第51話 呪い
皆もそれぞれのベッドで寝ることにした。白錦とエニは横になりながらも起きているので周囲を警戒するという。盗聴などの魔法は魔術、魔道具は探知できないため安心して良いとのことで、ゆっくりとベッドに体を預けた。
翌朝、目が覚めると皆、まだ早朝だと言うのに準備をしっかり整えていた。
「どうした、皆。この時間だと商店街も開店していないよ」
皆が昨夜とは違い、様子がおかしい。
「主よ、王の使いより連絡があり、今直ぐに出発してほしいとの連絡があった」
「エニ、それはどういうこと? 昨夜の状況から急ぐ理由は分かるんだけど、あまりにも急過ぎない?」
俺は困惑していた。あまりにも急だからだ。だが、皆一様に真剣な顔をしている。
「王が倒れたとのこと。病を患っていたらしく、早急に救出に向かって欲しいとのことである」
「王様が倒れた?! 命に別状は?」
「幸いにも一命を取り留めたではあるが、病の進行が早く一刻も争う事態とのこと」
「白錦やエニだったら、病を完治させる道具とか魔法で治せたりとか出来ないの?」
白錦とエニは沈黙し、表情は強張っている。
「主よ、その病は呪いだ」
「呪い?」
エニが真剣な目でこちらを見つめてきた。
「そう、呪いです。通常の万病であれば我らの力で完治させることは可能です。通常の呪いについてでも同様です。ですが、今回、王に掛けられた病というのは、恐らく地図の外側から持ち込まれた呪いという病です。余が王の容態を確認しに白錦と確認しに行き確認しましたが、余らの力ではその呪いを解くことは不可能でした」
驚くことはいくつもある。白錦やエニも神様だ。その神様ですら、解けない呪いが地図の外側にはあるということを。そして、王様の容態は日に増して悪化しているということを。
「エニ、王様に残された時間はどのくらいか」
「正味、一週間というところ」
「一週間、間に合うか」
「わかりません。ただ、ここは早く動くべきかと進言いたします」
「我もエニに同意である。それに、既に王側で必要な資材や道具等は用意しておるとのこと。恐らくこういうことを予期していたのであろう。我らが到着する前に殆どの資材の準備が終わっていたようである」
「わかった。俺も支度を直ぐに整える」
急いで装備を調えた。刀の状態も確認した。全て問題ない。
「よし、行こうか」
俺たちは王城前に停車してある馬車に乗車した。ここから向かう地は東の地図の果て。地図の外側の手前には巨大な山脈が連なっている。これが、外側からの影響を受けない自然の防御を果たしているということを学者から聞かされた。
そして、既に国境越えについて連合諸国は承認をし街道は開放されているとのこと。この馬車であれば、検閲無しに東の大山脈へ直行出来るという。本当は色々準備をしたかった。
まだ、収納術も習得していないし、武器を顕現出来る術も習得出来ていない。資材については、白錦とエニの収納術に既に収納済みとのこと。そして、学者の先生から、地図の果てについて詳細に聞くことになった。ここから先はルーも白錦、エニすらも知らない情報となる。
「改めまして、私は王都ルディア王室首席地図編纂官のエレオノーラ・アデレイドと申します。ここから、東の地図の手前までご同行させていただきます。帰りの際も私たちは凛城様一行が戻られる期日まで待機しております」
アデレイドという女性は知的さを強く感じさせる雰囲気を纏っていた。目の瞳は深い琥珀色をしており、髪の色は濃い茶色で、三つ編みにして髪を束ねていた。服装は王宮に仕えるだけの生地は良く、王家の紋章が入った紺色のロングコートを羽織っていた。
「アデレイドさん、ありがとうございます。改めて俺は凛城廻と申します」
「陛下より伺っております。この度は急な状況へ対応してくださり、心より感謝しております」
「当たり前のことですよ。顔を上げてください。その陛下の容態についてはどのような様子でしょうか」
「現在は上級神官が対応しております。病であれば完治する筈ですが、神官曰く、病の類いではないとのことは明白。信仰教会側では呪いという線で治療を解析し治療中です」
エニが言う通り、王様の病は呪いということだ。しかし、誰が何の為に?




