第6話 探索の続き
武器を持って一つのフロア毎、丁寧に探索を開始する。時計が無いので正確な時刻は分からないが、太陽の位置を見る限り、昼過ぎには一階までの全てのフロアを探索し終えた。体力は充分にある。このビルを全て探索して気付いたことがある。このビルには俺以外の誰かが定期的に出入りがある痕跡を見つけた。
足跡があったのだ。しかも最近の足跡が。大きさ的に子どもの可能性は高いというサイズだ。子どもが何故? と疑問が過るが冒険の類いかも知れないと推測した。その足跡の先には祭壇らしきものが、デスクや椅子で構成されていた。それが二十階のフロアの話だ。それ以外のフロアにはそういう形跡は無い。見落としている可能性も充分にある。
「儀式をしている? 遊び? 定期的に出入りがあるということは、次はいつ来るのか。いや、わからないな。こればかりはまた、あの獣かも知れないし」
敵が出入りしている可能性も踏まえるとここも安全とは言えないだろう。四十階には俺以外の出入りは無いようなので、四十階をしばらくの根城にしようと計画した。このビルでは情報以外に得た物がある。食料庫を発見したのだ。現代世界にもある備蓄用倉庫というものだ。
鍵は掛かっていたが、ダメ元で、剣で切ってみたらスパッと切れた。この青い剣、実は凄い剣なんじゃと思いつつも、中に入ったら段ボールで敷き詰められた広い空間がに文字は読めないが一つの箱を開けるとパッケージされた食料品が大量に入っていた。飲料水も同様だ。試しに食べて飲んでみたが体調には変化はない。
「今日は夜通しで備蓄倉庫にある食料品を袋に収納だな。というか、なんでも入るとはいえ、流石にこの量は入るのか? ま、やってみっか」
俺は内側から鍵を掛けて倉庫内の食料品を全て小さな袋へ放り込んだ。備蓄品はお菓子じゃないから味には飽きるだろうけど、飢え死にしないよりかはマシだ。幸いにもこの倉庫へ出入りしたは俺だけのようで、忘れ去られているようにも見えた。賞味期限とか消費期限とか大丈夫だろうかと脳裏に過るが無視した。
一部を食べて変色や異臭も味すら変化が見られなかったということだけでも良い結果じゃないかと思う。ドカスカと小さな袋へどんどん段ボールが吸い込まれていく。この小さな袋は異次元へ繋がっているのではないかと、実はこの袋も凄い袋なんじゃないかと思いたくなる。破れもしないし、どんどん入るし、膨れもしない。小さな袋のままだ。それで重さも感じない。質量の法則を無視している代物。
「これ凄えな。袋様様だぜ」
時折休憩を挟みながら食事をし作業を続けた。結局、夜通しのつもりが四時間程度で収納することが出来た。ただ、全身が筋肉痛になるのは必至だ。今ですら背中や腕、足も痛い。幸いにも食事は山のようにある。だからと言って油断は出来ない。
元々、暴飲暴食をするような生活は送っていないが、それは学生生活を送っていただけだ。肉体労働をすれば腹は減るし、体力も落ちる。それに成長期ということもある。多少は多めに食べつつも調節しながら過ごすことが必要だ。
「今日はダメだな。倉庫内で寝るか」
段ボールで簡単なマットレスを作成した。ただ、重ねただけだが。そして、毛布を取り出してくるまった。剣を手から離さないように横になった。電気が点灯し続けているがどうしようも無いので放置。少し空気は冷えるが凍える程では無い。重労働からの疲労からなのか、あっという間に爆睡した。
「は、今何時だ。あ、そうだ。時計が無いんだった。随分良く寝たな。あれ? 体が軽いぞ」
そうだ。昨日は重労働明けで今日は筋肉痛になる覚悟をしていたけど、筋肉痛になっていない。むしろ、体が軽い。何故だ? 理由が分からない。
「疲労が一切ない。これが若さか」
自分の若さに感謝をした。今日は筋肉痛で終わる日だと確信していたから尚更良い出来事に思えた。
「こういうこともあるんだな。それじゃ、今日は街を探索するとするか。他にもビルが何棟かあったし、住宅街も結構な数だ。チャチャっとやってしまおう」




