↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/30

色とりどりの煙

真夜中の、地下工房。


ローズリンドは、扉の隙間から、それを見た。


公爵ザリーンが、巨大な釜の前に立ち、怪しげな液体を、次々と混ぜ合わせている。


ボコボコと、泡が立つ。


「ウフフフ……もう少しだ……」


紫の煙。


赤い火花。


そして──ボンッ、と、緑色の煙が、部屋いっぱいに広がった。


ローズリンドは、口を押さえた。


(黒魔術……! 悪魔でも、呼び出す気なの……!?)


彼女は、確信した。これこそ、決定的な証拠だ、と。


翌朝、彼女は、意を決して問いただした。


「閣下。昨夜の、あの煙は……一体、何を?」


ザリーンは、きょとんとした。


そして、棚から、小さな袋を取り出す。


「ああ、あれか。……肥料だ」


「え?」


「痩せた土でも、作物が育つように、な。あとは、これ」


彼が差し出したのは、傷薬の瓶。


「昨夜のは、その調合だ。煙は……まあ、失敗の副産物だが。ウフフフ」


ローズリンドは、言葉を失った。


悪魔を呼ぶ煙だと思ったものは──痩せた大地と、傷ついた民のための、ものだった。


「試すか?」


ザリーンは、傷薬を、彼女の手に握らせた。


その手は、驚くほど、あたたかかった。


ローズリンドは、その温もりから、慌てて手を引いた。


──認めては、いけない。


まだ、認めるわけには、いかないのだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。