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森の少女、再び
冬が明け、森の奥深く。
ザリーンは、薬草を摘みに、一人で入っていた。
そこで、彼は、見つけた。
大木の根元に、倒れている、一人の少女を。
黒い髪。抜けるように白い肌。
服は、焼け焦げ、体には、深い傷。
息は、今にも、消え入りそうだった。
「……ウフフフ。また、傷だらけの娘か」
ザリーンは、迷わず、少女を抱き上げた。
その手つきは、やはり、傍から見れば、恐ろしく。
だが、抱かれた少女の体を、包んだのは、驚くほどの、温もりだった。
館へ運び、夜通し、手当てを続ける。
傷を洗い、薬を塗り、包帯を、巻く。
少女は、高熱にうなされながら、時折、うわ言を、漏らした。
「……勇者……許さない……私の、眷属を……」
ザリーンは、その言葉を、聞き流した。
熱に浮かされた、ただの、夢だと、思ったから。
彼は、知らなかった。
自分が今、手当てをしているこの少女こそ──
この世界の、魔王であることを。
勇者に討たれ、死にかけていた、魔王、セオドア・ルーズベルトであることを。
窓の外。欠けた月が、静かに、二人を、見下ろしていた。




