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男爵、動く

噂は、やがて、一人の男の、野心に、火を点けた。


男爵、ペティフォグ。


彼は、公爵の領地を、狙っていた。


「これだけ悪名が轟けば……失脚させるのは、容易い」


彼は、王都へと、馬を走らせた。


そして、王の前で、大げさに、訴えた。


「陛下! ザリーン公爵は、民を苦しめる、悪魔でございます!」


「毒を配り、子を攫い、空に不吉な火を放ち……今や、民は、恐怖に震えております!」


彼は、集めた「証言」を、次々と、並べ立てた。


どれも、誤解から生まれた、歪んだ噂ばかり。


だが、数が集まれば、それは、力を持つ。


居並ぶ貴族たちが、頷き始めた。


「由々しき事態だ」


「公の裁きが、必要では?」


王は、重い沈黙の後、口を開いた。


「……よかろう。公爵を、王都に、召喚する」


「公開の場で、全てを、明らかにする」


ペティフォグの口元が、醜く、歪んだ。


(かかった……! これで、あの領地は、私のものだ!)


こうして、ザリーンは、王都の法廷に、立たされることと、なった。


数え切れぬ「善意」を。


「罪」として、裁かれるために。


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