第50話 手続き
晩餐会では俺たちが三男を救いに行くと大々的に公表された。こんな大っぴらに公表していいのかよってツッコみたくなるが、それ程、王様の気持ちと期待が込められているんだろうと思った。
それから、多くの王族だろうと思われる方々とお話をしたり、貴族と思われる方々とお話をしたりと食事をする暇なんてなく、飲み物も何かの味が付いていると思うけれど緊張し過ぎて味もすらしなかった。ルーや白錦、エニは各々が対応していた。
ルーに至っては鬼族という種が珍しいとのことで好奇のまなざしを受け人気者になっている。白錦はきっと元々貴族だったんだろう。振る舞い方から会話も自然に熟し、周囲から関心と感心の目を向けられていた。
そして、エニは見た目が美形も美形の絶世の美女なので、男性や女性からも大人気で一番多くの人々に囲まれていたのでは無いのではないだろうか俺は思った。てんやわんやでようやく晩餐会も終わり、少しの料理と飲み物を持ってベランダへと出た。
「ふぅー、疲れたな。王族や貴族なんて学校の教科書でしか知らないよ。でも、王様嬉しそうな顔してたなー」
「主君どのここでしたか」
「ああ、白錦、お疲れさま。さすがは貴族だね。今度、振る舞い方を教えてよ」
「そうであるな。今後、こういうこともあるかも知れぬな。して、主君はどうしてこちらへ?」
「晩餐会も終わったし、ようやく食事を食べようと思ってさ。晩餐会中は何も食べて無くてさ、お腹の虫が鳴いていて大変なんだ」
「そうであったか。では、食事を自室でいくらか用意出来ぬか聞いて参る」
「もし、可能であったらでいいよ。助かる。ありがとう」
白錦は晩餐会会場へと戻って行った。夜空を見上げると満天の星空が煌めいていた。俺が知っている星座は一つもない。王都だというのに、ここまで星空が綺麗なのはきっと光が少ないせいなんだろうなと思いながら食事をした。
間もなくして、白錦が戻り、後ほど今晩王城へ泊まる部屋に料理を用意するとのことになった。給仕さんにも料理人の人にも申し訳無いと思うから、後でお礼を言っておこうと心に刻んだ。
俺と白錦、そして、ルーとエニも合流し今晩泊まる王城の貴賓室へと案内され、内装は立派で白を基調としているので、どこか荘厳で神聖な空気を漂わせていた。
「さぁ、今日はご飯を食べて寝よう。明日には装備を調える準備をしなくちゃいけない。数日中には地図の外側へ行こうと思う。皆、それで良いか」
「私もお兄ちゃんに賛成」
「我も異論は無いである」
「余も問題ないです」
「それじゃ決まりだ。皆、今日は本当にお疲れさま。明日に備えて沢山食べて体を休めよう」
運ばれたて来た見たことも無い豪勢な料理に目を奪われた。俺も含めて全員がちゃんと食事出来ていなかったようでモリモリ食べて始め、俺も自分の皿へと肉や魚を口に運んだ。美味いなんてもんじゃない。
この世界にはこんなにも美味い料理があるんだなと心から思った。王城で用意して貰う中に調味料を追加することをメモし、夢中で食べて、給仕さんにお礼を言い、料理人たちへもお礼の伝言を頼み俺たちの食事は終えた。
「ふーぅ、食ったな」
「主君よ、明日はどのように動くのであるか」
「そうだな。とりあえず、商店街を見て回るとしようか。魔道具と本を何冊か購入したいし」
「そうであるか、して、出発はいつ頃に」
「数日中とは言ったものの、多分準備が整い次第だね。俺たちもだし、王様の話だと東の地へ行くために国境を越える手続きをしているようだし、それも合わせて完了次第かな」
「うむ、承知つかまつった」




