本当に、どうしようもなく手が掛かりそうで…けれども、どうしても放ってはおけないほど、彼のことが気になって仕方がなくて…。
私がなんとかしてあげないと…って気持ちは、逆に言えば…
私以外の誰にも、彼に触れてほしくなんかない!…って、独占欲の塊で…。
思えば私は、はじめから…ラリスくんに惹かれていたんですね。
だから、彼が私にちょっかいを出しても…シドさんは、見て見ぬフリを貫いてくれていたんです。
「だから面食らったよ。キミの心は、僕には向いてないって思い込んでたのに…
急に、これからは毎晩一緒に過ごすんだって…頑なに言い出したときにはね」
結婚してはみたものの、シドさんが最初、私を徹底的に遠ざけていたのは…
ラリスくんのことが気になって仕方がない、私への配慮だったんですね。
けれども私は、夫婦とはこうあるべきなんだって、自分の理想と体裁にばかりこだわって…
シドさんの気持ちにも…私自身の本当の気持ちにも、まるで気づいてなかったんですね。
「だから本来なら、そこでキミの本当の気持ちを指摘して、すぐにでも軌道修正させるべきだったのに…
それが出来なくなるほどに…僕は、キミに恋焦がれていたんだ。」
当初は絶滅種族『ルナリアン』としての私に憧れていた彼は…
次第に、ひとりの『女性』としての私を、深く愛するようになってしまったんですね。
そして私も…あの銃撃事件のときに、そんな彼の心を知ってしまって…
私を命懸けで守ってくれた、その気持ちに報いることこそが、私の義務だと思い込んで…
本当の自分の気持ちを、シドさんの前では抑え込むようになってしまってたんです。
私はもともと、シドさんの『妻』でもなく、ラリスくんの『母親』でもなく…
最初からひとりの『女』として、ラリスくんを意識していたんです…!
そんな私の気持ちに気づき始めた彼も、私に深い愛情を向けるようになって…。
でも、その頃にはもう…取り返しがつかない状況になってしまってたんですね。
私は…自分の気持ちに嘘はつけなくて…
でも…誰も傷つけたくなくて…
たとえ嘘でも…みんなが幸せなら、それでいいと思ってたのに…
結果的に、みんなを傷つけてばかりで…!
「いいや…今からでも充分、取り返せるさ」
「…え?」
「僕が、それでいいって言ってるんだから…
あとは、キミ次第だろ?」
どこまでも深い…深過ぎるシドさんの、私への愛情は…最初から、夫婦などというカタチには捉われてなどいなかったんですね。
だって、彼は最初から言ってましたから。
"キミのそばにいられさえすれば…
僕はそれで良かったんだ。"
…って。
「…ごめんなさい…アナタ…っ!」
再びむせび泣く私を、シドさんは子供をあやしつけるように優しく撫でて…
「いいんだよ…。
そのうち、キミの気持ちに踏ん切りがついたら、僕はいつでも手を引くから…
せめてそれまでは、キミの夫でいさせてほしいな」
ええ…それは私も同じです。
けれども…間違ってほしくないのは…
「私のアナタへの愛は…まだ、消えて無くなったわけじゃないんです。
むしろ、今は…前よりも、ずっと…」
「…ミサさん…?」
「ラリスくんも好きだけど…シドさんも好き。
どっちも本当の気持ちで、嘘じゃないんです。」
ムシがいいことを言ってるのは百も承知ですけど…それでも。
「だから、これからも…ずっとアナタの妻でいさせてほしいって願うのは…ワガママですか?」
誠心誠意の私の言葉を、シドさんは唖然とした顔で聞き届けていましたが…
やおら、フフッと困ったように苦笑すると、
「ワガママだし、ムシが良すぎて、開いた口が塞がらないね」
が〜〜〜〜そっ!?
「けど…とてもキミらしいとも思うよ。
だから…いいんじゃないかな、それで?」
ある意味では予想外で、ある意味ではとても彼らしい回答でした。
見事にやり返されちゃいましたね。
「だってホラ、僕らは宇宙人だし。
なにも地球の法律や倫理観に惑わされる必要なんて無いからね♩」
出た、それを言っちゃあオシマイ的な開き直り発言!
「だいいち、僕らモーント王族は一夫多妻制を認めちゃってるし。
今さらソレが逆になったところで、誰も文句は言えないでしょ? 王様は偉いんだし♩」
さらに権力まで持ち出しちゃった!?
「でも、だからって目の前で彼とイチャイチャされると、さすがにムカつく自信があるから、やるなら僕に隠れてコソコソやってね♩」
しまいには不倫のススメまで…!?
私、どうやらシドさんの懐の深さを甘く見すぎていたかもしれません。
「とゆーわけだから、今は僕のターン♩」
と、私を抱く腕にシドさんは力を込めて…
えっ嘘、三回戦目!?
…どうやらマヂに彼を見くびりすぎていたようです。よもや、これほどとわ…。
私はそのまま、彼のなすがまま、されるがままに…♩
こんなケダモノすぎる彼も、ス・テ・キ☆
◇
「なーるほどのぉ。道理で、二人してやたらやつれておる割には、憑き物が落ちたように晴れやかな顔をしておった訳だ」
そしてお話は現在へ。
車の後部座席で私達の話を聞いて、満足げにウンウン頷く皇帝サマ。
こんな赤裸々な報告をするのは気恥ずかしいなんてものじゃないですけど、彼の弟君にも深く関わる話ですし…
朝、食卓に現れた私達を見た他の皆さんの反応が、やけによそよそしかったことから、あ〜コレとっくにバレバレだな…って悟っちゃいましたし。
そりゃ、あんなお屋敷中に響き渡るよーな大声でアンアンアヘアヘやらかしてればね…。
「…で? あのガキには、もう教えてやったのか?」
「はい。朝イチで、それとなく…」
かくいうラリスくんも、真夜中の私達が、自分のせいで揉めてたんだということには、既に気づいていたようです。
それでもやっぱり、驚いてはいましたね。
特に、シドさんの大英断には。
"…まぢか!? センセあんた、どんだけお人好しなんだよ?"
"誰にでもって訳じゃないよ。他ならぬキミだったら、許せるかなって思ったんだ"
"それなら、まぁ…正直、ありがてぇけどよ。
…悪いな。殴ってくれてもいいんだぜ?"
"殴りたくないからだよ。謝らなくてもいい。僕もまだ、負けるつもりはないからね"
本当に…ステキな人達だと思います。
こんな私に、それだけの価値があるのなら…ですけど。
"…だとよ。俺に襲われたくなけりゃ、せいぜいセンセの目の行き届くところに居るようにするんだな"
"臨むところですよ。アナタもくれぐれも、私のゴーサインを見逃さないように見張っててくださいネ♩"
"ハハッ、何様だよ…♩"
不敵に笑い返しつつも…それから今まで、ラリスくんが実際に私に手を出すことは一度としてありませんでした。
彼って案外、生真面目ですからね。ミユちゃんとの仲に決着をつけるまで、待ってるから…という、私との約束を愚直に守っているのでしょうか。
「しかし、なんというか…聞けば聞くほど、我が弟に不利な条件になってはおらぬか?」
ぎっくんちょっ!? さすがにごまかせないですね…。
「いいんだよ。僕は本来、彼女のそばで見守り続けるだけで良かったんだから」
「我が弟ながら不憫よのぉ…。
やはり、お前は国を預かるに値しない。
もう少し欲を持たねば、ますます獲物を取り逃すばかりだぞ?」
実際に国を預かる者としての辛辣な兄の言葉にも、シドさんは欲もなく首を横に振り続けて…
「じゃあせめて、たまにはマコさんを…」
「ぅおいっ!?」
兄上の前だというのに、ついつい裏拳でツッコんじゃいましたよ!
かと思いきや、皇帝サマもシドさんに脳天チョップをお見舞いして、
「麻胡だけはイカンッ、アレだけは絶対貸さぬぞ!? 最初は何やらお前に気があったらしいことは白状させたが、ならば尚更イカァーンッ
!!」
やれやれ、相思相愛?ですねぇ♩
「…ほぉ、面白そうな話をしておるではないか?」
今しがたまで車外で警備にあたっていたシリウス師団長が、皇帝サマを押し退けて後部座席にズズイッと割り込んできて、
「ならば、俺も便乗させてもらおう」
へっ!? あの真面目を絵に描いたような師団長が、浮世話に興味を示すなんて意外ですねぇ…と思いきや、
「あのフレイアという娘のことだが…気に入った♩」
すんごい意外すぎるトコ行ったァーッ!?
「訓練中に少々カラダを触らせてもらったが、なかなかに良い仕上がり具合でな。筋肉量も申し分ないし、足腰もかなり安定しておる。アレは将来、良い子供を産むぞ!」
てかアンタ訓練と称してナニをおやらかしになられちゃってましたくわっ!?
「あれでなかなかの器量良しだし、真面目で練習熱心だ。あれだけの娘を放っておくのは惜しい。
本人さえ良ければ、俺がもらおうと思っておるのだが…異論ないか?」
むしろ異論しかありませんけど!?
てかアータ、すでに奥さんいらっしゃるでしょ!?
「ウム、家内については今でも、俺にはもったいない女だと思ってはいる。
だが…残念ながら子供を授かる機会には恵まれぬまま、気づけばもうこの歳だ。
とうに諦めはついていたが…あの娘を見て、気が変わった」
師団長が王位継承を拒んだ理由には、お世継ぎの不在もあったそうですけど…
まさか今さら、長いこと尽くしてくれた御夫人を裏切ってまで子供こさえて、復権を狙う気になったとか…?
「シャムスよ、お前はどう思う?」
それは暗に「貴様の跡目は俺様がいただいたぜグヘヘ♩」宣言!?
これだから利権が絡んだ立場の男って…。
「フム…兄上がそう望むなら、良いのではないか?」
っていやいや皇帝サマも物分かり良すぎるでしょ!?
あんなまだ若い子を毒牙にかけて、自分を追い落とそうと目論んでるクソ兄貴を、なんであっさり許す気になれるのっ!?
「調べてみた限り、あのフレイアという娘の実力は、確かにかなりのモノだ。
兄上の養女としても、我らが王家の一員としても、なんら遜色あるまい?」
や、だからって王族に迎え入れるだなんて…
…って、『養女』?
「先程からなにやら複雑な顔色を浮かべておったが…何の話だと思っておったのだ?」
師団長にジト目で睨まれて、よーやく自分の巨大な勘違いに気づいた私でした。
恋愛脳も大概にしないといけませんね…。
◇
フレイアさんもラリスくん同様、かなり悲惨な身の上らしく。
昨夜、お風呂場で聞いたところでは…
生粋の戦闘種族である彼女たち『ブレイザー』は、それ故に他人の恨みを買いやすく…
彼女がまだ幼かった頃、揃って傭兵稼業に精を出していた彼女のご両親は、同僚の裏切りによって戦死…。部隊は壊滅しました。
孤独な身となったフレイアさんは、他に頼れる身内がいなかったことから浮浪児となり、幼いながらも周囲を圧倒する己の実力のみで、かろうじて生き延びてきました。
それでも、満足な食事にありつけることもままならない日々に疲弊し…
挙句、巨大ショッピングモールを襲撃し、手っ取り早く荒稼ぎする計画を立てていたところを、たまたま別件で通りかかったラリスくん達に阻止されます。
本当にシドさん達って、業務範囲を遥かに逸脱した、いろんなトコに首を突っ込みまくってますよね…。
で、いよいよお縄になる日が来たか…と覚悟していたフレイアさんに、
「オメーほどの力がありゃあ、俺たちの仲間になったほうが人に感謝もされるし、毎日の食い扶持にも困らなくなるぜ。
強盗の真似事なんかで人生を棒に振るよか、よっぽどマシだろ?」
そうラリスくんに説得されて、半信半疑ながらも渋々『保護管理官』の資格研修に参加したフレイアさんは…
今までは厄介者扱いされ続けてきた自分の能力を、正当に評価してくれる世界があったことに、目から鱗がポロポロ、涙と一緒にこぼれ落ちたのでした。
それ以来、彼女はラリスくんを『センパイ』と呼んで慕っているそうです。
それは年齢や入隊時期によるものではなく、自分を人生のドン底からすくい上げてくれた彼への感謝と…
生まれて初めて心から信頼できる、『人生の大先輩』に巡り会えたからなのだ…と。
好きな人が出来ると、女の子はどんどん綺麗になりますからね。
そんな『センパイ』にやがてまた再会できることだけを励みに、フレイアさんは日々、頑張り続けてきたんだとか…。
ううっ、ええ話やなぁ…♩
◇
その日、学校から帰ってきたばかりのフレイアさんに、師団長が養子話を持ちかけると…
そりゃもービックリたまげた彼女は、恐縮しつつも二つ返事で了承してくれたそうです。
「あ、あたいが王族だなんて…ホントにいいんスかね?」
「それはお前のこれからの努力次第だな。すでに家内には話を通してあるが、張り切ってレディー教育のイロハを叩き込んでやるそうだ」
「ぅぅぅ…今からくじけそうっスよ…」
「だが、上手くいけばモテモテだぞ? 皇帝妃候補の麻胡や、シドゥスの奥方の美沙兎と知り合いというのも大きいしな」
王侯貴族の家柄でモノをいうのは、より高名な権力者との繋がりです。それで家系の価値が決まるといっても過言じゃない。
すべての王族と親しい間柄というのは、それだけで強力な武器です。
「で、でもあの…そっちは…できたら、センパイともっとお近づきになれたら嬉しいかなーって…」
う〜ん、はるばる近隣星域から押しかけてきただけあって、ラリスくんへの愛情がハンパないっスね。
「…だ、そーだが。母親的にはそのへんはどう思う?」
「へっ!? ま、まぁそれは…フレイアさんの今後の努力次第じゃあないですか?」
急に話を振られて慌てた私は、師団長の言葉をそのままお借りして無難に返答します。
そんな私を、師団長は楽しげにニヤニヤ見つめて…。
さっきの皇帝サマと私達とのやりとりを聞いてたクセに、わざわざふっかけてくるとか…さては彼も重度のブラコンですね?
シドさんを半ば裏切って、息子のラリスくんに横恋慕している私への、おしおきのつもりですか…!?
…って、字面にしたらホントにサイテーな女ですね、私…ううっ。
「わ、わかったっ、頑張るっス!」
そんな私達の複雑な関係はつゆ知らず、素直に頷くフレイアさんのハツラツとした笑顔が、日陰者の女には眩しすぎるっス…。
…と、そこで突然!
「ぅわぁ〜〜んっ! ラリスくんのバカぁあ〜〜〜〜ッ!!」
彼の部屋のドアがパァーンッ!と勢いよく開け放たれたかと思うと、室内からミユちゃんが飛び出してきましたよ!?
唖然とする私とすれ違いざま、泣き腫らした目をこちらに向けた彼女は、
「…っ!」
出会ったばかりの頃のような侮蔑の眼差しで私を睨むと、全速力で家の外に飛び出していってしまいました。
これは…
「…やっちまったな…クソッ」
あぁ、やっぱり…。
遅れて部屋から出てきたラリスくんの、思い詰めた表情を見て…何があったのか、嫌でも判ってしまいました。
「…言っちゃったんですね?」
「…ああ。お前らがちゃんとお膳立てしてくれたってのに、俺が何もしない訳にはいかねーからな」
生真面目なラリスくんは…ミユちゃんに真相を告げてしまったんです。
彼女とは、もう付き合えないって…
…この私と付き合うために。
いくらなんでも性急すぎる気がしますけど…そんな彼らしい動向を見抜けなかった、私にも責任の一端はあります。
さらに遅れて「何だどうした!?」と自室から飛び出てくるシドさんやマコさん、皇帝サマ達。
よっぽど慌てて出てきたのか、同じ部屋にいたマコさんと皇帝サマの着衣に若干の乱れが見受けられるあたりには、ほどほどにしとけやと言いたいのも山々ですけど…
そんな場合じゃありません!
「探しましょう、ミユちゃんを…!」
なんてったって…今夜のお夕飯当番は、彼女だったんですからっ!
何、それは一大事!?…と、皆も一斉に頷き返しました。
◇
手始めに伺ったお隣のミユちゃん家には、彼女は帰っていませんでした。
応対に出た彼女のご両親も、
「あの子は思い込みが激しいからなぁ…」
と困り顔。
失踪原因であるラリスくんを責めることこそなかったものの、てっきりうまくいってると思っていた二人の仲には、とても残念そうなご様子で…。
ホントにご迷惑をお掛けします。
「となると…どこ行っちゃったんでしょうかね?」
「さぁな…見当もつかねぇ」
これが幼馴染なら、二人の想い出の場所とかにいるのが定番パターンでしょうけど…
ミユちゃんとラリスくんの出会いは半年ちょい前ですし、ココに引っ越してきたのもつい最近です。
あまつさえ、それほど頻繁に外を出歩く子でもなかったらしいので…本当に全然予想がつきません。
「…仕方ない。手分けして探してみよう」
シドさんの提案で、おおまかに捜索エリアを分けた後、それぞれの担当エリアをてんでに捜索することに。
とはいえ、まだ中学生の彼女が、この時間に行ける場所といったらかなり限られるでしょうし、本気で家出したわけでもないと思うので、見つかるのは時間の問題でしょうけど…。
そして私とラリスくんは、シドさんの提案であえてコンビを組まされて、中学校方面を巡回することに。
私達の関係をすでに知っているミユちゃんなら、私達が連れ立って步いてるのを見かけたら、興味を覚えて寄ってくるかも?…という、なんともザルな作戦ですけど…
「う〜ん…いませんねぇ。ついさっき出て行ったばかりなのに…」
「メッチャ足速いからなアイツ。陸上部とかからしょっちゅうスカウトされてたぜ」
犬型宇宙人のケンネルの血筋は伊達じゃありませんね。
「でも、どうせ全部断っちゃってるんでしょ?」
理由は言わずもがな、ラリスくんと一緒にいられる時間が減っちゃいますから。
そこまで好いてくれてる彼女に、どうして応えてあげられなかったのか?…なんて責める道理は、今の私には微塵もありませんけど。
「それにしても…これは参りましたね」
こんな夜中に外を出歩いたことなんて滅多になかった私からは、昼間の街とはまるで別の風景に思えて…ますます捜索の難易度が上がっちゃってます。
幸いそこそこ街中だから、街灯も完備されてて薄暗さや不気味さは感じませんけど…。
…とか言ってるうちに、なんの手がかりも得られないまま、中学校の正門前まで来てしまいました。
もちろん夜間は入り口がガッチリ閉じられているため、校内には入れませんし、素行の良いミユちゃんがあえて侵入するとも思えません。
他の地域を捜索しているみんなからの、発見の一報もまだありませんし…
「いよいよ手詰まりか…?」
歩き疲れて、校門前の植え込みの花壇にドッカリ腰を下ろすラリスくん。
巨人化すればほぼ無敵な彼も、地球人に偽装した現状では、人並みの体力しか持たない一介の中学生に過ぎません。
そんな彼以上に体力のない私ももうヘトヘトなので、彼の隣に遠慮がちにちょこんと腰掛けます。
いつもは車で通ってるから、すぐ近所だと思い込んでたこの場所までは、歩くと結構かかるんですね…。
先程までの街中からは一変して、この時間には人通りもまばらな中学校周辺には静寂が漂い…
夜空を仰ぎ見れば、降るような満天の星々が綺麗に瞬いて、私達を照らしています。
先日までそこにあった皇帝サマの旗艦『ソル・ラディアンテ』は、いまは我が家の上空に駐留しています。
船体があまりにも巨大なので、少し視線をズラせば嫌でも目に入りますけど。
もはやこの街を象徴する注目スポットとして、世界中で有名なんだとか?
改修工事中の現在は、白亜の外装が無数のスポットライトに照らされ、昼夜を問わず稼働中の工事機器の火花が夜空に舞って…いつも以上に幻想的な佇まいです。
「…………。」
そんな素敵な風景にいつまでも見惚れていたいところですが、見上げっぱなしはさすがに首が辛くて…
顔を引き戻すなり、期せずして隣にいたラリスくんと見つめ合ってしまいました。
物欲しげな視線を手向ける彼に、少なからず身の危険を覚えて身体をすくめ…
「…ダメですよ、今は…」
「わーってるよ。ポチ子とケリがつくまで、手は出さねぇ」
律儀な彼のことだから、有言実行間違いなしでしょうけど…
そこまでキッパリ拒絶されてしまうと、かえってモヤモヤしてしまうのが女の性ってもので…。
「こんな人気のない場所で、将来を誓い合った女と二人きりだってのに、本当に指一本触れないなんて…案外ヘタレですね」
「ってどっちなんだよオメーは!? ヤラれたいのかヤラれたくねーのか!?」
「…どっちだと思います?」
私の言葉に戸惑いを隠せない彼を見てると、ますます悪戯心が湧いてきて…
「知ってるでしょーけど。私、昨夜シドさんにヒドイ目に遭わされたんですよね…誰かサンのせいで。」
いや自業自得だろ?って反論は却下です♩
「だから…それを忘れさせてくれるくらい優しくされると…コロッとイッちゃうかもしれませんよ?」
「…つっても、お前が望む優しさなんて、どんなんだかワカンネーだろ…?」
「…やれやれ、世話が焼ける子ですね」
溜息混じりにラリスくんを抱き寄せた私は、ギュッと身体を密着させます。
まだまだ冷え込む夜風に、彼の人肌の温もりが心地よくて…。
「これで充分なんですよ。エッチなことばかりでも…私はイイかもしれませんけど…これだけで、女心は満たされるんです♩」
「…そんなもんかね…」
言われるままに抱かれ続けたラリスくんは…そのうち辛抱たまらなくなったみたいに、私の顔に頬を寄せて…
「これぐらいの触れ合いは…あったほうがいいだろ?」
「…ですね♩」
そして激しく求め合う、唇と唇。
静まり返った校門前に、粘膜同士が触れる肉音が鳴り響いて…
涼やかな夜風をものともせずに火照る肌に、玉のような汗が浮かんでは流れて…
人妻と男子中学生という、そんな不埒な恋人達が戯れる様子を…
植え込みの陰に潜んだ小柄な人影が、つぶさに観察して…
「…はむんっ!?」
小柄な…人影?
恐る恐る、背後の植え込みに目をやれば…
「…うう〜っ…お姉さまとラリスくんの嘘つきぃ〜〜〜〜っ…!」
涙目でこちらを睨みつつも、野犬みたいにヨダレをぽたぽた滴らせたミユちゃんの、夜目にも真っ赤に染まった恨みがましい顔が…!
「釣れたァーッ!?」
「確保ォーッ!!」
「ぅわぁ〜〜〜〜んっっ!?」
こうして迷子のミユちゃんは無事、保護されました。
いやはや…グッドタイミングで出没してくれて、こっちも助かりましたよ。
あのままズルズルいってたら、学校前だというのに、教育上好ましからざるドエライことになっちゃってて…
万一学校関係者に知られでもしたら、ラリスくんは今度こそ停学程度じゃ済まなくなってましたから。
◇
一生懸命ミユちゃんを探してくれてる他のみんなには悪いけど、まずはその前に彼女の説得工作を試みます。
私達といたしましても、エライとこ見られてもーた彼女を、このまま親元に返すわけにはいきませんからね…フフリ。
「ひぅ、ひぅう…キスしてた、大人のキスしてたぁ…あたしには一度もしてくれたコトなかったのにぃ〜っ!」
ここいらへんはラリスくんの功罪ですからね。毎日毎日チュッチュぱチュッチュぱやって、下手に期待を持たせすぎたから、ここまでこじれちゃったんですから。
「…悪かったよ。その頃の俺は…まだ、お前を本当に好きかどうかもよく解ってなかったんだ」
「ぅぅっ…好きでもないのに、あたしにチューして、あたしのハダカ見て、あたしの大事なトコも見て、あたしの脚広げて…あたしの中に指入れてクチュクチュしたんだぁ〜っ!?」
思い返せば…ホンットにいろいろやらかしてましたわねぇコイツらっ。
そんだけ尽くして、なんで自分に振り向いてくれないのかって…そりゃ誰でも思いますよ。
でもね…そんな損得勘定では簡単に割り切れないのが、人の想いってものなんです。
どっちが勝ったとか負けたとかじゃなくて…たまたま、けれども必然的に…そうなってしまっただけなんです。
「いや、ポチ子のことは今でも好きだぜ?」
!? ラリスくん…っ?
「学校に限って言ったら、お前以上に好きな奴は他にいねーと思う」
「ラ、ラリスくん…♩」
「けど…気付いちまったんだよ。学校の外まで含めたら…コイツ以外にしっくりくる奴はいねーってな」
ちょラリスくんっ、この場面で私の肩抱いてお仲間に引き込むのはやめてぇ〜っ!?
「つまりな…ポチ子、お前が悪いわけじゃなくて、コイツに敵わなかっただけなんだ。
だからとっとと諦めな♩」
ゴチィーンッ!! 鼻高々な彼の脳天に、私のゲンコツがモロにめり込みました。
「っ…てぇなっ、イキナリ何すんだよっ!?」
「当たり前でしょーがっ!? この期に及んで…てめぇが何やらかしたかの自覚すらないんですかアータはこの女の敵が死ね死ね死ね死ね死んじまえーッ!!」
ガスッゴスッドカッバキッブシュウ〜〜〜〜ッ!!
イタイ女のカキコさながらに句読点を含まない罵詈雑言を浴びせかけられ、怒涛の連打攻撃で全身骨折の血袋と化したラリスくんは、血しぶきとか汁とか出しちゃイケナイものまでいろいろ噴水のごとく噴き上げて、往年の車田正美作品のように顔面から地べたに倒れ伏しました。
せっかくの私のフォローをことごとく台無しにして、悪役を押し付けやがったばかりか…
キョーミが無くなったオモチャはあっさり放っかりつける、幼稚園児並みの極悪非道っぷりですかアンタはっ!?
いくらミユちゃんと早くケリをつけて、レッツジョインアス♩したいからって…したいからって……実直すぎて、ちょっとカワイイかも♩(←ぉぃ。)
…仕方ない、ここは私も一肌脱いであげますか。
「あ、あのねミユちゃん?」
「つーん。今、お姉さまとはお話したくないです…っ」
…こんガキャア♩
「じゃあ…後でじ〜っくりお話ししましょーか?…地下室で☆」
「ヒィーッ!?」
条件反射でおもらし状態のミユちゃんには悪いけど…私も案外、切羽詰まってたみたいですね。
この際、使える手はなんだって使ってやりますよ…!
◇
そしてお家に戻った私達は、ミユちゃんの捜索に協力してくれた皆さんに、丁重にお礼とお詫びをして解散しました。
気づけばもう、かなり遅い時刻ですけど…私とラリスくん、そしてミユちゃんの三者面談は、むしろこれからが本番です。
とはいえ地下室はちょっと可哀想なので、普通にリビングでの話し合いです。
そして私は、はじめから全てを語って聞かせました。
シドさんやラリスくんと知り合った当初から、私はシドさんよりもラリスくんに惹かれていたこと。
けれども私から見て、ラリスくんはあまりにも子供だったため、それは違うと思い込んでいたこと。
でも…二人の正体が宇宙人だと判ってから、その認識が大きく変わってしまったこと。
ラリスくんは、私が思っていたよりも、ずっと大人で…仲間思いの、ステキな男性だったこと。
けれども、その頃のラリスくんは、恋愛感情というものをまるで理解できていなくて…私はそれに幻滅してしまったこと。
それでも、二人とも、本当に命懸けで私を守ってくれて…どちらも選べなくなってしまったこと。
そして…人を愛することを理解できてしまったラリスくんに、私は…私は…。
「…でもでも、お姉さまはシドさんと結婚したんですよね? それなのに、今さら…。
いくらシドさんが許してくれたからって…そんなの、ワガママじゃないですかっ!?」
予想通りのツッコミが来ました。
ミユちゃんって、見た目はファンタジーそのものなのに、中身はかなり現実的な常識人なんですよね。
「シドさんも、ラリスくんも、両方欲しいだなんて…そんなのズルいですっ!!
あたしは…ラリスくんさえいてくれたら、それでいいのに…なんでっ!?」
ミユちゃんの言い分はもっともです。
だからといって、じゃあラリスくんはミユちゃんにお譲りして…なんて単純には仕分けられないのが、愛情という複雑な感情で…
いわばそれこそが、人間そのものなんです。
「それに、その理屈でいったら…ラリスくんはお姉さまのことが好きだから、あたしは彼を諦めなきゃいけないなんて…おかしいじゃないですかっ!?」
…ですよね。それを最初にラリスくんに言ったのは、他ならぬこの私ですけど…
なんかどんどん、間違ってるよーな気がしてきましたよ?
誰が誰を好きになろうと…誰にも咎められるいわれはない。
それこそが恋愛の大原則だったはずです…!
「いや、でも、俺はポチ子を恋人としては…」
「"今は"ってだけでしょ?」
…へ?
「ラリスくんの、お姉さまへの気持ちが、こんな短期間で大きく様変わりしちゃったんなら…
この私に対しても、将来的に大きく変わることだって、あるかもしれないじゃないですか!?」
何なの、この子…すんごいポジティブ!?
ラリスくんにストーカーじみたラブレターを送り付けてた前科は伊達じゃないですね!
「それに、お姉さまがシドさんもラリスくんも大好きで許されるんだったら…
ラリスくんだって、お姉さまもあたしも両方好きでいいじゃないですか!?」
「あ?…いや、えーっと、その…まぁ、そーなる…のか?」
ラリスくんも、たいがいクッソちょっろ!?
「だから、あたしもラリスくんのことは…まだまだ諦めませんからっ♩」
満面の笑顔で高らかに宣言するミユちゃんに、当のラリスくんも「おおー…っ!?」って拍手しかけちゃってるしっ!
クッ…これが、認めたくはない若さ故の過ちというヤツなのか…っ!?
けどその一方で、私とラリスくんの仲は認めてくれたみたいですけど…『交換条件』として。
でも…このままだったら結局、ミユちゃんが不利なまんまですけど?
…とか思ってたら、
「…あっ!? だったら…!」
廊下の端からコッソリこちらを覗き見て、ハラハラし通しなフレイアさんに気づいたミユちゃん。
急に何か思いついたようにポンッと手を打ち鳴らすと、バタバタとリビングから飛び出していって…
なぜだかフレイアさんの方ではなく、ダイニングからこっちの様子を冷や冷やした様子で窺っていたシドさんを捕まえると、何やら興奮した様子で頼み込んでますよ?
…やがて、根負けしたシドさんが力なく頷くと、ミユちゃんは大喜びでスキップしながら…
今度は、その傍らでおっかなびっくり様子を見守っていたご両親へと駆け寄ります。ええ、すっかり帰るタイミングを逸してしまったお二人も、まだココにいたんです。
そこでも何やら熱心に頼み込むと、二人はしばらくうなだれて…
終いには仕方なさげにミユちゃんを抱きしめると、今生の別れみたいに涙してますよ?
何を思い付いたか知りませんけど、相変わらず凄まじい行動力ですね。
けど、彼女が張りきれば張りきるほど、ろくなことには…
と、誰もが不穏な気配を感じたところで、ミユちゃんは意気揚々と帰ってきて…開口一番。
「あたし、ラリスくんの『妹』になりましたっ☆」
『…はぁ〜〜〜〜っっ!?』
これには私とラリスくんだけじゃなく、近くでコッソリ聞き耳を立てていたマコさんやフレイアさん、皇帝サマに師団長も唖然呆然!
「あたしは今日から、ここん家の『養女』ですっ!」
あ〜〜なるほど…話が繋がったことは繋がりました。
…けど、全然納得いかないでしょそんなのっ!?
どこをどーしたら、そんなミラクルな結論に至っちゃうんですくわっ!?
「お姉さまとラリスくんが人目も外聞も気にせず燃えあがっちゃってるのは、"母親と息子"とゆー禁断の関係だからですっ!
だから、あたしもラリスくんと…ううん、『ラリスお兄ちゃん』と、禁断の愛に生きますっ☆」
すがすがしいまでの曲解キタァーッ!?
しかも、ならどこがオカシイのかと問い返されても返答に窮する、ビミョーなイタさ加減のニクイやつ!
そして、それを咎められるだけの権限は、いまの私には…ないっ!!
「と、ゆーわけなのでぇ…これからよろしくお願いしまーすっ! ラリスお兄ちゃん! ミサお姉母さまっ♩」
『お姉母さま』!? キョーレツ語呂悪ッ!
こうして我が家にまた新たな家族…いいえ、要警戒な"出戻り"家族が増えちゃったのでした…トホホォ。
【第十二話END】
平穏無事な日常編…と予告しておきながら、どーゆーわけだか今回よりR指定となった本作ですが(笑)。
美沙兎とポラリスの関係をどうやって公に認めさせようかと、ない知恵絞り尽くしましたけど…やはり、どこかで誰かが泣きを見る展開は避けられなかった次第でして。
ならもういっそ、露骨なほどドギツくヤッちゃいましょー!
そうしないと説得力も全然生まれないしネ♩…と、開き直った結果がコレです。
おそらく今後もこのような描写はちょいちょい入るだろう、とのことで…誠に申し訳ございませんが、今までな分も含めて、今後もR指定とさせて頂きますです、ハイ。
で、今までは全年齢にこだわって、身体的な固有名詞や描写を極力避けてきたので、今回はそのぶんキョーレツなインパクトになってるかと。
なんとか表現を緩めて、若年層にもご覧いただけないだろうかと考えてはみたものの…残念ながら今のところ、全年齢対象版には戻せそうにありません。
グレードを下げると、どうしても中途半端な「薄い」印象になってしまって、各キャラの怒涛の感情がイマイチ伝わらないんですよね。
そこを読者の想像力で補うのが小説の醍醐味なんでしょうけど…うまくごまかそうとすると大体、お高くとまった文体になりがちで、感情移入もしづらくなるじゃないですか?
そうした場面に差し掛かった途端、急にキャラが遠のいてしまうような…「コレじゃない」的なある種の落胆ぶりってゆーか…それは避けたくて。だからごまかしは一切ナシです。
誰でも他人に裏切られた経験の一度や二度はあるでしょうけど…まさに筆舌に尽くし難い、あのやり場のない感情を文章化するのって、なかなか難しいもんですね。
難しいといえば…当初からヒロイン美沙兎を正当化するつもりは微塵もなかったので、読者に嫌われるだろうことも平気でさせてきましたけど…今回あたりがピークでしょうね。
自分でも、コイツ虫が良すぎるだろ…と書きながら思ってましたし(笑)。
なので、そのぶん手痛いしっぺ返しを喰らわせてるんですけど。ミユたんの予想外の行動なんて、まさにソレですし。
世の中、思い通りには運ばないコトだらけですし、幸い登場キャラ全員、一筋縄ではいかないヒネクレ者ばかりですから♩
ギャグタッチだから幾分軽くなってるかもしれませんけど、こっちもごまかしは一切しませんので。
今は美沙兎の周辺だけゴタゴタしてますけど…その他の派閥も、いつそーならないとも限りませんしね。フフリ♩
綺麗事や予定調和ばかりじゃツマランものしか書けないんで、今後もますますきっちりドッロドロにしていきたいですね(笑)。




