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カタストロフ・ファンファーレ  作者: 竜蔵寺 佑


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第52話 要塞擁壁

「その呪いというのはどこの誰が掛けたかはわからないのでしょうか」


 アデレイドが首を横に振る。


「わかりません。この人族と亜人種がいるこの地図の中の世界では呪いというのは確かにあります。解呪も高位の呪いであれ、教会側では簡単にできるでしょう。ですが、そうはなりませんでした。つまり、未知の呪いという線が濃厚とということになります。王の病は丁度十年前から発症しました。三男であられるご子息が地図の外側へ向かわれ行方不明となった後にです。私どもとしては、この未知の呪いはご子息と関連があるのではないかと推測をしております。確証はありませんが」


 呪いが連動している? どういうことだ? 白錦とエニは沈黙している。下手なことは言えないからだ。ルーは俺の横でアデレイドをじっと見つめて話を聞いているようだ。ルーも特に発言することはなかった。


「アデレイドさん、貴方達が持っているというその地図の外側への知識について、どの程度、知っているのか教えて頂きたいです」


「わかりました。では十年前の最後の遠征から」


 アデレイドからの話は、十年前を最後に地図の外側への探索は中断し、近年中に再度遠征へ向かう準備をしていたとのこと。今回はそれとは別に俺たちが先遣隊としてご子息の救出へと向かうということが俺たちの目的ということだ。


 そして、地図の外側については、地図の内側と外側を隔てるように大山脈が囲い込み、地図の外側からの厄災の影響を受けないよう自然の要塞が私たち人族や亜人族を守っているとのことだ。問題はこの後だ。過去、百年間で十回の大遠征が試みられた。


 無事でいられた年は無く、全ての大遠征で大規模な被害が出たとのこと。例えば、記憶や人格の喪失。または人族が魔獣化したケースもあるとのこと。大遠征の隊長にはその時代の英雄と呼ばれる存在が選ばれていたが、無事に帰ってきた者はいないとのこと。英雄は皆死亡扱いとされている。


 死因は未だに不明。何かしらの能力やスキルを持つとされる王獣の類いいるのではという噂があるが、真偽は不明。


「何もわからないということですね」


「凛城様、残念ながらそうです。持ち帰ってきたのは被害しかありません。幸いにも被害受けた兵士が伝染病などで他の民や国が犯されるということはありませんでした。可能性の範囲ですが、それは地図の外側と内側で環境が異なるのでは無いかというのが私どもの考えです。それと、凛城様たちへこれを」


 渡されたのは新しい地図だった。


「これは?」


「地図の外側とされる地図です。私たちは未開地図と呼んでいます」


「地図の外側の地図ということですか」


 ありがたいと思い、地図をテーブルへ開いた。そこには過去百年間で進んだとされる地形が映し出されていた。だが、殆どは空白だ。


「これは、移動する毎にこの地図を媒介にして魔法が発動され、自動的に地形や場所を記録してくれます。同時に王都や他の連合諸国が保有している未開地図へもリアルタイムで反映されるという代物です」


「そうですか、これは便利ですね。今まで無かったタイプの地図だ」


「これは最新の魔法で拵えた魔道具と言ってよいでしょう。ですが、一般には出回ることはなく、あくまで軍事用としての用途が大きいです。そして、地図の外側へと達した瞬間、地図上には現在地が表示されます。未開では現在地が重要です。これで見失うことはないでしょう」


 便利とはこのことだ。アデレイド曰く、精霊を行使した魔法らしく現在位置も大気と大地から同時に伝達して共有出来るという便利地図だ。しかし、これで迷子になることはなさそうだ。


 今までの遠征隊が帰還出来たのもこの地図があってこそなんだろう。アデレイドから知るうる限りの地図の外側の情報を聞いた。わかったことがある。危険な魔獣には遭遇していないということだ。


 だが、現地では何かしらの大規模な被害が出ていることは確かだ。危険な魔獣に出会った人々は死んだということが正確なんだろうと解釈した。


「あの、アデレイドさん、地図の外側へ通じる場所へは後どのくらいでしょうか」


「本日中には到着予定です」


「本日中?! かなり早くないですか。確か、東には武装国家があると王城で見た地図に記載が……」


「そうです。武装国家アイゼンガルド帝国があります。そこはここ地図の内側の最南端の東の地図の外側から脅威を守る壁を担い武装国家として勃興し今に至ります。陛下からも承認を経て既にアイゼンガルド領内を移動中です」


 窓の外を見る。武装国家というだけのことはあり、要塞のような建物が多く見られた。ここは地図の外側と大山脈を国土の大きくが占めており、危険度は高いとされていると聞かされた。


 ここには多くの検査や研究機関もあり、地図の外側から得た情報や知恵、素材は最優先に回収出来るという権利が与えられているようで、それは武装国家が人類の守り手として国家が機能するために連合諸国から莫大な研究開発資金が流れ込んで来るという話だ。


 なので、最初に遠征から帰ると最初に被害を受けるのがこの国家になるという。それは連合諸国が援助するよなって話だ。どの国でもそうだが政治について、俺たちが関知することではない。俺たちは地図の外側へ興味があるだけだ。


 そして、王様からの依頼。内心、こんなにも早く地図の外側へ行くことになるとは思わなかったけれど、本当に大丈夫かと自分の実力が心配になる。だが、やるしかない。アデレイドが間もなく到着するとのことで、最後の話をした。


 この馬車が案内出来るのは大山脈の手前までということ。そして、一週間待つということだ。王の命は一週間持たないだろう。だが、ギリギリまでアデレイドらは待つとのことだ。もし、戻らない時は死亡扱いとなることを言われた。


 エニが言うには三日で探索と目的を今回は完了することがベストで動くのが良いということで、他の皆と一致した。アデレイドにはその旨を伝え、三日過ぎて何かしらの連絡が無く期日の一週間を過ぎたら死亡扱いでいいと伝えた。そして、大山脈への入り口へと到着した。山脈を隔てるように要塞擁壁が連なってた。

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